Windows Server 2012研究所

クラウドOSビジョンを具体化するWindows Server 2012 R2とSystem Center 2012 R2

 10月から、Windows 8.1のリリースに合わせるようにWindows Server 2012 R2の提供が開始されたが、11月に入り、日本マイクロソフトがWindows Server 2012 R2やSystem Center 2012 R2に関する記者発表会を行った。今回は、この記者発表会の資料を基にMicrosoftのサーバー/クラウドに関する考え方をひもといていこう。

クラウドOSビジョンって何?

 Microsoftが、Windows Server 2012をリリースした時から言い始めたのが「クラウドOSビジョン」というキーワードだ。

 クラウドOSビジョンは、サーバー環境をオンプレミスやクラウドと分けるのではなく、一貫した環境(ハイブリッドクラウド)として考えるモノだ。

 その中でも、オンプレミスやクラウドで動かすOSや管理環境を、それぞれ独自のOSや管理環境を使用するのではなく、オンプレミスで使用しているOSや管理環境をシームレスにクラウドに移行できるようにする、といったことを特徴として掲げている。

 Microsoftでは、このようなハイブリッドなコンピューティング環境を実現するために、Windows ServerやSystem Center、クラウドサービスのWindows Azureを一歩ずつ改良してきた。その中心となるWindows Server 2012 R2とSystem Center 2012 R2は、オンプレミスとクラウド間でシームレスに運用・管理ができる基盤といっていいだろう。

 さまざまなクラウドサービスや管理ソフトウェアなどを見る機会があるが、Microsoftが「クラウドOSビジョン」で掲げているものほどシームレスな環境はあまりない。ただし、Microsoftが対象とするクラウドサービスは自社のWindows Azureとなる。このため、フルオープンなビジョンとはいいにくい。

Microsoftでは、OS自体をクラウドの基盤として開発している。OSだけでなく、管理ツール、開発ツール、データベースなどをオンプレミス、クラウドを分け隔てなく利用できるようにしている
Windows Server 2012 R2は、クラウドとオンプレミスをシームレスに接続できるハイブリッドクラウドを目指して開発されている
Microsoft自身が、多数のクラウドサービスを運用している。そこで利用されているOSや管理ツールなどについては、自身が、最も厳しく多数のサーバー群を運用するユーザーだ。だからこそ、使いやすいOSや管理ツールなどの開発が必要になっている
Windows AzureやOffice 365、Skypeなどのクラウドサービスの経験や知見を、自社の製品にフィードバックしている

(山本 雅史)