Windows Server 2012研究所
“真のWindows 8”、Windows 8.1が登場したBuild 2013
(2013/7/16 00:30)
6月26日から3日間、米国サンフランシスコで開催された米Microsoftの開発者セミナー「Build2013」では、Windows 8.1プレビュー版の公開など、2013年後半に向け、Windowsの巻き返しに関してさまざまな発表があった。
販売本数は伸びているが、積極的に利用されていないWindows 8
昨年10月末に鳴り物入りで発売されたWindows 8は、6カ月たった2013年の5月に、累計販売数が一億本を越えたと発表されている。Microsoftのカウントには、Windows 8へのアップグレードやOEMへの販売などが含まれている。このため、一般的な印象とは大きく異なる。
Microsoftにとって大ヒットとしているWindows 8だが、PCベンダーにとっては、年末商戦でPC自体の販売が振るわず、タブレットの影響で、Windows PC自体の売り上げが減少している。リサーチ会社のアナリストなどは、Windows 8は失敗と明言している。
実際、企業においてもWindows 8を積極的に採用しようという企業は少数で、現状では社内に残っているWindows XPをどのようにWindows 7に移行するのかなどがメインテーマとなっている。
こういった状況を考えて、Microsoftは、Windows 8の修正版ともいえるWindows 8.1(開発コード名:Blue)のパブリックプレビュー版を、Build 2013の初日に合わせ、多くのユーザーがテストできるように公開した。
Build2013の基調講演において、MicrosoftのCEO スティーブ・バルマー氏は、「PCメーカーや周辺機器ベンダー、ソフトウェアベンダーなどと組み上げてきたWindowsエコシステムは、強力な推進力としてWindows 8の普及に力を果たしてきた。さらに、Windows 8.1は飛躍的な普及を見せるだろう」と語っている。
バルマーCEOが強調したのは、Microsoftが提供するWindowsプロダクトの広がりだ。
現在、Windows 8コアをベースとした製品としては、Windows 8/8.1/RT、Windows Server 2012/2012 R2、Windows Phone 8、Xbox Oneが発表されている。Windows Phone 8は、Windows RTをスマートフォン用に適応したOSだ(リリースから考えれば、Windows Phone OSをタブレット仕様にしたのがWindows RTということができる)。
いくつかの予想では、Windows PhoneのOSがマイナーバージョンアップし、APIなどWindows 8/8.1と同一になり、Windows PhoneとWindows 8/8.1/RTのModernアプリにおいては、ソースコードレベルでの互換性が保たれるようになるのではといわれていた。このようになれば、Windows RTとWindows Phoneでは、同じバイナリーコードのModernアプリが動作するようになる。また、x86/x64のWindows 8/8.1においても、コンパイルをし直すだけで、Windows Phoneなどのアプリが動作するようになる。
結局、今回のBuild 2013では、Windows PhoneとWindows 8/8.1/RTの融合までは発表されなかった。しかし1~2年後を考えれば、Windows Phone、Windows 8/8.1/RT、Xbox One上で同じModern アプリが動作するようになるだろう。そうなれば、開発者としては、1つのプログラムを作成することで、複数のプラットフォームに対応できるようになる。
Windows Phoneに関しても、iOSやAndroidなどのスマートフォン向けOSのアップデートが年1回あることを考えれば、年末もしくは2014年初めにアップデートが発表されるだろう。このタイミングで、Windows 8/8.1/RTは開発環境、SDK、APIを含めて統合されていくだろうと、筆者は考えている。
Xbox Oneに関しては、リアルタイム性の高いゲームを動かすXbox OSと、Windows 8.1コアのOSが、2つ同時に動作している。さらに、これらのOSを動かすベースOSとして第3のOSが搭載されている(筆者は、この第3のOSは、カスタム版のハイパーバイザーHyper-Vではないかと予想している)。