ダーツライブ、キヤノンソフトのワークフローツール「Web Plant」を導入~iPhoneからの利用も


 キヤノンソフトウェア株式会社(以下、キヤノンソフト)は、同社ワークフローツール「Web Plant」のセミナーで、株式会社ダーツライブへの導入事例について説明した。

 

ユーザー構築型のワークフローシステム構築ツールを提供

キヤノンソフトウェア 商品企画本部の鵜頭克明氏

 キヤノンソフトでは、12年におよぶワークフロー技術の蓄積、さらにはキヤノングループのベストプラクティスをベースにした先進のワークフローシステム構築ツールとして、2007年から「Web Plant」を展開している。

 2010年5月末には、新バージョン1.2.2をリリースするとともに、新たにWebサービス対応ワークフロー構築基盤「Web Plant SDK」をラインアップに追加した。また、オプション製品としてWebアプリケーション自動生成ツール「Web Performer」も用意している。

 「Web Plant」は、洗練されたエンドユーザー向けのインターフェイスや、複雑なビジネスプロセスをGUIで表現できる開発環境を備え、周辺システムとも連携する本格的なワークフローを短期間で実現することができる。

 その特長について、キヤノンソフト 商品企画本部の鵜頭克明氏は、(1)柔軟で高度なワークフローを構築、(2)システム構築・運用環境の管理強化、(3)業務システムとの連携――の3点を挙げ、「ユーザー構築型のワークフローシステム構築ツールである」ことを強調した。

IT専門知識が不要なフォーム開発柔軟できめ細かな操作性をGUIで実現外部DB連携機能と業務システム連携

 「ワークフローの構築にあたっては、ユニットエディタ、項目構成エディタ、フォームエディタにより、IT専門知識をもたないスタッフでも、柔軟で多機能なフォームをGUIによってノンプログラミングで開発できる。また、わかりやすい経路設定画面により、多様な業務フローを実現するとともに、プロセスの可視化を図ることができる」という。

 2つめの特長であるシステム構築・運用環境の強化については、開発環境と本番環境を標準提供し、運用中も業務開発や新組織の検証が可能。また、ワークフロー管理者・開発者の権限を分離することで、IT全般統制に有効な運用を実現する。このほか、バージョン管理による案件データの世代管理と平行運用も可能としている。

 業務システムとの連携としては、外部DBとのシームレスな連携機能を提供。これにより、ワークフローの自由なタイミングで、(1)画面フォーム上からの外部DBの検索、参照、(2)画面フォーム上からの決裁済み案件データの参照、(3)画面フォーム上から外部DBへの案件データ書き出し、(4)外部DBの処理結果を受けて承認プロセスの制御を自動実行、(5)画面フォーム上から別案件の作成などを実現する。

 

画面やユニットの設計での自由度が高く、外部DBとの連携が容易な点が決め手

ダーツライブの柳川智幸氏

 ダーツライブでは、2008年5月に「Web Plant」を導入し、約3年間、実運用しているという。同社は、ネットワーク対応のエレクトロニックダーツマシン「DARTSLIVE」とタッチパネル式ゲームマシン「TouchLive」を中核に、専用のICカード「DARTSLIVE MEMBERS CARD」および携帯電話・PCで閲覧できるウェブサイトなどを連携させて展開するネットワークサービスを提供しているエンターテイメント企業。

 「事業成長にともない、2008年には社員数が80人くらいにまで増え、従来までの紙ベースの業務処理では管理部門の負担が大きくなってきていた。また、J-SOX法の施行や内部統制強化の流れの中で、企業内の活動の履歴をしっかり残すことが求められるようになってきた。こうした背景を受け、当社にとってもワークフローツールの導入が急務の課題になっていた」と、ダーツライブの柳川智幸氏は当時を振り返る。

 数あるワークフローツールの中で「Web Plant」を採用した経緯について柳川氏は、「自社でワークフローの構築・運用ができそうだったこと。画面やユニットの設計での自由度が高かったこと。そして、外部DBとの連携が簡単で自由度も高かったことの3点が決め手になった。その他のワークフローツールも検討したが、自由度が低く、『Web Plant』以外に選択肢はなかった」と述べている。

 同社では、「Web Plant」の導入以前は、Excelシートを使って業務申請を行っていたという。「『Web Plant』の申請画面の開発に当たっては、従来までのExcelシートのデザインを生かしながら、入力できる部分に色を設定、単価は税込・税別・税なしに対応、合計金額や消費税は自動計算にするなど、より使いやすいよう工夫を凝らした」と柳川氏。また、承認フローについても「Web Plant」の経路設定画面から作成し、申請、承認、決裁、経理、発番、検索、印刷という7つのフォームを用意している。

実際の画面デザイン実際の承認フロー
iPhoneでの承認について

 さらに、「Web Plant SDK」を活用し、iPhoneによる承認を実現しているのもダーツライブの事例の特徴だ。柳川氏は、認証の仕組みについて、「まず、社内にファイアウォールを立てて、iPhoneとiPhone用WebサーバーをVPNで接続。専用アプリケーションからiPhone用Webサーバーに問い合わせを行う。次に、設定ファイルで指定した各業務別のカスタム項目をiPhone用WebサーバーからWebPlantサーバーに問い合わせる。そして、WebPlantサーバーが返した値を基に、再び設定ファイルにより画面を作成してiPhoneに返す」と説明している。

 このように「Web Plant」によって、自社のワークフローを自分たちで変更することで、会社の変化の速さに対応できる柔軟性の高いワークフローシステムを実現したダーツライブ。3年間フル活用した結果、今後の「Web Plant」への要望として、(1)デプロイしたバージョン番号をヘルプメニュー内に表示してほしい、(2)業務フローで一定のプロセスを通過したら引き戻し不可にする機能が欲しい、(3)必要のなくなった項目やユニットを削除したい、(4)自分が申請していない案件の内容も参照できるようにしてほしい――といった点を挙げていた。

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