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サーバー水準の性能をノートPCへ。NPU・GPU・CPUの適材適所でビジネスを加速する『AMD Ryzen AI プロセッサ』の真価
- 提供:
- 日本エイ・エム・ディ株式会社
2026年3月31日 09:00
AIが世の中に普及するにつれて、AI専用ツールはもとより、アプリケーションやOSなどにもAIを使った機能が組み込まれるようになってきた。それとともに、AI推論をローカルで動かす能力を持ったWindows PCの「AI PC」が登場し、その中でもマイクロソフトが定めたスペックを満たす「Copilot+ PC」の製品も2024年から次々と発売されている。
AI PCやCopilot+ PCでは、CPUにNPUやGPUを内蔵することで、ノートPCでもローカルAIを動かせる。こうしたAI PC対応CPUも、登場してからすでに世代を重ねている。
今回は、AMDのAI PC対応CPUとその特徴、そしてAI PC戦略について、日本AMDの関根正人氏(コマーシャル営業本部 セールスエンジニアリング マネージャー)と楊博光氏(コマーシャル営業本部 部長)に話を聞いた。
AMD Ryzen AI 400シリーズは「正常進化版」
AMDは、1月初頭のCES 2026で、AI PC向けCPUの最新版「AMD Ryzen AI 400 シリーズ」を発表。すでに搭載PCが各社から発売されている。
前世代のAMD Ryzen AI 300シリーズとの違いについて、関根氏は「電力効率や性能を強化した正常進化版」と説明する。300シリーズから続いて、CPUにZen 5/Zen 5cアーキテクチャを、GPUにRDNA 3.5アーキテクチャを、NPUにAMD XDNA 2アーキテクチャを採用。それぞれが強化され、NPU単体のAI性能も最大60 TOPSに引き上げられた。電力効率も向上している。
こうした点について楊氏は「AMD Ryzen AI 300シリーズのStrix PointとKrackan Point、そしてAMD Ryzen AI 400シリーズのGorgon Pointと、Zen 5も3世代目となり、完成度には自信があります」と語る。
加えて、楊氏はAMD Ryzen AI 400シリーズ中でエントリー向けであるAMD Ryzen AI 5の価格もアピールポイントとして挙げる。「Copilot+ PCの市場を広げるために、AMDとしても挑戦的な価格で出しています。今までCopilot+ PCは価格が高いイメージがありました。それに対し、それほどマルチタスクで負荷をかけるような使い方をしない方でもCopilot+ PCのAI機能を使いたいという声が多かったので、そうしたメインストリームの領域をカバーする製品ラインナップです」。
なお3月には、ノートPC用だけでなく、デスクトップPC向けにSocket AM5対応の「AMD Ryzen AI PRO 400」も発表された。前世代の300シリーズでも一部のPCメーカーにデスクトップ向けのAMD Ryzen AIが出荷されていたが、デスクトップ向けのAMD Ryzen AIが正式に投入されるかたちとなる。
HPC向けからPC向けまで共通アーキテクチャで開発
AMD Ryzen AIシリーズ全般の特徴としては、サーバー向けCPUの「AMD EPYC」とPC向けCPUの「AMD Ryzen」が共通アーキテクチャで作られている点を関根氏は強調した。
「データセンターのサーバー、さらにはHPCの市場において、AMDのCPUはいいポジションにあります。EPYCは、コア性能でも、ソケットあたりの最大の性能でも、群を抜いています。そうしたHPCにも耐えるコア設計を、PCでも使っています」と関根氏。
「同時に、現在はデータセンター向けでも低消費電力が求められていて、AMD EPYCは電力効率も高いプロセッサになっています。そのため、このコアをそのままノートPCのAMD Ryzen AIに持ってきて、高性能と低消費電力を両立できています」(関根氏)。
共通アーキテクチャのメリットとしては、「設計から部材まで統一することにより、シンプルにして、開発リソースを集中できます。結果、高い品質水準を実現できます」と楊氏。「より早く新しいアーキテクチャに投資できます。また、何か問題があったときに、いくつものアーキテクチャがあると問題解決が難しくなりますが、統一されていれば最短距離で解決にたどり着けます」(楊氏)。
そのCPUコアにおいても、「Zen 4のころから、AVX-512などAIで使われる命令セットを拡充しています。これについても、データセンター向けだけでなくクライアント向けでも共通です」と関根氏は言う。「AMDとしては、NPUやGPUだけでなく、CPUでもAI処理に対応していくという方針です」(関根氏)。
また、GPUコアも強化。「Ryzen AI 300や400のハイエンド製品では、外付けGPUのエントリークラス相当の性能を内蔵GPUで実現しています。これによって、大きなAIモデルを内蔵GPUでも動かせるようになります。また、今はOffice製品でも知らないところでGPUを使うようになっているので、生産性を底上げする意味でも大事だと思います」(関根氏)。
Ryzen AIシリーズでGPUを強化した製品としては、「AMD Ryzen AI MAXシリーズ(コードネームStrix Halo)」がある。グラフィックワークステーション向けの製品で、GPUのCU(Compute Unit)が最大40コアとなっている。CES 2026では、ミニPCフォームファクターにAMD Ryzen AI MAX シリーズを搭載したAIコンピューター「AMD Ryzen AI Halo」も発表された。ミニPCながら最大128GBの統合メモリを搭載可能で、大規模生成 AIモデルのローカル開発にも対応する、AI開発者向けのミニワークステーションだ。
NPUだけでなく、GPUとCPUも含めてAIに対応
このように、ローカルAI処理において、NPUだけでなく、GPUやCPUも含めた3つで対応している点を、AMD Ryzen AIの特徴として関根氏は挙げる。元から得意とする内蔵GPUコアに、データセンター譲りのCPUコア、そして強化されたNPUの組み合わせだ。
AI処理でのCPU、GPU、NPUの使い分けについて、「NPUでできるのであれば、それに越したことはない」と関根氏。AIを低消費電力で素早く処理できるため、比較的小型のAIモデルで、応答速度を重視した処理は、NPUが向いているという。
一方で、大きなAIモデルを使うには、メモリも処理能力も大きな能力が求められる。こうした処理はGPUが向いている。
CPUでAI処理を担当するケースもある。「データセンターでも、軽いAIモデルであれば、高価なGPUではなくCPUで処理させるケースも増えてきています。また、処理がGPUやNPUで動くように作られていない場合でも、CPUであれば処理できます」と関根氏。
このように、さまざまなAIのモデルやユースケースに対応するのに、NPU、GPU、CPUを適材適所で使えることが重要だ、というのが関根氏の説明するところだ。
「また、NPUやGPUに推論処理させる場合でも、司令塔としてCPUの性能が重要になります。ゲーミングPCなどと同様に、AI専用のGPUサーバーも、CPUの性能が高くないとGPUの性能を活かせません」(関根氏)。
GPUまわりについて、CES 2026では、NVIDIAのCUDAに相当するソフトウェア「AMD ROCm」の最新版7.2も発表された。ROCm 7.2は、AMD Ryzen AI 400シリーズに対応すると同時に、Windowsに正式に対応した。「サーバーでAIを動かすためのROCmが、そのままクライアントのWindows PCでも使えるようになりました。たとえば、AIで開発者に最も使われているPyTorchライブラリにおいて、Windows上でAMDのGPUを利用できるようになります」と関根氏は説明した。
ROCmと強力なGPUによって、企業の社内である程度の規模を持ったLLMモデルを動かすことができる。「たとえば、社内文書のような外に出せない内容をAIで処理することもできますし、クラウドに比べて迅速に動かすこともできる。それを、オンプレミスのデータセンターのAIサーバーでも、PCでも実行できるのが、AMDの強みです」と関根氏は語った。
PCやOS、アプリケーション、半導体のパートナーとともにAI化を進展
Copilot+ PCという言葉が2024年に登場してから少したった現在、実際のAI PCの市場はどうかについて尋ねると、「大きく変わりました。LLMがローカルで動くかという質問を多くいただいています。本格的なローカルでのAI処理が、ようやく始まってきたかと感じています」と関根氏は答える。
楊氏も「AMD Ryzen AIを搭載したCopilot+ PCの販売台数はかなり増え、顧客の認知度も上がっていると感じます。NPUだけでなく、トータルで生産性が上がるのであれば投資するという声が多く、バッテリーライフの長さも体験して評価いただいています」と語った。
最後に、AI PCという言葉が一般化した今、AMDが次に目指すのが何かを聞いた。
楊氏は「AIは、われわれのチップだけではなく、それを組み込んだPCやWindows OS、アプリケーションと組み合わせた全体で動きます。マイクロソフトがWindowsでAIの方向に行くと意思表示している中で、業界全体の機運としてAI化が進展していくでしょう」と語った。
特に、Copilot+ PCとWindows 11においてはマイクロソフトと早期から連携して開発することが重要だと述べる。さらにAIではセキュリティ面をしっかりカバーする必要があるとして、セキュリティチップの「Microsoft Pluton」搭載などにより、「AMDは、使いやすいセキュアな環境を、パフォーマンスといっしょに追求しています」と楊氏は強調した。
それを実現するビジネスの進め方としては、「テクノロジー進化のロードマップをコンスタントに愚直にアップデートして最新の製品を出すことで、顧客の信頼を得ています」と関根氏は答えた。
さらに楊氏は「われわれの最大のパートナーである、半導体製造のTSMCといっしょに、2ナノ技術のAMD EPYCをどんどん出していきます」として、「Windows PCからデータセンターまで、AIを活性化していきたい」と語った。





