フォーティネットジャパン、新カントリーマネージャに久保田則夫氏が就任

日本市場での3つの成長戦略を明らかに


 米フォーティネットは1月25日、フォーティネットジャパン株式会社の新カントリーマネージャに1月1日付で久保田則夫氏が就任したと発表した。同日には、新体制での日本市場に向けた事業戦略について記者説明会が行われた。

米Fortinet インターナショナルセールス&サポート シニアバイスプレジデントのPatrice Perche氏

 まず、米Fortinet インターナショナルセールス&サポート シニアバイスプレジデントのPatrice Perche氏がフォーティネットの事業概要を説明した。「2011年は、第1四半期から第3四半期にかけて順調に事業が拡大し、対前年同期比で37%の伸びを記録した。現金資産も5億ドルに達しており、この資金をさらなる成長のために継続投資していく。また、日本を含むアジア太平洋地域についても、2011年上半期の成長率が市場平均の11.9%を大きく上回る29.6%を達成し、好調に事業が推移している」という。

 この背景についてPerche氏は、「当社はセキュリティ製品に100%特化し、エンドツーエンドのUTM(統合脅威管理)ソリューションを提供できる唯一の企業だ。他社に比べてコストパフォーマンスにも優れている。さらに、社内に『フォーティガード』というラボをもっていることも大きな差別化になっている」と述べた。

 今後の事業方針としては、「エンタープライズを取り巻くセキュリティ環境がより複雑化する中で、当社も新しいアプローチをしていく必要があると考えている。具体的には、ITインフラを防御することに加え、それをコントロールできるパワーを、当社のテクノロジーによって提供していく。これによって企業は、ITインフラのさらなるセキュリティ強化を実現できるとともに、パフォーマンスの最適化や管理のシンプル化、さらにはコスト低減を図ることができる」との考えを示した。

フォーティネットジャパン カントリーマネージャの久保田則夫氏

 続いて、フォーティネットジャパンの新カントリーマネージャに就任した久保田則夫氏が、新体制で臨む日本市場での事業戦略を説明した。久保田氏は、「米本社では、3年後に10億ドル企業を目指しているが、これを実現するために日本市場では年率30%成長を続けていく必要がある」とし、この目標達成に向けて大きく3つの成長戦略を掲げた。

 1つめの戦略は、競合他社に対して確固たるポジションを確立すること。「競合各社はそれぞれ違ったビジネス戦略を展開しており、マーケットへの強みも異なっている。そこで、競合に対して同じ戦略をとるのではなく、各社が強みをもつマーケットにカウンターを当てていく戦略をとっていく」という。同社では競合他社へのカウンター戦略にあたって、UTMマーケットを徹底的に分析。「現在当社は、国内UTM市場でトップシェアをキープしているが、2位、3位のベンダーがそれぞれ得意とする領域に向けて、リーズナブルで高速なファイアウォール製品を戦略的に投入することで、さらなるシェア拡大を目指す」と意欲を見せた。


日本における3つの戦略

 2つめの戦略としては、営業開発部隊の強化を行い、各産業別ソリューションを拡販していく。久保田氏は、「当社のUTMアプライアンス『FortiGate』は、サービスプロバイダーでの採用が加速している。また、案件の大型化が進んでおり、5000万円を超える案件が増加しているほか、キャリアや大企業向けには1000台以上展開するプロジェクトも進行中だ。さらに、ハイエンドモデルの商談も増加している」と、産業別市場の販売動向を説明。今後、データセンター、サービスプロバイダー、公共(官公庁、教育機関)、医療、製造業、サービスの各産業にフォーカスを当て、バーティカルに強いソリューションを拡充していく考え。

 そして3つめの戦略が、継続的な中小企業向けソリューションの成長を実現することである。「すでに実績をもっている中小企業市場に対しては、引き続きリニューアルやアップグレードの提案を行っていく。また、ワイヤレスの脅威を防御するソリューションとして、アクセスポイント『FortiAP』に加えて、Wi-Fiに対応した『FortiWifi』を今年上期中にリリースする予定。そして、セキュリティ製品のフルポートフォリオを提供することで、中小企業市場で3万台の販売を目指す」との方針を明らかにした。

 また、市場別の販売戦略についても触れ、「エンタープライズと公共、およびコマーシャルのマーケットについては、当社パートナー営業部とパートナーの協力体制によって市場開拓を進めていく。一方、中小企業向けのマーケットには、パートナーやディストリビューターとの連携を強化して、さらなる市場拡大を図っていく」と述べた。

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(唐沢 正和)
2012/1/26 06:00