「一緒に徹夜した仲間がトップにいる、現場出身の強みを生かす」~日本ユニシス・黒川茂社長


代表取締役社長の黒川茂氏

 「技術、現場指向、スピード感の3つを経営に生かす。まずは、前年並みの売り上げ2530億円を死守し、早めに3000億円に持っていきたい」――。日本ユニシス株式会社は19日、6月に代表取締役社長に就任したばかりの黒川茂氏の記者会見を開催。黒川新社長は、意気込みや目標について、こう切り出した。

 黒川社長が控えめな数字を提示する背景には、日本ユニシスの売上高が年々減少しており、厳しいかじ取りを迫られていることがある。IT業界での競争が激化する中で、SIビジネスについても非常に競争が激しくなっており、生き残りのために、各社がしのぎを削っているのが現状だ。


黒川社長の略歴
現場で感じたお客さまの変化

 こうした中で黒川社長は、「すべては現場から始まる」とのメッセージを発信し、自ら現場を引っ張っていくとの姿勢を示す。日本ユニシス50年の歴史で初めて、プロパーの社長として就任した同社長は、1974年の日本ユニシス(当時は日本ユニバック)入社以来、一貫して現場に出ており、「ずっとお客さまのところに常駐し、一緒に開発してきた」経験を持つ。

 黒川社長は、このような点を踏まえた上で、「自分は現場育ち。一緒に徹夜したメンバーがトップにいるということで、(従業員とも)お互い言いやすい面があるだろう」と述べ、従業員にも元気がない、モチベーションが高くない、といわれる中でも、従業員のマインドが前向きに変わっていくことに期待しているのだという。

 また、その現場で感じたこととしては、「お客さまの満足度の方向が変わっている」ことを挙げる。「従来は、お客さまの要望通りに作り、運用するのがいいシステムだといわれてきた。もちろんそれも大事ではあるが、今は、『こうしたらより良いシステムになる』というような提案を積極的にしていく必要がある」と指摘。「ここ数年、当社では付いていけてなかったので、お客さまと話をしつつ、改善していく」と述べた。

 今後のビジネス上の強化については、「スピード感」「クラウド」の2つに注力するとした。「スピード感」では、システム開発の短期化、早期導入が求められることに対応するため、改造を最小化したソリューション提案を強化するとのこと。

 一方の「クラウド」では、「これまで多かった個別最適のシステムが、逆にお客さまの負担になっている」という点を指摘。「当社が3年間培ってきた仮想化や統合の技術を用いて、全体最適のプライベートクラウドを中心に提供していく」との方針を示す。

 また、日本ユニシスグループ全体では、上流コンサルからシステムの導入・運用・保守までライフサイクル全般をカバーでき、さらにベンダーフリーの立場での提案ができることを、他社にない強みとして訴求する考えで、「システム構築で入り込めていないお客さまや、入り込めていても当社が手掛けていないシステムがたくさんあり、クラウドを武器に、ここに入り込んでいく」との方針を述べている。

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