ニュース

エクストリーム-D、IT資産処分を通じて確保したGPUサーバーを使ったAIインフラ事業を開始

 エクストリーム-Dは10月20日、ITAD(IT資産処分)を通じて確保したGPUサーバーを利用するプライベートAI向けインフラサービス「Raplase RCA」の提供を開始した。グローバル展開するITAD事業者のTES-AMM JAPANと、高速ネットワーク製品のベンダーであるCornelis Networksとの協業で、3社の役割は以下の通り。

  • エクストリーム-D:Raplase RCAの提供、GPUサーバーの性能最適化・運用
  • TES-AMM:ITADを通じたGPUサーバーの調達・安定供給
  • Cornelis:複数のGPUサーバーを接続する高速・低遅延ネットワークの提供
(写真左)TES-AMM JAPAN 代表取締役 小沢国彦氏、(中央)エクストリーム-D代表取締役CEO 柴田直樹氏、(右)Cornelis Networks 日本・アジア太平洋地域統括 山﨑拓慈氏

待たせない・国内で完結・定額で使えるAIインフラ

 Raplaseは、エクストリーム-Dが独自開発したミドルウェアで、AIプラットフォームやGPUクラスタリングのサービスを提供する。また、ダッシュボードでは、プライベートAIやHPCの運用管理者向けからユーザーインターフェイスまですべての機能を提供し、「スーパーコンピューターをサービスのように使う」ことができる。

 従来から提供している「Raplase AI Next」では、Raplaseソフトウェアと組み合わせるサーバーを、クラウド(ベアメタルまたは仮想マシン)のインスタンスやオンプレミスサーバーから選べたが、新サービスのRaplase RCAでは、エクストリーム-D自身が構築した国内データセンターでのクラウドのみとなる。あれこれ考えずに、必要なAIインフラをサブスクリプションですぐに使える、ネオクラウドの位置付けだ。国内のハイパースケーラー向けデータセンターのスペースを確保済みであり、機器の来歴や所在に関する情報を明確にして、企業が安心して利用できるAI基盤を提供するという。

ITADの機器を活用する意義

 現在、AIインフラをめぐっては、3つの課題がある。

①供給制約
 世界中でGPUの需要が拡大しており、供給不足になっている。GPUサーバーを自社で購入するにしても、GPUインスタンスをIaaSとして利用するにしても、「モノがない」という状況で、調達リードタイムの長期化と利用料金の高騰が続いている。

②AI活用の本格化とコスト最適化
 PoCから本番運用へ進む企業が増え、継続可能なコストの計算資源が求められている。クラウド利用のコストが高すぎると実運用には向かないし、オンプレミスでAIサーバーを調達した場合の、エンジニアの人件費も高騰している。

③国内完結という要件
 主権保持や経済安全保障の観点から、国内データセンターで完結するAIが必要になっているが、ハイパースケーラーの国内リージョンは売り切れの傾向にある。安全なAIインフラ環境をいかに確保するかは、差し迫った問題と捉える企業が増えている。

 そこでエクストリーム-Dが目を付けたのがITADの機器で、同社が「循環型」のサーバーと呼ぶものだ。

 「チップメーカーはどんどん最新GPUを発表しているが、その性能を100%必要とする企業はそう多くない。オーパースペックに大金を払うことになるため、AIインフラ導入に悩んでいる企業もある」(エクストリーム-D代表取締役CEO 兼 最高技術責任者 柴田直樹氏)

 ITADとは「IT Asset Disposition」の略で、IT資産の適正処分のこと。リプレイスなどのために廃棄されサーバーを適切にデータ消去・検査・評価し、再利用可能な状態にする。いわば型落ちのサーバーだが、3~4年たったGPUでも価値は十分に高い。

 なにより、現在はGPUの調達に時間がかかるのが問題で、発注して半年以上待たされることも珍しくない。これが、ビジネスで本格的にAI活用したいエンタープライズにとってブレーキになってしまう。そこをITADの機器で解決するというアイデアだ。

 Raplase RCAでは、在庫ありのGPUであれば、ダッシュボードからインスタンスを選ぶだけで最短即日利用開始可能。また、利用開始日が決まっているなら、予約しておくこともできる。提供形態は専有型と共有型があり、専有型は自社設置にも対応するという。

 料金は、ダッシュボードのWebサービスとインスタンスの組み合わせで、サブスクリプション形式での課金となる。

Raplase RCAの提供形態

富士通の技術とチューニングで性能を担保

 旧モデルのGPUを使うにあたっては、最新のLLMがメモリ不足などの理由で動かないという懸念がある。Raplase RCAでは、富士通の技術とエクストリーム-Dのチューニング技術を使ってこれを解決している。

 「富士通のAI Computing Broker(ACB)と我が社のチューニング技術によって、GPUメモリをホストメモリと連携して拡張。最新GPUでなければ動かせなかったワークロードを動かせる」(柴田氏)

Raplase RCAの性能チューニング

 さらに、Cornelis CN5000シリーズのSuperNIC、トップ・オブ・ラックのエッジスイッチ、ディレクタークラスの高密度スイッチを導入し、高速ネットワークによって通信のボトルネックを低減している。

今後のRaplase RCAの事業展開

 10月20日にサービスを開始しているが、2027~28年には提供機種の拡大や販売網の本格展開を目指している。TES-AMMはグローバル企業であることから、将来的にはこの事業の海外展開も視野に入れているという。

 「AIの需要が供給を追い越した今、既にあるGPUやデータセンタースペースをいかに早くお客様に届けるかが勝負ポイント。最も速く、経済的で、持続可能なサービスができるのが、このRaplase RCAだと思っています」(柴田氏)