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TOPPANホールディングス、NICT、ISARAの3者、認証局の耐量子計算機暗号へのシームレスな移行技術を実証
2026年4月10日 06:00
TOPPANホールディングス株式会社、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)、カナダISARAの3者は9日、インターネット通信のセキュリティ基盤となる認証局の仕組みにおいて、現行暗号から量子コンピューターでも解読が困難とされる耐量子計算機暗号(PQC:Post-Quantum Cryptography)へのシームレスな移行技術の実証実験に成功し、有用性を確認したと発表した。
インターネット通信では、通信相手が本物であることを証明する電子証明書と、それを発行・署名する認証局による公開鍵認証基盤がセキュリティを支えているが、公開鍵暗号は将来的に量子コンピューターに対して脆弱になると考えられており、PQCへの移行が必要となる。しかし、その移行の際に、認証局の最上位であるルート認証局の暗号アルゴリズムを耐量子化するにあたっては、サービスの分断や停止を招く恐れがあり、課題となっている。
実証では、ISARAが開発した、ECDSAなどの現行暗号からML-DSAなどのPQCへの移行を簡便にする「第2の暗号アジャイルルート認証局が発行する電子証明書(以下 第2ルート証明書)」を、NICTが構築した量子暗号ネットワークテストベッド上で、TOPPANホールディングスが開発したICカードシステムに適用した。
ICカードによる本人認証とWebアクセスを対象に、PQC移行過渡期の現行暗号とPQCが混在した環境をシミュレーションした結果、既存の認証基盤を停止させることなく、スムーズなPQC環境への移行を確認した。これにより、医療・金融・行政など長期的な機密性が必要な分野において、サービスを停止することなく量子コンピューターの脅威に対抗可能なセキュリティレベルへの段階的な移行に貢献するとしている。
実証の一部は、内閣府SIPプログラム「先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進」の支援を受けて実施された。また、実証の取り組みを、4月15日~17日に東京ビッグサイトで開催される「第6回量子コンピューティングEXPO【春】」で展示する。
3者は、今回の実証で得られた知見を基に、まずは高い安全性が要求される医療・金融業界などで実用化を進め、2030年ごろの本格的な社会実装を目指す。また、TOPPANホールディングスは実証で確立したスムーズな移行プロセスを踏まえて、ICカードシステムに限らず、WebサービスやIoT機器など多様な既存システムのPQC移行をサポートしていくことを目指す。さらに今後も、NICTなどと量子暗号ネットワークテストベッドのPQCを用いた高度化に取り組み、量子セキュアクラウド技術の基盤強化と社会実装を推進し、高秘匿情報を将来にわたって安全に流通・保管・利活用できるデータ流通基盤の構築を目指すとしている。
