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PwC Japan、サステナビリティ経営を通じた企業価値向上に向け3つの注力領域で支援体制を拡充

 PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)は9日、サステナビリティ経営を通じた企業価値の向上を支援するため、新たに「サステナビリティ戦略策定支援(ホリスティックアプローチ)」「サステナビリティサプライチェーン変革支援(システミックアプローチ)」「法定開示を起点としたサステナビリティ情報管理・統合思考経営支援」の3つの注力領域を策定して体制を拡充すると発表した。

 企業のサステナビリティ経営が実行・成果創出を強く求められる段階に入ったことを踏まえ、経済合理性を考慮してより実効性の高い取り組みを支援する。企業単体の支援にとどまらず、産業の垣根を越えたエコシステムの構築や、業界団体や政府関係機関と連携する活動の推進に貢献することも目指す。3つの注力領域では10月以降、新たなサービスを順次、開発・提供していく予定。

 PwC Japanでは、気候変動、生物多様性、資源・廃棄物、人権といった、単独では対応が難しい種々のサステナビリティ課題が表出し、悪化・変容し続ける中、対応は待ったなしの状況となっている。企業はこうした多様な課題に全方位的に対応するとともに、各種の規制・法令を順守することが求められていると説明する。

 一方で、課題への取り組みが進展するにつれ、施策間で相互影響(トレードオフまたはシナジー)が生じたり、データを活用した取り組みの巧拙による企業負担の軽重などが認識され始めたりしている。さらに近年では、環境や人権問題のほか、紛争や経済安全保障などの地政学的要因による資源や素材の安定的な確保への影響も顕在化し、最悪の場合は製造活動の中断といったサプライチェーンリスクに直結することもある。

 企業はこれまでになく多くのテーマに同時に対応し、変容し続けるリスクに対処する必要に迫られており、その取り組みにおいては、経済合理性と実効性を備えたサステナビリティ施策と、将来に向けた機会の創出を検討し、市場の期待に応え、それを超え続けることが必要となる。最近の動きとして、ネットゼロや資源循環といった大きなテーマに対しては、企業単体での取り組みを超え、大きなインパクトを求めて企業連合によるエンドツーエンドでの課題解決に向けた取り組みなども見られるという。

 こうした状況において、企業は事業活動を長期にわたって持続可能にするために、サステナビリティ課題に対処するだけではなく、経済合理性を持った強靭なサプライチェーンを構築し、競争力を強化していくことが不可欠だと指摘する。そのためには、バリューチェーン全体を包含する構造改革、ひいては産業全体のエコシステムの再定義が必要となり、制度面でもオペレーティングモデルの変革を求める規制やサステナビリティの開示基準が日本を含む世界各国において整備され、戦略から実行、開示に至るまで広範な対応が企業の競争力の源泉となる時代が到来しているとしている。

 PwC Japanでは、こうした企業を取り巻くサステナビリティ環境が大きく変化する中、経済合理性を持ったサステナビリティ経営の支援、および持続可能な産業の発展、社会全体のサステナビリティを実現するために、特に重要と考えられる3つの分野を注力領域と定め、これらの実行に適した組織体制を整備し、2025年7月に始動した。 新たな体制の下で3つの注力領域に対して支援を提供していく。

サステナビリティ経営支援における注力領域の全体像

 サステナビリティ戦略策定支援(ホリスティックアプローチ)は、多様化する環境・社会課題や経済合理性(財務的パフォーマンス)を、個別に検討して対応するのではなく、複数の要素を総合的(ホリスティック)に捉え、全体最適化を図った戦略を提示する。その戦略に基づいて変革の道筋を示し、対外的な開示につなげる支援までを行う。これにより、企業が中長期的な施策ポートフォリオを組み直し、資源調達戦略、効率的な経営資源の配分を策定できるようにする。

 サステナビリティサプライチェーン変革支援(システミックアプローチ)は、脱炭素や循環経済などの複雑な課題を解くサステナビリティトランスフォーメーション(SX)の実現に向け、システム思考に基づくエコシステム開発手法(システミックアプローチ)を活用し、ルール、ファイナンス、テクノロジー等の革新に焦点を当てたビジネスモデルの変革と、産業・企業の垣根をまたぐ事業構造改革やサプライチェーン変革などの検討、実装を支援する。

 法定開示を起点としたサステナビリティ情報管理・統合思考経営支援は、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)や企業サステナビリティ報告指令(CSRD)などのサステナビリティ開示基準への対応を起点に、企業の情報開示戦略から実行までの一連の取り組みを効率的・効果的に支援する。また、サステナビリティ情報の可視化を起点に、
企業のサステナビリティ対応が、自社の顧客への価値を生み出す取り組みにつながるよう、マテリアリティの適正化、戦略の高度化、価値創造ストーリーの構築などの支援を提供する。統合思考に基づき、企業の戦略立案、変革、開示といったサステナビリティ経営全般にわたって、中長期的な企業価値向上を支援する。

 また、これらの注力領域のサービス提供の基盤として、DXによるサステナビリティ業務の高度化・効率化支援、サステナビリティ専門知見の提供、業務管理のためのマネージドサービス支援なども強化していく。

 PwC Japanでは、これらの注力領域に関わるサービス開発を加速し、産業や社会の構造変化を乗り越え、新しい価値を生み出す支援を推し進めていくとしている。