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クニエ、コロンビアでスマートシティの実現に向けた実証を開始

 NTTデータグループの株式会社クニエは7日、総務省から「コロンビア共和国におけるICTを活用したスマートシティの実現に向けた調査実証」を受託し、コロンビアのカルタヘナ市で実証実験を2月6日(現地時間)から開始したと発表した。

 調査実証は、総務省が進める「日本が強みを有する質の高いICTの海外展開をサポートし、対象国における総合的な課題解決に貢献することを目指す取り組み」の一環で、コロンビアの情報技術通信省(MinTIC)の支援の下、カルタヘナ市の協力を得て実施。同国のスマートシティ化に向けて、スマートフォンアプリなどを用いた「市民参加型の都市課題解決」と、センサーを用いた「文化遺産保護」の2つについて、ICT技術を用いる効果を検証する。

 実証では、1)スマートフォンアプリなどを用いた「市民参加型の都市課題解決」と、2)センサーを用いた「文化遺産保護」の2つの効果を検証する。都市経営にICTを活用することに意欲的なカルタヘナ市政府およびMinTICと連携し、特に同市において優先度の高い都市課題の解決に向けて実証を行うことで、将来のスマートシティ実現に向けたロードマップを描くことを目指す。

 クニエは、受託事業者として、本調査実証における企画をはじめ、ソリューションの選定、コロンビア各団体との調整など、プロジェクト全体マネジメントを行う。

 市民参加型の都市課題解決では、自治体が都市課題を解決してくれるのを待つのではなく、市民が課題の所在を自治体にレポートすることで、迅速な解決を可能とする、スマートフォンアプリなどを活用したソリューションの効果実証を行う。

 限られた人員で自治体が都市全体をモニタリングすることには限界があり、道路や建物等の破損状況を把握し、対応するには多くの時間を要する。そこで、市民が問題を発見し、レポートする仕組みを整えることで、解決の効率性と迅速性、そして市民と行政の協働を高めることを目指す。日本では同様の仕組みがすでに多数の自治体で導入されており、実証ではこれら日本の経験をもとに、コロンビア向けのアプリケーションを構築する。実証期間中、カルタヘナ市民が参加し、各自のスマートフォンなどの端末から写真と位置情報をアプリケーション上にレポートできる仕組みを整える。

 実施場所はカルタヘナ市全域。参加者はカルタヘナ市役所職員およびその関係者。実施期間は2月6日~3月8日(予定)。

 文化遺産保護ソリューションでは、文化遺産の保護を目的とし、建造物における劣化や損傷の回避、および観光資源としての有効活用を支えるため、温度や湿度、訪問観光客数などあらゆる監視項目をセンサーで測定するソリューションを導入し、実証を行う。

 このソリューションは、侵入や損傷などの非常時には登録したメール・SMSに自動でアラートを送信でき、24時間リアルタイムの管理が可能になる。また、分析結果をダッシュボードにグラフ化して表示することで、遺産の状態情報を視覚的に確認できるようになる。これにより、文化遺産保護に必要な、維持管理コストの軽減やリスクの回避に寄与する。

 実施場所はコロンビアのアドルフォ・メヒア劇場。実施期間は2月6日~3月8日(予定)。

 クニエでは、今回の実証は、スマートシティの実現に向けた第一歩の位置付けであり、カルタヘナ市はこの実証を足掛かりに、中堅・中小都市におけるスマートシティのモデルケースとなることを目指すと説明。また、クニエはスマートシティの実現を通じて、中南米をはじめとする海外諸国の都市課題の解決に貢献していくとともに、諸外国のより良い都市実現に向けて、NTTデータグループの技術・知見を活用した事業展開を積極的に行っていくとしている。