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NTTデータとSAP、壊れやすい貨物の輸送を追跡して保険手続きを円滑化するソリューションを開発

 株式会社NTTデータとSAPアジア・パシフィック・ジャパン(APJ)は12日、サプライチェーン保険管理を強化するパッケージ化された新たなソリューション「Connected Product」を発表した。同ソリューションは、2020年に発表したNTTとSAPによる戦略的提携をもとに、NTTデータとSAPにより共同で開発した。

 Connected Productは、輸送中の貨物について、位置と輸送状態を監視するソリューション。特に、ソーラーパネルなどの壊れやすいものや、ワインやオリーブオイルなどバルク輸送の液体、チーズや医薬品またワクチンなどの温湿度管理が必要な品物の追跡に有効となる。

 サプライチェーン全体を可視化し、貨物の破損や遅延にも迅速な対応を可能にすることで、従来の貨物保険への加入や保険金請求などの手続きの負荷を軽減し、貨物の期限内での輸送を支援する。

 Connected Productは、ビジネスプロセスに関する追跡情報を管理する「SAP Business Network for Logistics, Global Track and Trace Option」をベースに、NTTデータの「スマート保険ポリシー管理ソリューション」を活用して拡張開発した。

 輸送状況をリアルタイムにエンドツーエンドで監視し、貨物に影響を及ぼす可能性がある変動要因を捉え、貨物が事前に定められた条件で輸送されていない場合は、自動的に保険ポリシーの適用対象となる。SAP Business Network上のソリューションとして、各利害関係者間の責任範囲を明確にし、輸送保険の管理をさらに容易にする。さらに、すべての出荷および保険に関する書類をデジタル化することで、サプライチェーン全体にわたるトラッキングと保険の一連の手続きを簡素化し、保険会社・保険再販者・物流会社といったエコシステム全体のコストを削減する。

 現在、日本・ドイツ・スペインのNTTデータとSAPのConnected Productチームは、パートナーであるスペインの物流会社やドイツの保険会社と共同で、Connected Productを活用した実証実験を実施している。

 実験では、20社の荷主およびヨーロッパ・アジア間を輸送する数百ものコンテナを実験対象として、IoTセンサーによって収集したデータをもとに、貨物に重要な条件である温度・光度・衝撃(値)などが輸送中に維持されていることを確認しており、これらの情報から、顧客は貨物に異常事態が発生した場合でも、即座に対応できるようになるとしている。

 実証実験は、2022年9月まで実施された後、NTTデータにより国際的な保険・物流会社向けに、実ビジネスへの適用を予定するとしている。

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