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商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで素早く自動登録――、NECが新AI技術を開発

画像認識で必要な商品登録作業の省力化を実現

 日本電気株式会社(以下、NEC)は9月30日、商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで、画像認識に必要な登録作業を即座に完了できるAI技術を開発したと発表した。専用撮影機材や人手による正解付け作業が不要なため、商品登録作業を大幅に省力化できるという。

 この「画像認識向けインスタント物体登録技術」は、画像認識による商品管理に不可欠な商品登録作業において、商品を手に持ってカメラの前で動かすだけで、どこでも素早く商品を自動登録できる技術。商品を手に持ちカメラの前で10~20秒回転させるだけで、商品の画像認識に必要な多数面の画像を、学習データとして自動収集できるという。

 撮影にあたっては専用機材が不要で、カメラ1台だけで撮影できるため、これまで実現困難だった小売業や物流業の現場においても、手軽な商品登録が可能になる。このため、小売店舗での店舗限定商品の登録や、倉庫や工場ごとに取り扱われる物品の登録も、その場で即座に行えるとした。

 なお本技術では、撮影した商品が画像内で動いていることを利用して、人手による正解付け作業をAI技術で自動化し、画像認識モデルを自動的に構築する。具体的には、カメラ画像から動いている前景である商品と、動いていない背景を分離することで、どのような複雑な背景であってもきれいに除去し、商品の画像領域だけを正確に切り出せるとのこと。さらに、商品を動かすことによって発生する画像のブレや、手による隠れなど、学習データとして不適切な画像を自動的に除去することも可能だ。

 NECによれば、この技術により、従来、1つの商品あたり約30分かかっていた人手による正解付け作業を自動化できるとのことで、今後は技術開発を強化し、2022年度の製品化を目指すとしている。