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共和薬品工業、SAP S/4HANAベースの基幹業務システムをAWS上に構築

日立ソリューションズが支援、9カ月の短期間で新システムを導入

 株式会社日立ソリューションズは11日、共和薬品工業株式会社が、基幹業務システムをSAP ECC 6.0からSAP S/4HANAに刷新したと発表した。新基幹システムは、要件定義で課題の優先順位を明確にして、カスタマイズ開発する機能や移行データを最小限に抑えることで、9カ月という短期間で構築を実現しており、2020年11月2日より稼働を開始している。

 共和薬品工業は、2007年からインドの後発医薬品メーカーであるLupinグループの1社として事業を展開しており、従来はLupinグループ共通のSAP ECC 6.0をベースとする基幹業務システムを利用してきたが、ユニゾン・キャピタルへの株式譲渡によって、2019年12月に再び独立企業になることが決まり、TSA(Transition Service Agreement)の期限である2020年12月までに新システムに移行する必要が生じていた。

 また従来システムでは、グループ共通のシステムを利用する関係上、日本独自の商習慣を踏まえた組織体制にあわせてコード体系を変更する、新しい帳票を追加するといった、他国の利用者に影響がある機能変更・拡張への対応は難しい状況だったという。また、インドで稼働しているシステムを日本からネットワーク経由で利用していたことから、大量データ転送時のシステムの処理能力不足やレスポンス速度の遅さ、ネットワークの遅延も深刻な問題になっていたとのこと。

 共和薬品工業は、新システムを構築するにあたって、こうした従来の課題の解決も踏まえて新システムを検討。すでに相当数の導入実績があり、パフォーマンス向上も期待できるSAP S/4HANAを選択するとともに、運用管理工数の削減などを図るため、クラウドサービス環境での運用を決めた。

 そして導入時のパートナーとして、130件超の導入実績を有するSAPソリューションをベース、医薬品業界の業務知識を持つこと、また稼働前のリハーサルなど、慎重かつ実現性の高い計画を提案したことなどを評価し、日立ソリューションズを選定している。

 新システムでは、クラウド環境にSAP S/4HANAを基盤として基幹業務システムを構築したため、大量データの高速処理や分析が可能になったほか、現在の2倍の受注量になってもシステムの増強は不要。また自社専用のシステムのため、機能変更や他システムとの連携などが可能で、拡張性や柔軟性が向上した。

 さらに、データ処理能力やレスポンス速度といったパフォーマンスは3~5倍に向上しており、従来の数十倍のスピードで帳票作成が可能な性能を実現。結果として、受注・出荷・請求業務の処理時間が従来の半分になったとしている。

 なお、クラウド基盤にはAWS(Amazon Web Services)を採用し、99.99%の可用性を実現するとともに、ディザスタリカバリ(DR)環境も構築しており、大規模災害時に備えたシステム構成となった。

 このほか運用にあたっては、日立ソリューションズの運用支援サービスを利用しており、システム管理者の運用の負荷を軽減している。