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NTT Com、GPUサーバーなど超高発熱機器対応のデータセンター環境を提供

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は16日、同社「東京第8データセンター」において、最大発熱量30kW/ラックに対応しつつ冗長性を確保した空調システムを導入することで、これまで不可能だったGPUサーバーのラックへのフル搭載が可能な環境を実現すると発表した。

 NTT Comでは、AIなど膨大な計算処理を必要とする技術のニーズが急速に高まり、これらを扱うGPUサーバーなどの運用が可能なデータセンターの整備が急務になっているが、一般的なデータセンターのラックは通常のサーバーの発熱量である4~10kW/ラック程度を想定した設計となっており、例えば1台で3kW程度の高発熱型のGPUサーバーは、1ラック内のスペースに十分な空きがあっても実質2~3台しか設置できなかったと説明。今回、新たに超高発熱機器の冷却が可能な高信頼空調システムの導入により、GPUサーバーのラックへの高密度設置を可能にした。

 ラックの背面扉に屋外冷却設備で作られた冷水を循環させて冷却する方式(リアドア型)を採用することで、最大30kW/ラックまでの発熱に対応した環境を提供。これにより、GPUサーバーのラックへの収容効率が高まり、ラック利用数の節減が可能になることから、運用コストが削減できるだけでなく、GPUサーバー機器間を低遅延で接続することで、より高性能なパフォーマンスを発揮させることが可能になる。

リアドア型空調機のイメージ

 空調システムは、UPSや非常用発電装置を利用することで、24時間365日無停止で安定した能力を発揮する。また、リアドア型の冷却方式では、空調機が故障した場合には排熱がラック内にこもり、サーバー機器に障害が生じることが懸念されるが、採用した空調システムでは複数の空調機を互いに向い合せて配置し、正常機から排出される冷気を故障機から排出される高熱と混合して温度を下げる空間を設けることで、空調機が1台故障した場合にもシステム全体で十分な冷却を維持できる冗長性を確保している。

 さらに、漏水によるリスクを抑えるため、冷却水の配管は防水加工を施した二重床下へ設置し、漏水センサーによる監視を行うなど、信頼性を高めた設計を行なっているという。

 NTT Comではこの環境の提供を、東京第8データセンターの一部で2018年度第4四半期に開始し、需要に応じて順次拡大していく。さらに顧客のニーズに応じて、コールドプレート方式や液浸方式など、消費電力を大幅に削減し、より効率的な冷却を可能とする、さまざまな次世代空調方式の導入も検討していくとしている。