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“Analytics of Everything”の時代に備えよ――、IoTとクラウドへのシフトを進めるTearadata
Teradata PARTNERS 2015レポート
(2015/10/21 11:11)
Teradata on AWS:クラウドへのシフトを始めたTeradata
PARTNERS 2015の開催前の10月7日(米国時間)、Teradataは2016年第1四半期からTeradata DatabaseをAWSから提供すると発表した。業界から驚きをもってこのニュースは伝えられたが、ラッツェンバーガー氏は基調講演の壇上で「クラウドはいまやTeradataにとって非常に重要な戦略」と明言している。
オンプレミスのアプライアンスビジネスが中心だったTeradataが、クラウドへのシフト、それもAWSとのパートナーシップを提携した背景として、クラウドにおけるデータグラビティの傾向を無視することはできないだろう。ラッツェンバーガー氏は「多くのデータがクラウドで生まれるようになっている現在、クラウド上で処理を完結したいというニーズが出てくるのは当然だ。そのための施策の一環としてパブリッククラウドでのTeradata Database提供を選んだ」と語る。現在のパートナーはAWSのみだが、Microsoft AzureやGoogle Compute Platformでの提供も検討されているという。
Teradataはすでに自社のマネージドクラウドサービスである「Teradata Cloud」を提供しており、Netflixなどが大口ユーザーとして知られている。だがTeradata CloudはTeradataアプライアンスをベースにしたベアメタルサービスであるため、エンタープライズクラスの企業がメインユーザーだ。新しいユーザー層を取り込むというよりは、既存のユーザーにとってのサブシステム的な利用が中心だったといえる。
AWSでの提供は、もっとライトな利用に特化していることをTeradataは強調している。Teradata Cloudで提供されているAsterによるアナリティクスサービスやMarketing CloudなどはAWSでは提供されない。かわりに、1インスタンス数万円程度でTeradata Databaseを手軽に利用できる。データベースのディザスタリカバリ環境を低価格で構築したいといったニーズにも対応できるだろう。
だが、より興味深いのは、低価格でTeradataを利用できるだけでなく、「AWSのユーザーがTeradataを使うようになる」という点だ。Teradataはこれまで顧客との関係性を非常に重視してきており、顧客のことを深く知るということをビジネス戦略の中心にしてきた。しかしAWS上でTeradataを使うユーザーはあくまでAWSユーザーであり、Teradataが彼らの情報を知ることはない。そうしたライトなビジネスを同社が受け入れたことについて、Teradataのある関係者は「非常に大きな文化の変更(cultural shift)」だと表現している。
ビジネスの方針を変更させるほどに、クラウドの影響力が大きくなってきたことのあらわれといえるだろう。
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ラッツェンバーガー氏はIoT時代におけるデータアナリティクスのポイントを3つ挙げている。
・すべてのデータを分析し、データのサイロ化を避ける
・アナリティクスのためのエコシステムを構築する
・信頼できるパートナーを選ぶ
このポイントはそのままTeradataのビジネスにも当てはまる。オンプレミスで構築していたアナリティクスのエコシステムをクラウドにも拡張し、新しいパートナーシップにも積極的に臨む――。
コーラーCEOの言葉にあるように、自ら変化する力こそが存在し続けるためのキーファクタとなることを、Teradata自身は証明しようとしてる。