Twitterの新戦略が始まった？　まずDMの文字制限緩和

Twitterの価値は「影響力」

　誰がTwitterのCEOになっても、投資家の懸念を払拭しなければならないことに変わりはない。Twitterの株価は年初50ドル付近を推移していたが、第1四半期の決算発表を境に40ドルを下回り、8月に入ってからは30ドルを切っている。

　広告収入に依存するソーシャルメディアサービスでは、ユーザー数が要となる。ForbesはTwitterの問題を「Twitterそのものの顧客価値が問題ではない。むしろ、問題は新規ユーザーとのコミュニケーションに起因している」と指摘する。Twitterへの新規登録は多いが、継続して使い続けるアクティブユーザーになる率は低い。このためTwitterプラットフォームを新規ユーザーにわかりやすく・使いやすくすると同時に、既存のパワーユーザーを満足させる複雑な機能も要求されているというのだ。

　Motley Foolのコラムニストは、DMの文字数上限の撤廃に合わせ、次はツイートの文字数制限撤廃が必要だと言う。「2006年にTwitterがスタートした当初は、携帯電話のSMSの160文字上限に、タイトルの分を加味して、140文字の制限を設け“インターネットのSMS”とした」と経緯を説明。しかし、この上限がもはや「平均的な人にはアプローチしにくい」ものになったと主張している。

　「すでにツイートには写真、動画、絵文字、GIFファイルを付けることができる。それでも140文字の上限撤廃には抵抗を見せており、これは生き残るために自己を変革しなければならないハイテク業界では破滅に等しい」と厳しい。

　US Moneyは、Twitterにはなお大きな潜在的可能性があるとして同社を支持する。財務面では、第2四半期の業績はまずまずであり、「成長率が前年同期比61％増にとどまるなどTwitterの問題とされるものの多くは、ほかの企業が抱えている問題とさほど変わらない」という証券アナリストの意見を紹介する。

　US Moneyが大きな潜在性と見るのが、その影響力だ。毎日約5億件のツイートが飛び交っているが、冬恒例のスーパーボウル、NBAファイナル、アカデミー賞とさまざまなイベント、ミズーリ州ファーガソンで起こった警官の黒人少年射殺に抗議する運動など、Twitterはハッシュタグで人々を引き寄せ、議論し、情報を共有する場となっている。

　英国王室は、先の王女誕生をTwitterで発表している。3億200万人のアクティブユーザーの中には、各国のトップ、セレブもたくさんおり、「Twitterはすべてのライブイベントを所有している。だがFacebookでライブイベントを楽しむ人はいない」と別のアナリストは言う。

　当のTwitterも、もちろん手を打っているようだ。社内では、「Project Lightning」という新しいプロジェクトが進んでいるといわれている。最初に報じたBuzzFeedによると、Costolo氏時代に立ち上げられたもので、「イベントに基づいてキュレーションされたコンテンツを提供する」という。写真や動画などのマルチメディアも利用され、ほかのアプリをはじめWeb上で埋め込みも可能としている。

　製品担当のKevin Weil氏はBuzzFeedに「ツイートを見る全く新しい方法になる。大胆な変更であり、単なる進化とはレベルが違う」とその位置づけを語っている。Project Lightningのローンチは数カ月後という。