週刊海外テックWatch

乱立するエージェント標準の本命になれるか MetaとSierraが主導する「Personal Agent Protocol」
2026年10月13日 11:33
企業向けエージェントを手がけるSierraが、オープン標準「Personal Agent Protocol(PAP)」を発表した。利用者の代理として動くパーソナルエージェントが、WebサイトやAPIを通じて事業者とやり取りする際の共通ルールを定めるものだ。買い物や手続きをエージェントに任せる動きを見越して同様の標準案が相次ぐなか、Sierraと、個人向けエージェント「Muse」を展開するMetaが中心となっていることが注目される。発表から3日後の10月9日には、OpenAIやVisa、Mastercardなど35社が設計パートナーに加わった。ただ、標準になれるかは、並立する標準との関係にかかっている。
エージェントが事業者とやり取りする共通ルール
PAPは、10月6日にサンフランシスコで開催された「Sierra Summit」に合わせて発表された。Sierraは、認証などの大きな課題のいくつかを解決し、企業が消費者に力を与え、パーソナルエージェントに提供する機能を決められるようにすると説明する。誰でも実装できるオープンな標準という位置付けだ。MetaとSierraのほか、Genesys、Instinct、Rocket、Shopify、Stripe、Walmartなどが初期パートナーとして参画した。
開発の背景には、パーソナルエージェントの動き方の非効率がある。Sierraによると、多くのエージェントは人間と同じようにWebサイトやアプリのページを読み込み、フォームを操作する。それで済まないときは、事業者のサポート窓口に電話したりWebチャットを開いたりするため、時間がかかるうえ失敗することもある。事業者と直接つながる経路があれば、同じ作業を安全に数秒で終えられる、というのが同社の主張だ。
PAPの仕組みは次のようなものだ。エージェントはまず事業者のWebサイトで提供サービスと接続方法を見つけ、利用者に代わってセッションを始める。最初はゲストとして、在庫の確認や返品ポリシーの照会を行う。アカウントへのアクセスが必要になれば、利用者が事業者のページでサインインするか、エージェントに設定済みの認証情報を使う。読み取り専用にするか、読み取りと書き込みの両方を認めるかは利用者側で決める。
セッションは認可の標準であるOAuthをベースにしている。事業者は、パーソナルエージェントの受け口を、自社のWebサイト、MCP(Model Context Protocol)などに基づくAPI、事業者自身のAIエージェントの3つから選べる。
Sierraは10月9日、PAPの草案(通称Poppy)を公開した。OpenAIやVisa、Mastercard、Adyen、BBVA、Cloudflareなど35社が新たに設計パートナーに加わっている。今後1カ月で設計ワークショップを開き、開発者向けの参照実装を公開する予定だ。将来は、より細かな権限設定、プッシュ通知、カード情報を共有せずに購入を完結させる決済への拡張なども挙げている。