クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

ハイブリッドクラウド環境をシンプルにするハイエンドクラスのストレージ――IBM FlashSystem 5200

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2021年春号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2021年3月31日
定価:本体2000円+税

IBM FlashSystem 5200

 日本アイ・ビー・エム株式会社は2021年2月10日、19インチラック1Uのコンパクトな設計で、物理容量約460TB、最大容量1.7PBまで搭載でき、NVMeサポートなどハイエンドクラスの機能を備えたストレージシステムIBM FlashSystem 5200を発表した。

 IT環境は、マルチクラウド、マルチベンダーの多様なシステムが複雑に連携するオープンでハイブリッドなIT環境になってきている。ITが複雑になることで生じる課題、コスト、リスクに対応するためには、インフラストラクチャ全体を最適化することに加え、ストレージもシンプルにしていくことが重要だ。

 FlashSystem 5200は、IBM FlashSystem製品群では最もコンパクトで、最新のIBM FlashCoreモジュールを搭載し、フラッシュストレージのために最適化された通信プロトコルであるNVMeをサポートすることで、70マイクロ秒未満の応答時間を実現する。また、Intel、Samsungのストレージクラスメモリードライブをサポートし、統合ストレージ管理ソフトウェアIBM Spectrum Virtualizeを活用すれば、500を超える異機種のストレージシステムが混在した環境を統合管理することができる。

 ストレージに障害が発生しても別のストレージに切り替えて無停止で業務を継続できる HyperSwap機能により、高可用性を実現。ハイブリッドマルチクラウド環境をはじめ、ベアメタル、コンテナなど多様な仮想化したインスタンスで活用でき、他社製品ともシームレスに連携できるため、すべてのワークロードに、優れたパフォーマンスや最適なコスト効率を提供する。

 Red Hat OpenShift、Kubernetes用Container Storage Interface(CSI)、Ansible Automation、Kubernetes、およびVMWareやベアメタル環境をサポートし、ストレージ環境全体を可視化するIBM Storage Insightsと、ストレージを統合および管理して1つのプールのように見せるIBM Spectrum Virtualizeも提供。サイトで障害が発生した場合に自動フェイルオーバーをサポートするIBM HyperSwapなどのデータ復元機能も含まれている。サイズが従来のストレージシステムの半分であるにもかかわらず、前モデルよりもI/Oが最大66%高速化し、データスループットは40%高い21GB/秒となっている。

 IBMでは、IBM Cloud Satelliteのサポートを、FlashSystem製品群、IBM SANボリュームコントローラー、IBM Elastic Storage System、およびIBM Spectrum Scaleにまで拡大させる予定。IBM Cloud Satelliteによって、企業はクラウドサービスを、パブリッククラウド、オンプレミス、エッジなどどこにでも、迅速かつシンプルに構築、デプロイ、管理できるようになる。IBMCloud Satelliteは、統一されたインターフェースを通じて操作できるサービスとして提供され、IBMのパブリッククラウドである「IBM Cloud」を介して管理する。

 さらにIBMは、オンプレミス環境とIBMクラウド、またはAmazon Web Servicesとの間の異種混合ストレージシステムからデータを複製、移行できるようにするソフトウェアであるIBM Spectrum Virtualize for Public Cloudを更新する予定であることを発表している。IBMでは、2021年の第3四半期のベータプログラムから、同じ機能をMicrosoftAzureにも拡張することを計画している。