クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画

古いサーバーの処分費用がゼロになる!? 情シスの負担を減らす「データセンター撤去サービスPlus」の仕組み

 データセンターのIT機器は、5年、早ければ3年で入れ替えの時期を迎える。そのたびに企業は、新しい機器の購入に加えて、古い機器の撤去や廃棄、データ消去にも費用と手間をかけてきた。メーカーの保守期間が終わった機器も引き続き保守する“第三者保守”を手がけるデータライブの「データセンター撤去サービスPlus」は、不要になった機器を撤去から搬出まで一括で引き受けて買い取り、自社の保守部品として再生させる。撤去と保守が部品調達でつながる仕組みと、その意義について、同社 ロジスティクスサービス本部 本部長の竹腰 徳広 氏に話を聞いた。

データライブ株式会社 ロジスティクスサービス本部 本部長 竹腰 徳広 氏

システム更改で生じる撤去の負担

 システム更改にかかるのは、新しい機器の代金だけではない。竹腰氏は、ユーザー企業が抱える負担を次のように整理する。

 「お客様は更改の際、新しい機器を購入し、古い機器からシステムを移行します。そこで発生するのが、新しい機器を買うコストと、古い機器を廃棄するコスト。それに、更改作業の工数と人員です」

 これに対しデータライブは、機器ごとに2つの選択肢を示す。更改の必要がない機器や、用途を変えれば長く使える機器は第三者保守で延長を支援する。更改して不要になった機器は買い取り、その収益を新しいシステムの購入費用に充ててもらうこともできるという。

 撤去作業の中身は案件によって異なる。ラックの中から特定の機器だけを間引いて引き取るケースもあれば、ラックごと引き取るケースもある。

送付が前提の買取から、撤去まで一括で担うサービスへ

 データセンター撤去サービスPlusは、以前は資産買取サービスの名称で提供されていた。名称の頭に「データセンター」を置いた理由を、竹腰氏はこう説明する。

 「当社の第三者保守は、データセンターに導入されるサーバーやストレージ、ネットワーク機器を主に扱っています。私たちが必要としているのも、データセンターに設置されている機器なのです」

 撤去を前面に出したのにも理由がある。同社によると、従来の買取は顧客が機器をデータライブに送付するのが前提だった。しかしデータセンターではラックに搭載された機器を顧客が自ら送れず、引き取りを求められることが多い。そこで運搬まで含めて請け負うことにした。買取は同社が代金を支払い、撤去は顧客から費用を受け取る。その両方を一括で対応できる点を打ち出すため、サービス名を変えたという。

 顧客の管理負担も減る。同社によると、機器を廃棄すれば産業廃棄物となり、顧客は産業廃棄物管理票(マニフェスト)を管理し、一定期間エビデンスを残さなければならない。買取であれば機器は有価物としてデータライブに売却した扱いになり、マニフェストの管理は発生しない。撤去費用が買取額を上回っても、廃棄したことにはならないと竹腰氏は明言する。資産としての売買と撤去費用は別だからだ。

 データ消去の方法も、買取価格に関わる。データ漏えいを懸念し、ディスクやSSDをデータセンターから持ち出す前に物理破壊するよう求める顧客も多い。持ち出した後、埼玉県にある同社センターで破壊することを買取の条件とするケースもある。

 もう一つの選択肢が、データだけを消して機器を残す論理消去だ。同社にとっては、こちらのほうが「非常にありがたい」という。「論理消去でデータだけを消し、消去証明書をお出しします。それで許していただけるお客様の機器は再利用できるので、その分、買取価格を上乗せできます」と竹腰氏は続ける。

 いずれの方法でも、保守で培ったノウハウが生きている。保守では、障害で交換したハードディスクを、顧客のデータが入ったまま持ち帰る。同社はそれをデータ消去してから廃棄する手順を運用しており、撤去で買い取った機器も同じ手順で扱う。データの扱いについても、顧客に安心してもらえる体制だという。

転売ではなく保守部材として買い取る

 第三者保守サービスの保守部材調達を兼ねて撤去サービスを始めた同社だが、必要な部材がすべて買取で賄えるわけではない。

 竹腰氏によると、同社の部材調達には「仕入」と「買取」の2つがある。仕入は、海外を含む中古ブローカーなどから欲しい部品をピンポイントで買い付けるもので、需要と供給で価格が決まるため高くなりやすい。外から仕入れるくらいなら、買取額を上げてでも買い取った方が安く済む場合もあるという。

 実際、ストックしている部材の割合は、買取が圧倒的に多い。同社によると、点数でおおむね8割が買取、2割が仕入だ。ただ最近は、早めに保守を求める顧客が増え、仕入がやや増えているという。

 同社が買取で特に求めているのは、EOSL(End of Service Life:メーカー保守サービスの終了)直前の、できるだけ新しい機器だ。メーカー保守が切れた直後から第三者保守を依頼されれば、その時点で部品がそろっていなければならない。竹腰氏は、まだ「賞味期限がギリギリ残っているぐらい」の機器が狙い目だと表現する。

第三者保守で使い続けるという選択肢

 撤去サービスの背景にある第三者保守とは何か。竹腰氏は「第三者保守は、メーカーに依存せずに機器の保守サービスを提供するもので、主にメーカー保守が切れた機器が対象です」と説明する。

 同社によると、メーカーのEOSLが先に来てしまい、移行にはあと2年ほど必要だという場面で採用されるケースもあるという。メーカーの延長保守は、通常の保守料金から割増しで設定されることが多い。同社はメーカー保守と比べて比較的安い料金を提示できるよう努めており、メーカーを問わず窓口を一本化できる点も利点だ。

 「あるシステムをまるごと延長させるときに、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器のそれぞれにメーカーの延長保守を契約すると、窓口が3つになります。第三者保守ならば窓口を1つにまとめられます」(竹腰氏)

 メリットは保守料金だけにとどまらない。機器を入れ替えるたびに、検証やテスト、機器の購入、移行作業が発生し、人・物・金がかかり続ける(図1)。そのまま使い続けられれば、入れ替えを別のタイミングにまとめ、その間の負担を減らせる。そうなれば、浮いたエンジニアのリソースを新規プロジェクトに充てられる。

図1:サポート期間に合わせてシステム更改を粉うと、都度、人・物・金が必要になる

 足元では、半導体不足やメモリ価格の高騰も第三者保守の需要を押し上げている。竹腰氏によると、新しい機器の納期が確約できず、今使える機器を延長して使い続ける判断をする顧客が増えているという。

 延長か更改か、時期によって判断に迷う顧客は少なくない。同社には、そうした顧客から相談が寄せられる。保守を継続するつもりで声をかけてきた顧客が、話すうちにやはり入れ替えると決めることもある。その場合は保守の営業から買取の部署へ話がつながり、両部門が連携して対応しているという。

2800社超の保守実績と撤去の利用企業

 同社サイトで毎日更新している保守契約の実績は、2026年10月8日時点で累計16万4129台、2830社に上る。同時点で保守部品として保有するのは、筐体7万6209台と、ハードディスクやメモリなどの部品約42万6000個で、合わせて約50万点。これらを、床面積約1万1000㎡の倉庫「GRANDOCK KSC」に備蓄している。

 同社によると、保守の利用企業は大手銀行や通信業界、病院、自動車、社会インフラ系など幅広い。取引先として最も多い業種はシステムインテグレーター(SIer)で、顧客の更改を待つ間の保守を同社に依頼するケースも多いという。

 一方、撤去サービスは案件ごとのスポットの依頼で、依頼する企業はさまざまだ。「データセンターではまとまった量を買い取ることが多いですが、オフィスの一角でデータセンター向けの機器を使われている企業もあります。1台、2台の少量でも買い取っています」と竹腰氏は話す。

 対応エリアは沖縄を含む全国で、離島も運送手段が確保できれば対応する。ディスクを多数搭載して数百キロに及ぶ大型のストレージやサーバーも、規模を問わず引き取れる体制を整えている。

部品を捨てずに使い切る、第三者保守ならではの循環

 第三者保守の事業者が撤去を手がける意義はどこにあるのか。竹腰氏は、まず保守部材の調達のためだと前置きしたうえで、目指す姿について語る。

 「保守のご依頼をいただいてから探すのではなく、必要とされた段階で部品がそろっていることを目指しています。そのために、大きな備蓄倉庫を構えてたくさん買い取っています」

 保守を利用する側にとっては、部品の出どころも重要だ。保守の顧客は素性の分かる部品を使ってほしいと考える。海外から入った部品について、チップが加工されていないかを気にする顧客もいた時期があるという。国内で直前まで動いていた部品の方が安心できるため、国内での流通を増やそうと買取に力を入れているという。

 「買い取った機器はすべて、どこから来たのか、どの筐体から取り外した部品で、どの検査を受けてどんな結果だったのかまで、データを残しています。保守部品に転化された後、どのお客様の障害対応で使われたのかまでトレースできます」(竹腰氏)

 検査には、自社で開発した中古品向けのプログラムを使い、合格したものだけを保守部品にする。届いた時点で壊れているものやテストに合格しないものは、資源として回収業者に回している(図2)。

 「IT機器は貴重な資源の塊です。捨てるなんてもったいない。すべて資源化しています」と竹腰氏は言い切る。

図2:買取から検査・再生を経て保守部品へ。使えないものは再生資源にする

 同社は、顧客がスコープ3(サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量)を開示する際の材料づくりにも乗り出す。11月から、保守を継続した場合に機器を置き換えるのと比べてどれだけ環境負荷を減らせるかを、見積の段階で数値として示す予定だ。開示に採用されるかは顧客側の判断になるが、使い続けることの効果を示す根拠として提示していく。

 同社が今後に向けて視野に入れるのは、GPUサーバーだ。中古市場にはまだあまり出回っておらず、価格も非常に高い。

 最後に竹腰氏は「GPUサーバーを使っている企業はまだ限られ、まとまった量を買い取れるルートが確立されていません。リース会社様なども含めて協議し、機器を流していただける仕組みを構築しなくてはいけない。課題はたくさんあります」と語った。