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Vertiv Japan、新オフィスと「Vertivエクスペリエンスセンター」を開設
2026年10月21日 06:00
データセンター向けファシリティをグローバルに提供するVertivは、2025年2月に日本法人を設立している。そのVertiv Japanは10月15日、品川区天王洲に日本オフィスを正式に開設した。サービスエンジニア、営業担当者、管理部門のスタッフで構成されるチームが業務を行う。
Vertiv Japan新オフィスの役割
開所式には、Vertiv Asiaのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるポール・チャーチル氏も来日。以下のように述べている。
「アジア全域は、AI導入の加速、クラウドの拡大、デジタルトランスフォーメーションによってインフラ要件が大きく変化し、クリティカルなデジタルインフラへの需要が急速に高まっている。アジアは、Vertivにとって引き続き戦略的な成長地域であり、継続的な投資によってデジタル経済を支えるインフラの構築および運用を支援する」(チャーチル氏)
Vertivでは、日本法人設立前は代理店経由での販売を行っていた。直接投資に踏み切った理由を、Vertiv Japanのセールスマネジメントディレクター兼カントリープレジデントの倉橋健氏は、次のように説明する。
「代理店経由のビジネスに問題があるわけではなく、グローバルの顧客のプロジェクトが複雑化し大規模化するにつれて、いつまでも代理店を通してくださいと言うわけにはいかなくなった」(倉橋氏)
倉橋氏は、日本法人の役割として、以下の3点を挙げている。
- 日本市場へのコミット
- 既存顧客の日本における大規模プロジェクトへの対応
- 国内パートナーと連携するための直接対話
また、外資系の既存顧客からの要望で設立した日本法人だが、進出してみると国内企業からの引き合いも意外と多かったという。2025年から26年にかけては既存顧客の日本進出プロジェクトだけで売上目標を達成する勢いだったが、これからは国内事業者向けにもさらにビジネスを広げたい意向だ。
Vertivエクスペリエンスセンターを併設
オフィスには、ショールームである「Vertivエクスペリエンスセンター(VEC)」が併設され、最新技術およびソリューションを体験できる。
VECでは、プレファブ式モジュール型AIデータセンターのミニチュアモデルなどが展示されるほか、VRアプリケーションを活用したインタラクティブな体験を提供する。
日本にVECを開設した狙いとして倉橋氏は、以下のように言う。
「新規顧客となる日本企業の方はもちろん、既に海外で弊社ソリューションを採用されているグローバル企業でも、日本支社の方はVertiv製品を見たことがない。また、AIデータセンターの技術は日進月歩で、既にVertivを知っている方も技術のキャッチアップが必要になる。さらに、日本国内で建設する際の設計会社の方が、どのような製品が入るのか見に来るというケースもある」(倉橋氏)
日本のVECは、手始めとしてのミニチュアやVRでの体験になるが、その先には実際の製品が展示されているシンガポールのVEC、さらにマレーシアの工場で製造工程を見るというフルコースがあるという。
Vertivが捉える市場環境と事業戦略
新オフィスのお披露目と同時に、事業戦略の説明も行った。
Vertivでは、データセンター市場の最前線で何が起きているかをVertiv Frontiersというコンセプトで説明している。AIの台頭と計算能力向上は、電力供給という大きな課題に直面しており、データセンター業界が再編成されている。キーワードは、以下の4つだ。
- 極端な高密度化
- 迅速なGWスケール化
- 計算単位としてのデータセンター
- シリコンの多様化
顧客が求めているのは、大規模なAIファクトリーをできるだけ早く稼働して収益を上げることで、そのために建設や構築に時間をかけたくない。つまり、いかに速く数百MWや1GWのデータセンターを作れるかが課題だ。また、AIデータセンターでは、チップ単体の性能や冷却用コンポーネント個別の性能の良し悪しではなく、全体として効率よくトークンを生成するような、高度に統合されたアーキテクチャが重要になる。
市場に大きな影響を与える技術トレンドとして、以下の5つを挙げる。
①AI向けの電源供給
データセンターでは、AC/DCハイブリッドの電源システムが普及しているが、ラック密度が上がるにつれて、より高電圧のDC電源が普及すると考えられる。
②分散型AI
企業にとってAIはますます重要になるが、どこからどのようにAIサービスが提供されるかは組織ごとに要件が異なる。
③エネルギー自立性が加速
系統電源が推奨オプションではあるが、容量が十分に拡張されるまではオンサイト発電への投資を継続する必要がある。
④デジタルツイン主導の設計と運用
デジタルツインを用いたデータセンター設計は、将来のAIの進展に必要なGW規模の拡張を達成する鍵となる。
⑤適応性が高く復元力のある液体冷却
液冷システムは、モニタリングと拡張能力を持つ循環型へと進展し、新しい液冷へと成熟を続ける。
これらの技術トレンドに対して、Vertivには既に欧米での知見があるので、それを日本の顧客と議論しながら進め、バリューを提供するという。
アジアおよび日本の今後の動向
アジアの市場動向としては、データ主権やソブリンAIの文脈で、地域的なネオクラウド(GPU as a Service)の登場がある。日本においては、まだそのような海外ベンダーは来ていないが、今後出てくると考えられる。また、日本企業で既に提供や計画している企業もあるので、活発化することでAIデータセンター市場がさらに活況になる。
ネオクラウドの事業体では、データセンターを速く作ることが、より重要になる。そこでモジュラー型が選択される。「モジュラーの方が少し高いかもしれないが、時間を買うと考える顧客も海外では見受けられるので、日本でもそのようなトレンドが出てくるのではないかと考えている」と倉橋氏は言う。
ソブリンAIに関しては、日本も含め、アジア各国で自国内のAI企業を育て、AIのアセットは自国内で持つという動きがある。そうなると、日本企業のAIデータセンター建設が増えることになる。また、GPU as a Serviceは、グローバルでは新興企業が多いが、日本ではさくらインターネットやGMOインターネットグループなどが提供しており、新興企業はまだ少ない。日本で新興のGPU as a Serviceが続々と出てくると、非常に大きな業界となり、それもVertiv Japanにとって追い風だ。



