特別企画

ノートPCのテクノロジーを使った超小型デスクトップ「HP EliteDesk 800 G1 DM/CT」

EliteDesk 800 G1 DMのパフォーマンスは?

 今回、HPからお借りしたEliteDesk 800 G1 DMは、Core i5-4570(2.9GHz)プロセッサ、4GBメモリ、500GB HDDを搭載したモデルだ。OSは、Windows 7 Pro 32ビット版がバンドルされていた。

 Windowsエクスペリエンス インデックスは4.6と、Core i5プロセッサを採用したPCとしては、スタンダードなパフォーマンスだ。外付けのグラフィックカードを使用していればもう少し数値は上がるが、オフィスで利用するには、EliteDesk 800 G1 DMのままで十分使える。

 それよりも、ストレージにHDDを使用しているため、HDDの性能が足をひっぱっているようだ。このあたりは、SSDに変更すればもっと高い性能を示すだろう。

 HDDのパフォーマンスに関しては、ディスクベンチマークのCrystal DiskMarkの数値でもわかる。SSDやハイブリッドディスクなどを採用すれば、よりパフォーマンスが高くなる。

Windows 7のWindowsエクスペリエンス インデックスは、グラフィックのインデックスが4.6と低いが、オフィスで使う上では問題ない性能だ
PassMarkのベンチマークでも、十分な性能を示している。CPUの内蔵グラフィックが3Dグラフィックが弱いのが、ベンチマークが伸びない原因だ。2Dグラフィックは十分な性能を持つ
HeavyloadというPCに負荷をかけるソフトを使って、消費電力をチェックした
最も負荷がかかった状態では、最大47Wにまで上がる。通常使用時は、17Wあたりとなる

 実際にEliteDesk 800 G1 DMを使ってみて気になったのは、ACアダプタが大きいことだ。本体のコンパクトさに比べると非常に大きい。できれば、もう少しコンパクトになれば使いやすいと思う。さらに、ACアダプタからコンセントに接続する電源ケーブルが太く堅いため、引き回しが面倒だった。

 もう一つ気になったのが、付属しているキーボードとマウス。これだけコンパクトな本体が用意されているのだから、できればコードレスのキーボードとマウスをオプションでも用意してほしい。コードレスのキーボードやマウスなら、デスク上にケーブルが配線されないため、机の上がガチャガチャしなくていい。

 なお日本HPでは、EliteDesk 800 G1 DMを液晶ディスプレイの裏に装着する、VESA規格対応のマウントキット、EliteDesk 800 G1 DM本体と一体化したデザインになったHPフラットパネルモニターを用意している。後者では、液晶ディスプレイの板下に本体をぴったり設置することができる。

EliteDesk 800 G1 DMは、VESA規格のマウントを使ってモニタ裏に設置したり、専用モニタの下に設置できる(日本HPのWebサイトより)

コンパクトなEliteDesk 800 G1 DMはWindowsだけではない

 これだけコンパクトなEliteDesk 800 G1 DMは、クライアントPCとしてだけでなく、アイデア次第でいろいろな使い方ができる。日本HPのサポート外となるが、ファイルサーバーにしたり、オフィスのActive Directoryサーバーにしたり、支店や支社のブランチサーバーにしたり、といったことが可能だ。

 今回はFreeNASを搭載して、部門のファイルサーバーとして使えるようにしてみた。長期間のテストはしていないが、少し使ってみたレベルでは、動作自体は問題なかった(繰り返しになるが、日本HPのサポート対象外になる)。

 本体内部にHDDドライブが1つしか搭載できないため、ファイルサーバーにするため、今回はUSB 3.0ポートに接続する外付けHDDを使用した。例えば3TB HDDを4台使用すれば、12TBのファイルサーバーが構成できる。RAID 5を使用して信頼性を上げたとしても、9GBのファイルサーバーとなる。

 外付けUSB HDDの電源やスペースは必要になるが、部門や支店、支社に簡単に設置できる。プリンタや複合機のそばに置けばスペースもとらず、LANポートなどもあるため、使い勝手はいいだろう。

 また、EliteDesk 800 G1 DMにWindows Server 2012 R2をインストールして、Active Directory(AD)サーバーとして利用するのもいいだろう。メモリは16GBぐらい搭載すれば、ストレスなくWindowsサーバーが利用できる。ADだけでなくWSUSを利用すれば、ブランチなどでWindows Updateを一括して管理できる。これ以外にも、Linuxを搭載して、いろいろなアプライアンスとして使用することもできるだろう。

 EliteDesk 800 G1 DMは、コンパクトさを武器に、クライアントPCだけでなく、さまざまな用途に利用できるだろう。ケースがしっかりしているため、組み込み機器のコントローラとして利用することもできるかもしれない。HPのサポート外になるが、ユーザーのアイデアでいろいろな用途に使えるPCといえるだろう。

FreeNASをインストールとしてファイルサーバーとして構成した。FreeBSDは、USBメモリにOSを搭載できるため、内蔵HDDもファイルサーバーのストレージとして利用できる

【お詫びと訂正】

  • 初出時、FreeBSDとしておりましたがFreeNASの誤りでした。お詫びして訂正いたします。

山本 雅史