特別企画

「メールを効果的に共有して業務効率をアップ!」~サイボウズが提供するメールワイズとは?

 複数人で簡単にメールを共有することができる、サイボウズのグループメーラー「メールワイズ」。9月には新バージョンを発売したこの製品は、ネットショップなどネットでビジネスを行っている企業や、企業のサポート部門など、メールをビジネスツールとして利用する企業に導入されている。

 ユーザー企業の規模は、創業から間もない従業員数人程度の企業から、誰もが名前を知っているような大手企業まで、実に幅広い。

 メールワイズとはどのような製品なのか、そしてメールの共有を効果的に行うことで、利用する企業にはどんなメリットがあるのか。今回は、メールワイズの特徴とその効果を紹介していこう。

メールワイズ 全体画面のイメージ

メールだけで顧客サポートを行っていたサイボウズ自身のために誕生

サイボウズ ビジネスマーケティング本部 プロダクトマネージャーの栗山圭太氏

 「メールワイズ」の原型となるシステムが開発されたのは、1998~99年ごろにさかのぼる。当時のサイボウズでは、メールだけで顧客サポートを行っていた。

 サイボウズのビジネスマーケティング本部でプロダクトマネージャーを務める栗山圭太氏は、当時を次のように振り返る。「ネット専用サービスが拡充している現在とは違い、当時はネットビジネス創世期でした。サポートはメール限定というスタイルは現在では当たり前ですが、当時は珍しかったのです」。

 B2Bのサポートといえばコールセンターを開設するのが当たり前だった当時、既存のパッケージでは、メールだけでサポートを行おうとするサイボウズの業務実態にそぐわない。そこで、自分たちで利用するために開発されたのが、メールワイズの原型となるメール共有システムだった。

 こうして生まれたメールワイズは、商品化され、パッケージソフトとして発売された。そして2012年からは、ほかのサイボウズ製品と同様、パッケージ版、クラウド版の両方の提供を開始。現在では2800社のユーザーを持ち、ネットショップや企業の顧客サポート担当者など、メールを共有する企業がユーザーとなっている。

メール共有に特化した機能を搭載

 この製品の最大の特徴を、「サポート部門などで利用する顧客管理のための製品ではありますが、一般にCRM(顧客関係管理)ソリューションとして提供されているものとは異なり、メール共有に特化していることが最大の特徴となっています」と、栗山氏は指摘する。

 本来、メールは企業のスタッフであっても、個人対個人で利用することが基本。ひとつのメールアドレスを複数の人間で利用することもあるが、個々のメールの内容には、書いた人のパーソナリティが反映されるのが普通だ。

 ところが、企業のサポート窓口や問い合わせ窓口に寄せられたメールに関しては、状況はまったく異なる。顧客がメールを送る相手は、個人ではなく企業。つまり、企業としてきちんと対応しているのかが問われることになる。応答することを忘れる、対応する人によって返信される回答の内容が異なる、同じ回答が何通も届くといったことがあれば、企業そのものに不信感を抱いてしまう。

 「メールでの質問が寄せられた場合には誰が回答しても同じように答える。メールによるクレームがあった場合には、過去の履歴の閲覧、どんな対応を行ったのかを記録するといったことも必要になります。(OutlookやThunderbirdのような)一般的なメーラーというのは、あくまで個人用のツールですから、個人個人がメーラーを使っているだけでは、対応に限界があるのです」。

 メールによる応答の重要性が増している現在、メーラーではカバーしきれない対応を行うための製品がメールワイズということになる。サイボウズ側では、「誰もが利用する製品ではありませんが、利用していただける企業の皆さまにまだ十分リーチできていないのではないか?と当社では考えています」とさらなる利用者拡大に強い意欲を見せている。

個人で利用することが前提のクライアントメーラーと異なり、メール共有を前提に作られている点が最大の強みだ

 では、具体的にはどんな点に特徴があるのか。グループメーラーとしてのメールワイズでは、まず、メールに対応する担当者、メールのチェックや承認を行う確認者といった設定が行える。各メール個別での対応状況も設定でき、何度もやり取りしているような特別な対応が必要な相手には、通常とは異なる対応設定を行うことが可能だ。各メールの対応状況、対応者がひと目でわかるため、二重対応・対応もれを防ぐこともできる。

一件一件の対応履歴をきちんと確認できる
担当者別の状況も確認可能だ

 また前述のように、もともとはメール共有のために生まれた製品ではあるものの、メールでの対応だけでなく、電話や訪問の履歴も記録できる。ただし、メインはメールでの対応であり、ひとつのアドレスデータから、メールと電話、訪問すべての履歴を閲覧するようになっている。

 メールには欠かせないアドレス帳については、個人のデータ、会社のデータを部署別、担当者別など任意の分類で管理可能。顧客データはメール対応画面に自動表示されるため、取引先の状況をしっかり把握可能だ。

 「最初にパッケージ版を発売した当初は、CRM製品としてアピールしてきました。しかし今では、CRMではなく、メール共有を前面に出してアピールするよう、プロモーションを変更しています。確かに、CRMとしての機能も搭載しているのですが、コールセンターで利用するには、電話と連携するCTI(Computer Telephony Integration)機能など、足りないものがあります。それであれば、メール共有に特化したメッセージの方が伝えやすい。メール共有を必要とするお客さまのための機能は、各種そろえてありますから」。

 栗山氏がこう話すように、メールを共有し、漏らさず対応するための製品なのである。

顧客情報を登録するアドレス帳の機能も搭載。企業の情報【左】と企業内個人の情報【右】を、いずれも登録できる

クラウド化で利用者層が拡大

クラウド版は、簡単に試用できる点でもメリットが大きい。メールワイズでも、30日間の無料お試し期間が設けられている

 こうした特徴を持つメールワイズだが、利用企業を見ると、クラウド版になって利用者の層が広がっているという。「これまで大きな宣伝はしてきませんでした。口コミや、お客さま側でメール共有を検索し、製品を知ってもらうことが多かったようです。毎月50社から60社が新しいお客さまになっています」とジワジワと顧客を増やしている。

 例えばブックオフグループのオンライン販売・買取部門である、ブックオフオンライン株式会社のような大手通販サイトでも利用しているのだが、「実は一番多いのが利用者は2、3人というケースです。従業員数が20名~30名の規模で、メールによる情報共有が必要な担当者が2、3人のこともありますが、従業員数5名以下の企業がほとんどなのです」というように、大企業から小規模企業まで幅広く利用されている。

 このように利用者層が広がった秘密は、クラウド化と価格だ。

 「従来のパッケージ版では、5ユーザーで年間29万8000円だった価格を見直しました。クラウド化によって、1ユーザーあたり月額500円で使えるようになったのです。しかも、パッケージ版ではサーバーが別途必要でしたが、クラウドなら設備は必要ありません。グループウェアとは異なり、利用する企業が限られているため、爆発的にユーザーが増えているわけではありませんが、毎月コンスタントに利用企業が増えています」と、栗山氏は現状を説明する。

 以前からサイボウズが実施している「放課後相談会」は、利用者側にサイボウズ本社へ来てもらって、対面で利用上の悩みなどを聞く会だ。ここで上がって来る顧客からの声は、サイボウズにとってもメールワイズユーザーの実態を知る、重要な機会となっている。

 「従業員数5人以下で、創業間もないようなネットショップでは、社長はバイヤーとしてあちこち飛び回っている会社さんが多い。そういう場合、日常業務は社内に残っているスタッフがこなしますが、時には重要な問い合わせに対し、最終的な承認を社長に判断してもらわなくてはいけないケースもよくあるのです。こうした場合でも、共有メーラーのメールワイズなら、一目で確認できます」。

 スタートアップ間もないネット企業の中では、業務で使う商用のソフトは、メールワイズ以外には経理ソフト程度、という会社も多い。しかしそうした会社でもメールワイズを利用するのは、メール対応の重要さを感じているため。このような会社は、前向きに事業に取り組んでいる場合が多いそうだ。

 9月にバージョンアップしたメールワイズが、「楽天あんしんメルアドサービス」に完全対応したのも、こうしたネットショップの声を聞いたからである。

 楽天あんしんメルアドサービスでは、楽天市場を通して受信するお客様のメールが、本来のメールアドレスとは別のメールアドレス(マスクアドレス)に変換され、楽天のサーバーを経由しなくては返信ができない仕組みになっている。しかし今回のバージョンアップで、このサービスに完全対応したことにより、マスクアドレスかどうか気にすることなく利用可能となった。

 このようにユーザーからの要望を反映していることもあって、「メール共有の仕組みとしてはトップクラスの利用者数だと思いますが、楽天市場への出店企業だけでも、まだリーチができていない企業は多いと感じています」と、栗山氏はネットショップユーザー拡大に意欲的だ。

 一方、ネットショップ以外の企業がユーザーをサポートするために、メールワイズを利用するケースも多い。

 サイボウズ本社から徒歩圏内にある「庭のホテル」は外国人利用者が多いホテルだ。海外からの宿泊客からは、空港からの経路、ホテル近隣の食事所に関する情報などを質問されるケースが多いそうで、こうした質問に関しては、英語のテンプレートを使って返信を行っている。テンプレートを利用することで、「英語の堪能な担当者をそろえなくてもきちんとした対応ができる」と好評だという。

600ものテンプレートを活用、1日数百件のメールも効果的に管理

サイボウズ ビジネスマーケティング本部 ソーシャルコミュニケーション部 プロモーションディレクターの山本祐介氏
ブックオフオンラインでは、600ものテンプレートを活用。用途別に階層管理して、適切なテンプレートを利用できるようにしている

 もちろん、小さい規模だけでなく、大規模な利用に対応できる点も、メールワイズの特徴といえる。

 例えば、前述のように、ブックオフオンラインのような大手通販サイトでも、メールワイズを利用している。同社もネットでビジネスを行っている企業だが、ユーザーからの問い合わせ対応や、買い取りの対応のためにメールワイズを採用した。

 サイボウズ ビジネスマーケティング本部 ソーシャルコミュニケーション部 プロモーションディレクターの山本祐介氏は、次のように話す。

 「ブックオフオンラインの事例は、1日に処理するメール件数の多さが特徴です。同社に対するお問い合わせは1日150件ほどあり、お客さまとは何度かやり取りするので、400通近い数のメールを1日に送っているのです。また、取り扱う商材も書籍、ゲームソフト、CDと幅広く、対応に苦慮されていたそうです。そこで、テンプレートを効果的に活用し、業務の負荷を軽減しているとお聞きしました。なんと600種類のテンプレートを用意され、地域ごとに異なる出荷状況などを折り込みながら返信されているそうです。買い取りの査定には時間がかかるので、日をまたがってのやり取りも必須となるため、担当者がずっと同じであるとは限らず、きちんとメール履歴を管理する必要もあります。それができるのがメールワイズだと評価いただいています」。

 メールワイズ導入以前はオリジナルのツールを使っていたそうだが、メールワイズの機能が評価され、すでにクラウド版を50ユーザー以上導入している。

新しい利用者層、用途の獲得に取り組む

 こうした実際のユーザーからの利用状況を聞いて、栗山氏はもっと新しい顧客や、活用の用途を広げていくことに意欲的だ。

 「ブックオフオンラインの利用状況から、かなり複雑なメール対応が必要な場合でも、メールワイズが十分に利用可能であることがご理解いただけると思います。これだけ複雑な対応であっても、1ユーザーあたり月額500円という敷居の低さから、数人規模のお客さまでもご利用いただけることがメールワイズの強みです」。

 また、「例えばネイルサロンなど、1人でやっているようなショップでは、電話対応している余裕がないので、メールでの受け付けをメインにしているようです。こうしたところに対しても、クラウドによって提供していきたいと思いますね」と話すように、個人経営のショップなどについても、今後は販売を広げていきたいという。

 使い方については、「メールワイズはメールの一斉配信機能も持っています。お客さまに対してどの一斉配信メールを送ったか、といったコンタクトの履歴も残せますから、メールによる営業を行う際のツールとしても活用できる。こうした新しい用途での利用も、もっと広げていきたいと思います。そのために、メールで作業をしている企業の方で、自分たちは今回ご紹介したケースとはちょっと違うが、使うことができないだろうか?と考えた方は、ぜひ、無料のお試し版を使ってみてほしいと思います」と呼びかける。

 メールワイズは、さらに新しい利用者を獲得していくことになりそうだ。

三浦 優子