ランキングで振り返る、エンタープライズ/クラウド業界動向(1~4月)


 Enterprise Watch/クラウド Watchで今年一年間掲載した記事の中から、アクセス数をもとに月別の10大ニュースを選出して紹介する。個人ユーザーでも関心が持てる記事へのアクセスが高くなりがちではあるが、ランキングを通じて業界全体の動きを振り返ってみる。

 今回は、1月から4月までのランキングを紹介する。


【1月】32nmプロセスの「Westmere」に注目集まる。相次ぐ買収劇の幕開けも

 1位は、32nmプロセスで製造される「Westmere」(開発コード名)世代の新Coreプロセッサ発表を報じた記事で、プロセス微細化による省電力化のみならず、いくつかの新機能が実装されている。

 米Oracleによる、米Sunの買収完了を報じる記事が4位にランクイン。2010年は巨額買収が目立った一年だが、その幕開けがこのニュースだった。Sunの企業としての終えんに悲しみの声もあがる一方、両社の統合は着々と進んでいる印象で、旧Sunのさまざまな製品がOracleブランドで出荷されるほか、SPARC製品もSolarisについてもOracleから次のロードマップが明確に示されるようになっている。

 10位には、現在は「BizXaaS」にブランド改名されたNTTデータのクラウドサービスの記事がランクイン。以降も各社からクラウドサービスの発表が相次ぎ、国内クラウドの展開も加速していくことになる。 

順位記事名掲載日
1インテル、32nmプロセス技術の新Coreプロセッサを国内でお披露目1/25
2手のひらサイズのマイクロサーバー「OpenBlockS 600」を試す1/15
3米Google、自社ブランドスマートフォン「Nexus One」を発表1/6
4米Oracle、米Sunの買収を完了1/28
5レノボ、Core i5を搭載した薄型ノートPC「ThinkPad T410s」など1/7
6米Microsoft、Office 2010のパッケージ価格を発表-Home and Businessは279ドル1/6
7インテル、32nmプロセス世代の新CPUを発表-組み込み向けCPUも1/8
8トレンドマイクロ、2009年のマルウェアを総括-Gumblarをわざと感染させるデモも1/7
9マイクロソフトがOffice 2010の機能改善を説明、「5億ユーザーのフィードバックを生かす」1/18
10ハイブリッドクラウドにも柔軟な「BizCloud」、NTTデータが全容を明らかに1/22



【2月】国産クラウドサービス「ニフティクラウド」が始動

 1位は、ニフティが提供するクラウドサービス「ニフティクラウド」。この時に発表されたIaaSを中心に、アプリケーションにも提供範囲を広げたほか、最近ではSLAも追加されており、継続して機能強化されている。「Niftyserve」からネットの世界へ入った人も多いだけに、クラウド時代でも動向が注目されているということなのかもしれない。

 2位には、NECの社長交代を報じた記事で、ここでもキーワードは「クラウド」だったが、一方で6位には、UNIXサーバーなどで利用される「POWER7」プロセッサの記事がランクイン。ランク外ではあるが、14位、16位にも関連の記事が入っており、「レガシー」と見なされがちな技術についても、まだまだ読者の関心が高いことがうかがえる。

順位記事名掲載日
1VMwareの仮想環境をフル活用した「ニフティクラウド」の実力を見る2/19
2「クラウドはNECのストライクゾーン」、NECが社長交代と中期経営計画を発表2/26
3SSD最適化機能を搭載した「Diskeeper 2010」をパッケージ版で提供2/4
4デル、“日本を意識した”12.1型マルチタッチ液晶搭載の堅牢タブレットPC2/24
5「2008年製はハズレ?」、日本データテクノロジーがHDDのデータ復旧統計を発表2/5
6日本IBM、世界最速の処理能力をもつ最新プロセッサ「POWER7」を発表2/9
7レノボ、Core i5/i7搭載のThinkPad X201シリーズ2/23
8IntelとNokia、Linuxベースのモバイル向けプラットフォームを統合2/16
9Windows 2000をメーカーサポート終了後も保護する「FFR yarai」新製品2/8
10デル、クアッドコアCPUにも対応可能なビジネス向けPC「Vostro 230/230s」2/25



【3月】x86とUNIXは「対立」か「共存」か

 1位は、マイクロソフトによる仮想デスクトップへの取り組みを説明する記事。仮想デスクトップやDaaSは、そろそろ、活用のフェーズに入ってきたこともあり、今年ホットだったキーワードの1つで、ニュースも多く読者の注目も高かった。

 5位には、日本IBMの3TBメモリを搭載できる次世代x86サーバー技術「eX5」。ランク外だが、CPUの分野でも11位にOpteron 6100シリーズ、17位にXeon 7500番台などのマルチコアCPUがランクインしており、信頼性の上がったx86サーバーとUNIXサーバーが次第に同じ土俵で語られることが増えていった。

 そんな中、ItaniumとHP-UXのメリットを説明する、日本HPの説明会の様子を報じた記事が6位に。UNIXサーバーを移行するのか、そのまま使うのかという議論はあるが、日本HPではUNIXサーバー、x86サーバーそれぞれについての特徴を説明し、適材適所での利用を再三訴えている。

順位記事名掲載日
1XP Modeのハード要件緩和など、米Microsoftが仮想デスクトップ分野を強化3/19
2Windows 2000は米国時間7月13日でサポート終了、マイクロソフトが注意喚起3/10
3富士通山本顧問が講演、「今の富士通にも池田氏のような社員がいることを期待」3/12
4日本HP、手のひらサイズで2万円台のシンクライアント端末3/25
5日本IBM、3TBのメモリを搭載できる次世代x86サーバー技術「eX5」3/3
6「ItaniumもUNIXもなくなりません!」、日本HPが強調するIntegrityのメリット3/19
7サイボウズLive、無償グループウェアで狙う「100億円の売上規模」3/2
83月のMS月例パッチ、ムービーメーカーとExcelの脆弱性を修正3/10
9リコーが国内販社を一本化、「リコージャパン」を7月に発足3/10
10インテル、32nmプロセスの6コアXeon「Xeon 5600番台」3/17



【4月】Visual Sturio、Office、SharePoint、マイクロソフト攻勢

 今月は、マイクロソフトの最新開発環境であるVisual Studio 2010の発売を報じる記事が1位となった。Windows Azure、Windows Phone 7といった最新環境にも対応するなど、機能面の強化が図られているが、製品ラインアップが整理され、従来版との対比が分かりにくくなった側面も。その確認の意味もあって、多くの方にご覧いただいたようだ。

 4位、10位はOffice 2010に関する記事がランクインした。Microsoft Officeは、ほとんどの企業ユーザーが触る可能性のあるものだけに、関心が高く、多くの記事が人気を博していた。

 一方、4月は富士通が2009年の野副・元社長の辞任劇から端を発する御家騒動に揺れた時期でもあった。野副氏と富士通の両者から相次いで経緯が語られ、関連記事が5位、12位、19位にランクインしている。

順位記事名掲載日
1マイクロソフト、最新開発環境「Visual Studio 2010 日本語版」を4月20日より提供4/13
2ファイルメーカー、グラフ機能を強化した「FileMaker Pro 11」4/7
3レノボ、モバイルノートPC「ThinkPad X100e」でデュアルコアCPU構成を可能に4/9
4Office 2010やSharePoint 2010がRTM、SA契約ユーザーへは4月27日に提供開始4/17
5富士通元社長の野副氏が会見、「一部関係者が引き起こしたこと」4/8
6米Microsoft、スマートフォン「KIN」を発表4/13
7米Microsoftが「Itanium」サポートを打ち切りへ、「Windows Server 2008 R2」が最後4/6
8デル、Core i5/i7搭載の企業向けノート3機種-準高耐久モデルも4/9
9日本HP、最新CPUを搭載する6万円台からの企業向けノートPC-17.3型液晶搭載モデルも4/14
10「Office 2010」日本語版、TechNetなどで提供開始4/23
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(編集部)
2010/12/22 06:00