特別企画

ネットワークも全て“利用型”に、クラウド時代にふさわしいNTT西日本のおまかせ型VPN「オールインワンネットワーク」

 従来の情報システムでは、ハード、ソフトをすべて自社で調達してシステム構築を行う「所有型」が一般的だった。しかし近年は、クラウドサービスを初めとする「利用型」のシステムが一般化してきている。

 十分な人数のシステム部門を持ち、自前でシステムの面倒が見られるのであれば、所有型でもいいのかもしれない。しかし、時には専任の担当者すらいないような企業が所有型のシステムですべてを賄っていくには難しい。そこで、特にインフラの分野では、ハードウェアの調達や導入、そして管理を事業者に任せ、サービスとして利用するクラウドサービスが台頭してきた。

 では、そうしたクラウドサービスを利用するためにも必須となる、ネットワークの場合はどうだろうか。本社と拠点、本社とデータセンターなどを結ぶ通信ネットワークを敷設する場合に、コストを抑えるため、安価な回線と安価なルーターで利用できるインターネットVPNを採用し、自前でネットワークを構築するケースも増えている。

 しかしこの場合は、自社で回線事業者やサービスプロバイダなどと契約したり、ネットワーク機器を手配・設置する必要がある。また運用開始後は、これらが正常に稼働しているかどうかを監視する必要があるが、ひとたびトラブルが起こったら、回線を提供する事業者、ISP事業者、ネットワーク機器ベンダー(あるいは保守事業者)などと連絡を個別にとりながら、障害を起こした部分を特定し、原因を取り除くことになるだろう。

 障害の切り分けやその後の対処には、ネットワークの知識も求められるが、どこの企業にもネットワークの知識を持った担当者がいるとは限らない。しかもこうした負担は、店舗数や拠点数が増えれば増えるほど、ネットワークにかかる運用負荷が担当者の肩に重くのしかかってくる。今では、クラウドサービスなど、社外のリソースを利用する形態が一般化しているので、「ネットワークが利用できない=仕事ができない」といった事態にもなりかねない。

 だからこそネットワークの導入の際には、サービスの利用料やルーターの購入代金といった、数字として見えるコストだけでなく、このように、導入後の運用にかかる「見えないコスト」も意識することが重要だ。

 NTT西日本が提供する「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク」(以下、オールインワンネットワーク)は、このようなインターネットVPNの弱点をカバーするために開発された、IP-VPNのフレッツ・VPNワイドとアクセス回線、ルーターレンタル、運用保守をセットにした“月額利用型”のサービスである。

 企業向けのVPNサービスは数多く存在するが、このサービスはユーザーにとって何がうれしいのだろうか? 具体的な特徴を挙げて、そのメリットを紹介しよう。

初期費用なしでルーターを調達できるメリットは?

 オールインワンネットワークは、「フレッツ・VPN ワイド」、アクセス回線の「フレッツ 光ネクスト」、アクセス回線につなぐためのルーター(レンタル)がパッケージ化されたサービス。これに、オプションサービスである24時間365日の遠隔監視(ping監視)、運用報告を合わせた、大きく5つのサービスで構成されている。

オールインワンネットワークは、これら、5つのサービスから構成されている

 企業ネットワークで利用されるネットワーク回線には、専用線接続やIP-VPN、インターネットVPNなどのサービスが存在するが、オールインワンネットワークは「フレッツ・VPN ワイド」を利用する。

 「フレッツ・VPN ワイド」はNTT西日本エリアのフレッツ光ネクスト(インターネット接続サービス)などを利用して、インターネットを介さない閉域のIPネットワーク上で拠点間の通信が可能となる簡易かつリーズナブルなVPNサービスだ。また、フレッツ・VPN ワイドへの接続の際には、VPN管理者の場合はフレッツ 光ネクスト、VPN参加者の場合はフレッツ 光ネクスト、フレッツ・光プレミアム、Bフレッツ、フレッツ・ADSL、フレッツ・ISDNが利用可能だが、フレッツ光ネクストを利用すれば、ユーザーID、パスワードによる認証に加え、フレッツナンバーを用いた回線認証によりさらに強固なセキュリティーを保つことができる。

フレッツ・VPN ワイドはインターネット網から隔離された閉域網を利用するIP-VPNのため、セキュリティーが高い

 フレッツ・VPN ワイドの価格は、エントリVPNサービスの中でも低廉だが、企業ネットワークの導入を検討する際、ランニングコスト以外に導入の障壁となるのが、ネットワークを接続する際に必要なルーター類の初期導入費用だ。オールインワンネットワークでは、この障壁を下げるような仕組みが最初から用意されている。

 「通常、ネットワーク回線を契約する時には、ルーターを購入しなくてはならない、ということになるので、この初期導入費用が企業のお客さまにとって、費用の面で導入の大きな負担になってしまいます。このような状況を踏まえ、オールインワンネットワークでは、月額利用料の中でルーターをレンタル提供する形にしています。お客さまはネットワーク導入時にルーターの購入費用を初期導入費用として新規に予算化する必要がなくなるのです」と、NTT西日本 ビジネス営業本部 クラウドソリューション部 営業推進グループ 主査の淵本崇央氏はメリットを説明する。

NTT西日本 ビジネス営業本部 クラウドソリューション部 営業推進グループ 主査の淵本崇央氏

 また、「ルーターはネットワークと密接に関係する機器です。例えば、ルーターのファームウェアにセキュリティーに関する脆弱性が見つかった場合には、すぐに対象となるルーターのファームウェア更新をする必要がありますが、お客さま自らがこのような作業をするのは大変手間がかかります。特に、多拠点の場合、自前での運用は大きな負担になります」と淵本氏が指摘するように、事実、ルーターの運用には手間がかかる。

 さらに、自前で調達したルーターの保守費用も意外に負担となる。「単純に、ルーターを1台買って長く使う、と考えると購入した方が安く済みそうに思えます。しかし、保守契約を機器ベンダーと個別に契約していけば、初期費用では見えていなかったランニング費用がかかります」(淵本氏)。

 しかしオールインワンネットワークなら、レンタルにてルーターを提供するため、ネットワーク導入時のルーターの設置や各種設定といった作業についてもNTT西日本が実施してくれる。もちろん、これらの初期費用もかからない。加えて、このルーターはNTT西日本の責任範囲のため、障害発生時の面倒な切り分け作業も不要で、NTT西日本に任せればいい。オールインワンネットワークでは、このように、ルーターを意識せず、導入から運用まで“おまかせで使ってもらえるネットワークサービス”を狙ったのだという。

オールインワンネットワークでは、ルーターも含めてNTT西日本が面倒を見てくれるため、導入時はもちろん、運用におけるユーザーの負担は少なくなる

24時間の遠隔監視、障害時にはNTT西日本グループがオンサイト対応

 設置したレンタルルーターに対しては、pingによる24時間365日の遠隔監視サービスを用意している。回線やルーターなどに障害があり、通信が途切れた場合は、問題が発生した時と回復した時の2回、メールで通知される仕組みもあり、心強い。

 また運用報告として、ルーターの保守履歴やNTT西日本の工事情報などを、月次の定期レポートとして提出するほか、緊急の回線工事情報もメールで連絡される。

 もし、ユーザー側に問題が発生し、サポートを受けたくなった場合の受付体制も用意している。一般的なサービスでも、24時間365日の受付を行っているところは珍しくなくなったものの、夜間は無人での受付であることが多い。しかし、オールインワンネットワークでは24時間365日、有人での受付を行っているので、安心して利用できる。また障害対応には、NTT西日本グループの保守拠点の多さも強みとなる。「離島や山間を含めて、NTT西日本グループの保守拠点がカバーできている地域は多いので、安心して利用いただけます」と淵本氏はいう。

 オンサイト保守の対応時間は、標準では平日の9時~17時。回線単位のオプションとして提供されている保守アップグレードを選ぶことにより、24時間365日のオンサイト対応を受けられるのも、安心感という点では大きい。

 「IP-VPNサービスの普及に伴い、基幹系のデータ通信を乗せるような使い方をするお客さまも増えてきました。そのような利用をされる場合、ネットワークには監視機能や保守サービスが重視されますが、このようなニーズにもしっかりと対応できるのがオールインワンネットワークの強みです」(淵本氏)。

参考:オールインワンネットワークのメニュー構成

ゴミの不法投棄や河川の水位監視にも?! 考え方1つで応用範囲は広がる

 オールインワンネットワークはサービスを開始して4年を経過した現在、業種業態を問わず、幅広い企業に導入されている。

「サービス開始当初は、10拠点未満で利用される形態が多かったのですが、最近は、数十から数百拠点を結ぶ大型の契約も増えてきています」と淵本氏。

 また、オールインワンネットワークはNTT東日本との接続も可能なため、西日本エリアが本社で、かつ全国に拠点がある企業でも利用できる。このように、数拠点から数百拠点まで規模の大小を問わずに利用でき、さまざまな地域で利用可能な点もオールインワンネットワークの強みという。

 ネットワーク利用用途もさまざまだ。本社と支社などの拠点間をオールインワンネットワークで結び、業務データをやりとりする一般的な利用形態のほかに、データセンター上で企業向けクラウドサービスを提供するサービス提供事業者が、サービス利用顧客とデータセンターを結ぶネットワーク回線としてオールインワンネットワークを利用するケースもしばしばあるという。サービス提供事業者側からすると、ネットワーク部分はNTT西日本が保守をしっかりやってくれるので、自社の顧客にも紹介しやすいようだ。

 ユニークな導入事例としては、自治体でのゴミの不法投棄防止用の監視カメラネットワークや、環境モニタリング、河川の水位監視用のネットワークでの利用が挙げられる。これらの拠点が無人で運用されているという点も興味深い。淵本氏は、「オールインワンネットワークであれば、たとえ無人の拠点でもネットワークやルーターの状態を遠隔で監視することができ、もし、障害が発生した場合でもNTT西日本がオンサイト対応できますからね」と、その採用理由を説明してくれた。

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 「オールインワンネットワークの導入を検討するタイミングとしては、既存のネットワークで利用しているルーターを買い換えるタイミングでネットワークの更改と合わせて検討されるケースも多く、新しいネットワークを導入した際は、遠隔監視などの付加価値サービスを付けることも多いようです」(淵本氏)。

 オールインワンネットワークを導入いただいたユーザーからもっとも好評な点は「運用の手間が省ける点」だという。専門の知識がなくてもネットワークの導入・運用が出来る、本社のIT部門の担当者がひとりで現地に出向き、切り分け対応をしたり、各地にルーターを持って交換しに行かなくていい、NTT西日本がルーターからネットワーク部分までの面倒を見てくれるので、障害発生時の切り分けが容易になった、というような点が評価され、導入のメリットを感じてもらえているという。

 このようなメリットは、実際にネットワークを利用するエンドユーザーだけでなく、ネットワークを持たないハードベンダーやソフトベンダーにとっても、非常に有益だ。ネットワーク部分をNTT西日本に任せることで、自社の得意分野の提案に注力でき、仮になんらかの障害が発生した際もネットワーク部分はNTT西日本に任せることが出来るからだ。

 「ネットワークを持たないソフトウェアベンダーのお客さまが、自社の顧客にオールインワンネットワークをご提案いただく際に、オールインワンネットワークの特徴に加え、NTT西日本ならではの安心感をセールストークに使っていただいている場合もあるようですね」(淵本氏)。

 このようなオールインワンネットワークを支える強みとして、淵本氏は「NTT西日本グループの総合力」を挙げた。西日本を広くカバーする営業体制、定評のあるネットワークサービス、多数の保守拠点などのサポート力といった要素が合わさることで、ワンストップのIP-VPNパッケージサービスが安定して提供できるというわけだ。

 次回は、こうしたメリットを提供できるオールインワンネットワークをユーザーはどのように有効活用しているのか、実際の利用例を紹介しよう。

高橋 正和