特別企画

XP期限切れ間近のいま、仮想デスクトップサービスを改めて考える(1)

PCのリプレイスに「仮想デスクトップ」という選択肢〜「AQStage 仮想デスクトップ」を試す

 XPの期限切れを間近に控え、リプレースを機会に業務環境を見直そうという動きが続いている。管理に手間がかからず、セキュアで、BCP対策やモバイルへの対応も可能――そんなメリットから、クラウド上に展開したデスクトップを利用できる仮想デスクトップ市場が成長を続けている。

 企業向けの仮想デスクトップ環境は初期費用や最低契約数などがあり、興味があってもなかなか気軽に試すというわけにはいかないことが多い。今回仮想デスクトップサービスをレビューすることになり、いろいろなサービスを調べていたところ、Webページから簡単に申し込みできて、テストアカウントも1営業日程度で発行されるNTTネオメイトの「AQStage 仮想デスクトップ」を発見。さっそく「AQStage 仮想デスクトップ」のテストアカウントを申し込み、仮想デスクトップの使い勝手はどうかチェックしてみた。

XPからの移行で注目を集める「仮想デスクトップ」

 クラウド上のサーバーにインストールされたデスクトップ環境に、手元のPCからリモートデスクトップで接続し、普通のPCと同様に業務アプリを使ったり、文書を編集したりする――。

 いわゆる「仮想デスクトップ」サービスが、企業の現場で注目を集めている。

 仮想デスクトップサービスは、もともとは、大規模な企業でPCの導入・管理コストを軽減するために導入が進められてきた仕組みだ。データセンターに仮想デスクトップ環境を用意し、普段使用している既存端末から接続して業務に利用することで、物理的なハードウェアとOSやアプリケーションなどのソフトウェアの環境を切り離し、アドレスフリーのPC環境やモバイル対応、シンクライアントを利用したセキュアな環境、サーバー側でのPC環境の一元管理を実現できる。

 そんな仮想デスクトップへの注目が、なぜここ数年高まっているかというと、Windows XPのサポート終了に伴うPC環境のリプレイス需要が1つの大きな要因となっている。2011年の東日本大震災の影響でBCP(事業継続計画)需要が高まったことも相まって、低成長と言われるITサービス市場の中で、対前年20%前後の成長を続けているという。

 また、仮想デスクトップはPC紛失などにともなう情報漏えい防止をはじめとしたセキュリティ対策としても有効なことから、金融業界が積極的に採用するなど、これまでは大手企業や官公庁などでの大規模導入が中心となって導入が進んできた。

サポート期限が間近に迫ったWindows XP。2014年4月9日以降は更新プログラムが提供されないため、継続利用はセキュリティリスクが非常に高い

 その一方で、企業の現場では、現在もWindows XPを搭載したPCが現役で使われているケースが少なくない。どうしてもWindows XPでしか動作しない業務アプリケーションやハードウェアが存在するという場合もあるが、現役XPマシンのほとんどは、移行にかける時間やコストが捻出できなかったり、ハードウェアのリース期間が残っているために更新できないままでいるという実情がある。

 これに対する回答の1つが、クラウドで提供される「仮想デスクトップ」というわけだ。

 XPサポート期限切れも間近に迫り、スマートフォンやタブレットの業務利用が広まる中、以前は社内に設置されていたサーバー機がクラウド上の仮想化サーバーに切り替わったように、中堅・中小企業でも仮想デスクトップサービスが徐々に広がるものと見られている。

 XPマシンを多く抱え、一度に買い換えるコスト負担が重い場合にも、初期導入コストが安く上がるクラウド形の仮想デスクトップサービスを利用することで、買い替えを徐々に進めることができる。また、全社的に仮想デスクトップサービスへの切り替えを検討する前に、ひとつの部署で試験的に導入したいといった場合にも、クラウド型のサービスは低コスト・短期間で手軽に試せるメリットがある。

 冒頭でも触れた通り、仮想デスクトップ環境を用意すれば、PCのハードウェアやOSを問わず、クラウド上に用意されたデスクトップ環境で作業をすることができる。

 これまでのハードウェアとOSやアプリケーションが一体化した管理では、たとえば今のタイミングで、Windows XPから新しいOSにリプレイスしたとしても、将来的にまた同じ問題に直面することになる。であれば、思い切ってPC環境の仕組みそのものを変え、OSやアプリケーションをハードウェアから切り離してクラウドに移管してしまおうという発想だ。

Windows XPからのリプレイス先として注目されている仮想デスクトップ。タブレットなどの端末でも利用できる。
Windows XPをリプレイスする間の一時的な経過措置としてXP上で仮想デスクトップを使うという選択肢もある

先行導入や段階導入、中小の導入も可能な「AQStage 仮想デスクトップ」

 とは言え、企業にとって、あまり馴染みのない仮想デスクトップをいきなり導入するのは不安が大きい。実際に使ってみないことには、導入に踏み切れない場合も多いだろう。

 そこで注目されているのが、今回テストアカウントをお借りした「AQStage 仮想デスクトップ ライト」のお試し環境のように、本番環境をインターネットから手軽に利用できるサービスだ。

NTTネオメイトが提供する「AQStage 仮想デスクトップ ライト」(画面はウィンドウ表示に切替えて撮影)。「ライト」はクラウド上で提供される仮想デスクトップを手軽に利用できる

 NTTネオメイトではクラウド型で大中規模向けのサービスを先行して展開してきたが、昨年10月に小規模でも導入しやすいクラウド型サービス「AQStage 仮想デスクトップ ライト」の提供を開始している。

 「AQStage 仮想デスクトップ ライト」は最低10台の契約から利用可能で、20台5年契約の場合の例で1台あたりの月額利用料は2500円、100台3年契約では1500円(オプションなどによって変化)となっている。NTT西日本のフレッツ・v6オプションを利用すればVPNネットワークが無料で利用できるなど、導入しやすいサービスとなっているのが特徴だ。

 これなら、企業の情報システム部門がテスト目的で先行導入したり、営業部門などモバイルでの活用が急務となる一部の部署から段階的に導入したり、十数台規模の中小の現場でも無理なく導入することができるだろう。法人向けに提供しているお試しサービスを利用することで、実際の環境と同じAQStage 仮想デスクトップ ライトの仮想デスクトップを15日間、無料で試すことも可能となっている。

 仮想デスクトップの導入においては、「自社の業務にあったデスクトップ環境を用意できるか」「期待されるパフォーマンスは実現できるか」「セキュリティ面の心配はないか」といったさまざまな疑問があるはずだ。こういった疑問をお試しサービスで事前にクリアにできるメリットは大きい。

 もちろん、部門単位でデスクトップ環境や導入方法を変えたり、より高いセキュリティなどが必要な場合は、「AQStage 仮想デスクトップ スタンダード/プレミアム」のサービスを選ぶこともできる。これらの事前テストとしてもお試しサービスを活用するといいだろう。

導入前のお試しサービスを使ってみる

 申し込みについては、こちらのWebページを参照してもらうとして、今回は、その使用感を中心にレポートしていくことにする。

 基本的な仕組みとしてはWindowsのリモートデスクトップを利用するため、接続用ソフトなど特別なアプリケーションのインストールなどは必要ない。お試しサービスを申し込むと、接続用のサーバー証明書とアカウントが提供されるので、まずはサーバー証明書をインストールする。

 アカウントと一緒に提供されるインストール用のバッチファイルを実行すれば自動的に証明書がインストールされるが、コントロールパネルの「インターネットオプション」から「コンテンツ」タブを表示し、「証明書」ボタンをクリックして、提供された証明書をインポートしてもかまわない。

 ここまでできたら実際に接続する。申し込み後に提供される接続用のRDP接続設定ファイルを利用するか、リモートデスクトップ接続から接続先を指定後、お試し用のユーザー名とパスワードで接続すると、デスクトップ環境が表示される。

証明書をインストール。提供されるバッチファイルで手軽にインストール可能
お試しサービス申し込み後に提供される接続先名やアカウントを使って、リモートデスクトップで接続する

 AQStage リモートデスクトップ ライトでは、デスクトップOSとしてWindows Server 2012、またはWindows Server 2008 R2が提供されるが、今回はWindows Server 2012を利用した。

 サーバーOSに慣れていないと戸惑いを感じるかもしれないが、基本的なユーザーインターフェイスはWindows 8とほぼ共通となっており、デスクトップ上でアプリケーションを利用する限りは、サーバーOSであることを意識することはほとんどない。

 実際に利用してみて感心するのは、動作の軽快さだ。インターネット経由でデスクトップを使うというと、操作に対する画面の反応が遅くなったり、アプリケーションの起動や表示が遅くなるのではないか? と思うかもしれないが、そういった心配はまったく必要ない。

 エクスプローラーを起動して「ドキュメント」フォルダを開けば即座にウィンドウが表示される上、各フォルダの移動やファイルの表示ももたつくことなく表示される。Internet Explorerを起動すれば、インターネット上のWebページが表示され、キーボードからスムーズに文字を入力して検索することなどもできる。お試し環境にはOpen Officeもインストール済みとなっているので、各種文書を表示したり、編集したりするのも苦労しない。

Open Officeを使って文書を表示・編集しても、通常のPCとほとんどかわらない操作感となる

 ローカル接続のプリンターを使って印刷も可能なので、フルスクリーン表示時に画面上部にリモートデスクトップのツールバーが表示されなければ、PC上で動作しているOSとほとんど変わらない感覚で操作が可能だ。Officeを使うだけの簡単な業務なら、標準で提供されるデスクトップのまま、何のカスタマイズもしなくても、すぐに業務に活用できそうだ。

 このほか、接続時のリモートデスクトップクライアントの設定を変更すれば、PCに装着されている光学ドライブやUSBデバイスも仮想デスクトップ上で利用することができる(ローカルリソースタブの「詳細」ボタンで設定)。

 これにより、たとえばインストール用のDVDメディアから仮想デスクトップ上に業務アプリケーションやOfficeソフトをインストールしたり、USBメモリに保存したデータを仮想デスクトップ上で開くことなどもできる。実際の導入時は、自社の環境に合わせてOfficeをインストールするなど、イメージ自体をカスタマイズすることもできる。このあたりは、柔軟な対応が可能だ。

PC上のUSBメモリや光学ドライブを利用することも可能
Microsoft Officeをインストールすることもできる

 もちろん、通常のPCとの違いを感じるシーンもいくつかある。代表的なのは、動画の再生だ。カメラで撮影した動画ファイルを仮想デスクトップ上にコピーして再生すると、カクカクとした印象でスムーズに描画できない。この点について、NTTネオメイトの「AQStage 仮想デスクトップ」サービスのページにあった電話窓口に問い合わせてみたところ、「Windows 7/8でもRDPver8であれば、動画もストレスなく表示される」とのことだ。

 また、前述したPC上のDVDやUSBへのアクセスに、通常のPCよりも若干時間がかかるのも、インターネット経由であることを意識させられるシーンの1つだ。これに関しても念のため質問してみたが、「VPN環境であればストレスなく動作する」とのこと。お試し環境はインターネットによるアクセスなので帯域保障がされていないが、必要によりVPN環境を選択することで、この点も解決できるということだ。お試しサービスを利用する際には、こうした点も念頭において試用すると良いだろう。

 このように、実際に試用してみてはじめて、自社の導入にあたって検討すべき項目も見えてくる。導入時のハードルが低いクラウド型のサービスであっても、カスタマイズが必要な点の有無をチェックする意味でも、無料お試しサービスを活用することをお勧めしたい。

【Surface 2(Windows RT)からAQStage 仮想デスクトップを使う】

さまざまなメリットを享受できる

 今回は手軽にクラウド上のデスクトップ環境を試用できる「AQStage 仮想デスクトップ」を試用してみたが、前述の通り、仮想デスクトップサービスの用途は古いPCのリプレイスだけに限らない。

 仮想デスクトップサービスを利用することで、リモートデスクトップでインターネットに接続できる端末があれば、場所や環境を問わず、いつも同じ環境で作業ができる。このため、たとえば社員が出張などで国内外に出かけたときでも、インターネット接続さえできれば、いつものデスクトップに接続することができる。外回りが多い営業職の業務効率改善にも役立つだろう。

 特に最近では、軽量で長時間駆動が可能なタブレットが手軽に入手できるようになってきた。こういった端末を仮想デスクトップサービスと組み合わせて導入すれば、より効率的なモバイル環境を構築することができる。

小型・軽量なタブレットと組み合わせてモバイル環境を構築するのにも適している

 同様に在宅勤務環境や災害時の事業継続(BCP)対策としても活用可能だ。自宅でも普段のデスクトップや業務アプリケーションが使えれば、ワークライフバランスを考慮した仕事環境を社員に提供したり、気象状況や災害などで会社へと社員が足を運ぶことができなくなったとしても業務を継続できる環境を整えることができる。仮想デスクトップの導入によって社員が受ける恩恵は少なくないと言えるだろう。

 もちろん、管理する立場や経営者側のメリットも大きい。シンクライアントとセットで導入すれば、通常のPCと異なり、ハードウェアを自社で管理する必要がなくなり、長期的な管理の手間やコストも減らすことができる。大企業では膨らむ管理コストの抑制につながるうえ、専任の担当者を置けない中小企業でも導入できるメリットは大きいだろう。

 また、データをPCに残さずに済むため、企業のコンプライアンス対策としての効果も大きい。仮想デスクトップサービスは、現状、官公庁や金融機関などで積極的に導入がすすめられているが、その理由は、このセキュリティの高さにあると言えるだろう。

導入検討中なら、まずは無料体験や情報収集を

 このように、XPのサポート終了に伴うPC環境の移行を無理なく実行できるのはもちろんのこと、モバイル対応やBCP対応、コンプライアンス対策など、さまざまなメリットを享受できるのが仮想デスクトップ環境のメリットと言える。中でも、今回試用した「AQStage 仮想デスクトップ」は、クラウド型もオンプレミス型も提供されており、クラウド型でも要望に応じた個別対応も可能であるなど柔軟なサービスとなっており、事前にお試しもできる。

 XPリプレイスで頭を痛めている、あるいはモバイルデバイスを活用した業務効率化とセキュリティを両立させたいといった場合には、まずは無料お試しサービスを申し込んでみるといいだろう。

 なお、NTTネオメイトでは、3月20日にグランフロント大阪でAQStage 仮想デスクトップをテーマとした参加無料のイベント「INTO THE NEO-TECHNOLOGY 〜現場技術者から学ぶ、最新仮想化技術の構築と運用〜」を開催する。VMware担当者による仮想デスクトップの統制管理についての解説や、実際に数万台規模の大規模導入を手がけたNTTネオメイトの担当者が導入にあたっての課題や陥りがちなトラブルへの対処方法、運用・管理のコツなどを紹介するイベントとなっている。

 導入を検討しているがもっと詳しく知りたいという場合は、まずは、こうしたイベントを利用して詳しく知ることから始めてみるといいだろう。

(清水 理史)