マニア心をくすぐる「HP MicroServer」を試す【リモート管理カード編】


 ここまで、日本HPの小型サーバー「HP ProLiant MicroServer」の基本的なハードウェアと、その性能について簡単に紹介してきた。最終回は、MicroServerのリモート管理カードの機能を紹介していく。

 

BIOSの操作や仮想メディア機能も備えたリモート管理カード

MicroServer

 MicroServerには、オプションでリモート管理カード(8400円)が用意されている。HPのProLiantサーバーには、iLO(integrated Lights-Out)というリモート管理機能が用意されているが、MicroServerのリモート管理カードは、これを使用しているわけではない。ただ、iLOと同じような機能が提供されている。

 例えば、MicroServerの電源がOFFになっていても、リモート管理カードをインストールしていれば、リモートPCから簡単に、MicroServerの電源をONにすることができる。

 もちろん、iLOと同じように、MicroServerの画面をリモートPCに表示し、PCのキーボードやマウスをそのままMicroServerの入力として利用することができる。OSの画面だけでなく、BIOSの操作もリモートから行える(仮想KVM機能)。

 もう1つ重要なのは、リモート管理カードには、仮想CD/DVD/FD機能(仮想メディア機能)が用意されている点だ。このため、MicroServerにCD/DVDドライブがなくても、仮想CD/DVD機能を使って、リモートPCにあるISOイメージをネットワークでマウントし、そこからOSをインストールすることができる。これなら、MicroServerにCD/DVDドライブを増設しなくてもいい。

 リモートからMicroServerを操作/管理できるため、電源とネットワークさえ用意できれば、本棚に置いてもOKだ。

リモート管理カードのインストール

MicroServerのリモート管理カード。(1)がPCI Express x1、(2)が内部接続のVGAインターフェス
MicroServerのマザーボードにリモート管理カードを挿したところ。リモート管理カードのインストールには、MicroServerからマザーボードを引き出して、カードを挿してから、再度本体ケースに入れる。この際、事前に本体ケースの後ろのカードカバーを抜いておく必要がある。また、カードが少し傾いていると、後ろのパネルにきちんとはまらないこともあるから注意が必要だ

 MicroServerのリモート管理カードは、PCI Express x1のスロットにインストールするようになっている。ただし、リモート管理カードは、PCI Express x1コネクタ以外に、もう1つコネクタを使用する。このインターフェイスは、ディスプレイ出力をリモート管理カード側のディスプレイ出力端子に切り替えるために使われている。

 リモート管理カードをインストールすると、MicroServer本体のディスプレイ出力端子からは、モニター信号は出力されない。リモート管理カード側のディスプレイ出力端子に切り替わる。このため、リモート管理カードをインストールしたときには、ディスプレイケーブルは、リモート管理カード側の端子に接続し直す必要がある。

 また、リモート管理カードのネットワークは、管理用ネットワークとして使われるため、ファイルアクセスなどには、MicroServer本体のネットワーク端子も利用することになる。つまり、リモート管理カードをインストールしたMicroServerは、管理用と本体用の2本のネットワークを使用することになる(リモート管理カードのネットワークは100BASE-TX/10BASE-T)。

 リモート管理カードを使って気になったのは、ディスプレイ機能だ。MicroServerは、AMD785Eを使用しているため、AMD Radeon HD4200相当のグラフィックチップを内蔵している。このため、ディスプレイドライバをインストールすれば、フルHD(1980×1080)のモニターなども利用できた。

 しかし、リモート管理カードをインストールすると、ディスプレイは標準VGA(最大1280×1024)に切り替わってしまう。このため、AMD785EのGPUは使用できない状態になる。どうやらこれは、リモートのPCでMicroServerの画面を表示するためのようだ。

 もし、リモート管理カードを使うなら、MicroServerのGPUが利用できなくなることを理解しておく必要があるだろう。


本体の後ろにある、カードカバーを外すには、本体のフロントパネルにある付いている専用のネジ回しを使って行う リモート管理カードには、管理ネットワーク用の100BASE-TX/10BASE-T NICとディスプレイ出力端子が用意されている

 

リモート管理カードにアクセスする

リモート管理カードのIPアドレスは、BIOSのIPMI Configuration→Set LAN Configurationで設定できる。今回は、DHCPから配布されたIPアドレスを使っている

 リモート管理カードを使うには、リモート管理のNICにきちんとIPアドレスを設定する必要がある。この設定は、BIOSのIPMI Configuration→Set LAN ConfigurationでIPアドレスで行える。

 リモートPCからMicroServerにアクセスするには、Webブラウザでリモート管理カードのIPアドレスを入力すればOKだ。

 リモート管理機能を使うには、リモート管理のトップ画面で、ユーザーIDとパスワードを入力してログオンする必要がある。デフォルトのユーザーIDとパスワードは、メンテナンス&サービス ガイドの中に書かれている。ちなみに、送付されたリモート管理カードのパッケージには、マニュアルなどはなく、カード本体だけしか入っていなかった。できれば、HPのサイトからリモート管理カードのマニュアルなどをダウンロードできるようにしてほしかった(デフォルトのユーザーIDとパスワードを探すのに時間がかかった)。

 ログオン後は、必ずデフォルトのIDとパスワードを変更しておく必要がある。もし、MicroServerをオフィスで使っている場合は、デフォルトのIDとパスワードでは、セキュリティホールとなってしまう。リモート管理カードのサイトのConfiguration→Usersで、デフォルトのユーザーのパスワードを変更するか、新しくAdministrator権限のユーザーアカウントを作成した方がいいだろう。

 また、リモート管理カードのサイトから、MicroServerの温度やファンスピードなどをチェックすることができる。さらに、MicroServerにトラブルが起きたときには、登録してあるメールアドレスにアラートメールを送信する機能も用意されている。


ブラウザでリモート管理カードのIPアドレスを入力すれば、リモート管理カードのログオン画面が表示される。ここで、IDとパスワードを入力。デフォルトのIDは、admin。パスワードは、メンテナンス&サービス マニュアルを確認してほしい。 リモート管理カードのサイトのトップ画面。
MicroServerの管理用ネットワークのIPアドレスなども変更できる Configuration→Usersで新しい管理者権限のユーザーが作成できる。セキュリティ面から、デフォルトのadminは、パスワードを変更しておく方がべきだ。できれば、adminアカウントは、Disabledにして、新しい管理者を作成する方がいい
リモート管理カードを使えば、MicroServerのファンスピードや正常に動作しているのかなどをチェックすることができる。もし、ファンが止まったら、アラートが表示される MicroServer本体各所に温度センサーが用意されている。リモート管理カードでは、本体内部の熱をチェックすることも可能

 

仮想KVM機能と仮想メディア機能を試す

 リモート管理カードの最大の特徴は、仮想KVM機能と仮想メディア機能だ。

 仮想KVM機能を使えば、リモートPCからMicroServerにアクセスして、画面表示やキーボード/マウス入力をリモートPCで代用することができる。これなら、MicroServerが別の場所にあっても、ネットワークさえ接続していれば、リモートでコントロールすることができる。

 MicroServerの電源ケーブルさえ接続されていれば、MicroServerが電源OFFになっていても、リモートからコントロールできる。これは、リモート管理カードは、本体に電源ケーブルが挿入されていれば、常に動作しているからだ。このため、リモートPCから、電源ONにしたり、リセットをしたり、BIOS設定の変更を行ったりすることもできる。これなら、MicroServerを本棚の上に置いて、モニターやキーボード/マウスなどを接続しなくてもOK。ネットワークと電源さえ、接続されていればいい。

 リモート接続では、MicroServerのGPU機能は使えないが、ネットワークに接続していれば、どこからでも簡単に操作できるという大きなメリットがある。もちろん、OSの画面も仮想KVMで表示されるため、サーバーとしての操作なら仮想KVMで十分だ。


リモート管理カードを使えば、リモートからMicroServerに対してリセット信号を送ることもできる MicroServerの電源がOFFでも、リモート管理カードを使って電源ONにすることもできる

 実際には、仮想KVMを利用するには、リモート管理カードのサイトからvKVM&vMediaを選択する。KVM Launchというボタンをクリックすると、Javaで作られた仮想KVMプログラムが起動し、MicroServerの画面が表示される。画面の表示スピードとしては、満足行くスピードだ。これなら、リモート環境で操作していて、画面表示が遅くてイライラすることもないだろう。

 Windows OSのログオン画面では、Ctrl+Alt+Delキーを押す必要がある。vKVMで直接このキーを入力できないため、vKVM画面のMacrosメニューにCtrl+Alt+Delキーが登録されている。このキーをメニューから選択すれば、MicroServerに入力できる。


仮想KVMを使うには、vKVM&vMediaから、Launch LVM Mediaボタンを押す するとJavaアプレットがMicroServerからリモートPCに送られて、KVMが起動する
仮想KVMは、BIOS設定などもリモートPCから行える もちろん、MicroServerを起動した直後の画面も仮想KVMで確認できる
仮想KVMで、Windows OSのログオン画面が表示されたときは、メニューのMacrosからCtrl+Alt+Delキーを入力して、ログオン画面を表示する 画面は標準VGAだが、仮想KVMできちんとWindowsのデスクトップが表示され、操作ができる
仮想メディア(vMedia)を起動すると、ISOファイルをマウントするか、といった操作画面が出てくる

 もう1つの仮想メディア機能は、Virtual Media ConfigurationのLaunch VM Viewerボタンをクリックする。Launch VM Viewerで、リモートPCのHDDにあるISOイメージをマウントすれば、MicroServerにCD/DVDドライブがなくても、仮想化されたCD/DVDドライブとして利用できる。

 仮想CD/DVDドライブは、リモート管理カードの機能なので、Windows OSなどが起動していなくても、OSを最初にインストールするところから利用することができる。つまり、リモート管理カードがあれば、MicroServerにCD/DVDドライブがなくても、OSのインストールが行える。


MicroServerは使えるサーバー

 実際にMicroServerを使ってみて思ったのは、低価格だが、ビジネスでも、家庭でも使えるサーバーだ。CPUの性能を考えれば、データベースやアプリケーションサーバーとしてはパフォーマンス不足だ。しかし、部門のファイルサーバーなどとしては、十分な性能を持っている。また、リモート管理カードを使えば、支社や支店のブランチサーバーとして、本社から簡単に管理することができる。

 また、価格を考えれば、個人がホームサーバーとして利用するにも、ぴったりだ。簡単にHDDを増設できるため、家庭用のNASとして利用するのもいい。ハードウェアとしての拡張性は、それほどないが、いろいろなOSを入れて使うには、遊べるサーバーといえるだろう。大きさもコンパクトだし、静かなので、家庭で使っても、邪魔にならない。

 何よりも、自作PCを流用したサーバーに比べると、さすがHPのProLiantだけあって、作りがしっかりしている。小さいながらも、サーバーとして冷却に注意したり、静音性に力を入れたりしている。

消費電力のグラフ

 最後に、MicroServerの消費電力を測ってみた。メモリ2GB、HDD160GB、CD/DVDドライブ、リモート管理カード付きという環境で、前回テストしたPassMarkのベンチマークソフトPerfomance Testを起動して、終了するまでの消費電力を計測してみた。

 最大33W、最低3Wとなっている。今回テストした環境では、リモート管理カードが常に動作しているため、電源OFFの状態でも3Wほど消費している。今回のテストでは、HDDが1台だけしか入っていないため、HDDを増設するともう少し電力を消費することになるだろう。

関連情報