NEC、映像圧縮時の遅延を業界最小クラスに抑えたデジタル映像圧縮・伝送装置「VC-7700」を発売
NECはこのたび、映像圧縮時の遅延を業界最小クラスの10msec(ミリセカンド:1000分の1秒)に抑えた(注1)超低遅延デジタル映像圧縮・伝送装置「VC-7700」を製品化し、放送事業者や通信事業者向けに販売活動を開始しました。新製品の価格はオープンで、出荷開始は本年10月からを予定しており、今後3年間に2,000台の販売を目指します。
デジタル映像圧縮・伝送装置「VC-7700」 |
近年、地上デジタル放送の普及に伴い映像コンテンツのHD(High definition)化が進んでいます。HD映像信号はデータ量が膨大で、無線や汎用有線ネットワークで伝送する際に圧縮処理を行っているため、数100msec程度の遅延が発生します。この遅延が、生中継時の撮影現場とスタジオ間におけるコミュニケーションのタイムラグの原因になるなど、運用面での課題となっており、従来より低遅延化が強く望まれていました。
新製品は、HDカメラなどで撮影した大容量の映像信号を圧縮し、放送局へ伝送するための装置です。NEC独自の「超高画質・超低遅延符号化アルゴリズム」の搭載により、圧縮時の遅延を業界最小クラスの10msec にまで抑え、リアルタイムに映像伝送を行うことが可能となります。また、最新の映像圧縮国際規格「H.264 High422profile@LEVEL4.1(注2)」に準拠しており、ビットレートが低い通信環境においても高品質な映像伝送が可能です。
「VC-7700」の主な特長は以下の通りです。
1. 圧縮時に生じる遅延を業界最小クラスの10msecに低減
これまでNECがデジタル放送基幹設備(MPEG-2エンコーダ)で培ってきた独自の映像圧縮技術を基に、新たに「超高画質・超低遅延符号化アルゴリズム」を開発。本アルゴリズムの採用により、超低遅延モードで10msec、低遅延モードで60msecの低遅延を実現(注3)。
2. 低ビットレートの通信環境においても高品質な映像伝送を実現
映像圧縮方式として、MPEG-2に比べ2倍以上の圧縮率を実現する「H.264 High422profile@LEVEL4.1」を採用。「超高画質・超低遅延符号化アルゴリズム」との組み合わせにより、ビットレートが低い通信環境においても高品質な映像伝送が可能。
3. 補助データ信号の伝送が可能
映像信号のほかに、デジタル字幕データや放送局間制御信号などの補助データ信号も伝送することが可能なため、補助データ伝送用の装置が不要。
4. 多様な音声圧縮方式や伝送方式に対応
音声圧縮方式として、MPEG-2 AAC-LCを始め、MEPG-2-BC、MPEG-1 Layer2、非圧縮LPCMなどの多様な方式に対応。また、映像の出力についても、伝送に用いるネットワークに応じ放送用の伝送規格であるDVB-ASIとIPの両方から選択可能。
NECは、過去80年にわたり、世界110カ国の放送事業者や通信事業者などに、デジタル放送用の機器およびシステムの提供を行っており、高度な技術力やノウハウを有しています。NECはこれまでの納入実績を生かし、国内外の放送事業者や通信事業者向けに、次世代サービスへの発展を見据えた映像ソリューションの提供を行ってまいります。
「VC-7700」の仕様については、別紙をご参照ください。
http://www.nec.co.jp/press/ja/1007/images/2601-01-01.pdf
以 上
(注1) 超低遅延モードの場合。低遅延モードでは約60msec。
(注2) profile/levelはH.264規格で規定する符号化スペック。profile@LEVEL4.1は、一般的に放送局の素材伝送用として必要とされるクロマ4:2:2かつ100Mbps超レベルの高画質伝送を実現するスペック。
(注3)伝送路における遅延は含まない。
<VC-7700についての情報>
URL: http://www.nec.co.jp/bv/hoso/vcvd7700.html