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IPA、企業間・業界内でのシステム障害防止に関する情報共有や枠組み構築を支援するガイドブックを公開

 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は29日、企業間・業界内でシステム障害を未然に防止するための情報共有体制や枠組み構築の促進を目的としたガイドブック「情報処理システム高信頼化教訓 作成ガイドブック(ITサービス編)」「情報処理システム高信頼化教訓 活用ガイドブック(ITサービス編)」を公開した。

 IPAでは、鉄道、航空、金融など様々な企業・業界で活用されているITシステムは生活や経済活動を支える重要な社会基盤として浸透している一方、それらのシステムに障害が発生した場合、社会的な影響も大きくなっていると説明。2014年に国内で発生したシステム障害の件数は2009年の約2.3倍に増加しており、システム障害により生じた過去1年間の損失額は国内全体で約4兆9600億円という調査もあるなど、システム障害による経済損失やその影響は大きく、システム障害の未然防止は企業にとって喫緊の課題だとしている。

 こうした背景を踏まえ、IPAでは2013年に、障害事例やその再発防止策などのノウハウを「教訓」として整理・体系化した「情報処理システム高信頼化教訓集(ITサービス編)」を公開している。今回、さらに2編のガイドブックを新たに公開した。

 「情報処理システム高信頼化教訓 作成ガイドブック(ITサービス編)」は、自社内で発生したシステム障害事例の原因分析や再発防止策などを「教訓」として作成するための手法を解説。「情報処理システム高信頼化教訓 活用ガイドブック(ITサービス編)」は、自社で作成した教訓やIPAや他社などの第三者が提供する教訓を自社内で活用するための手法を解説している。

 IPAでは、ガイドブックの公開を通じて、これまで各企業内で閉じられていたシステム障害の情報や再発防止策などのノウハウが「教訓」としてオープンにされ、企業間や業界内における情報共有活動が進むことで、従来よりも信頼性の高いITシステムの構築・実現につながるものと期待しており、ガイドブック活用セミナーなどの実施により普及促進を図っていくとしている。

三柳 英樹