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手助けだけではなく“起業文化”を作り出す――、シンガポール国立大学のインキュベーション施設を見学
(2015/11/16 11:56)
Huawei Technologies(ファーウェイ)は12日(現地時間)、プライベートイベント「Huawei Innovation Day Asia 2015」をシンガポールで開催。イベントの後には、NUS(シンガポール国立大学)のインキュベーション施設「NUS Enterprise」の見学会も行われた。
NUS Enterpriseは2002年に設立された。NUS Enterpriseのリリー・チャン氏の説明によると、NUS Enterpriseでは才能のある人の手助けをするだけではなく、「起業文化」を作り出しているという。
NUS Enterpriseでは技術や起業についての教育や、起業のサポートなどを行う。NUS Overseas Colleges(NOC)というプログラムでは、シリコンバレーやニューヨーク、北京、インドなど世界中の企業のインターンシップ(就業体験)を経験できるという。
スタートアップ企業のオフィスとしては、NUS EnterpriseとシンガポールテレコムのSingtel Innov8、メディア開発庁(Media Development Authority、MDA)によって、「Blk71」が設けられている。そのほか、起業家向けの居住施設「N-House(Entrepreneur House)」なども提供している。ハッカソンやワークショップなどの交流イベントも開いている。
チャン氏はこうしたNUS Enterpriseについて、カジュアルでローカルな点などを挙げて「ちょっと(シリコンバレーの北部端である米国の)パロアルトっぽい」と表現した。
2014年には政府がスタートアップスペースの拡大を発表しており、見学時にはその「JTC Launchpad@One-North」が建築中だった。また、シンガポール国外にも、米国のシリコンバレーの「Block 71 San Francisco」と、中国の蘇州の「Blk71 Suzhou」の2カ所のスペースがあるという。
US Enterprise出身のスタートアップ企業も登壇
NUS Enterprise出身のスタートアップ企業も3社登場して、事業内容を紹介した。
ViSenzeは、画像検索エンジンを開発している企業だ。主にECサイト内の商品検索で使われ、楽天台湾や、台湾のファッションECサイトZalora、インドのFlipkartなどが採用している。ViSenzeのOliver Tan氏は「Can we search products without keywords(キーワードなしに商品を検索できないか)」をテーマとし、欲しい服のイメージなどは言葉で説明するより、画像を見せたほうが速いと説明した。
なおTan氏は、シンガポール国内には市場がないため海外の顧客を狙っていること、シンガポールでは優秀な人でエンジニアになりたがる人が少ないことなども語った。
Ampotechは、既存のブレーカー(配線用遮断機)にとりつけてスマートメーターにする装置を開発した企業だ。データはクラウドに吸い上げ、Web画面からブレーカー中の系統を選べば、そのデータがグラフで見られる。
AmpotechのWill Temple氏によると、製品はパイロット段階で、ほかの企業と組んで出す考えだという。具体的には、企業内の電力消費の監査や、LED照明企業が消費電力削減を約束するツールとして使うことなどを想定しているという。
Algo Access Pte Ltdは、クラウドベースの眼科の診療システムを開発する企業だ。検査機とSaaSサービスを組み合わせることにより、店で気軽に緑内障や糖尿病を検査できるようにするという。