ニュース

IDCフロンティア、オールフラッシュストレージを採用したクラウドサービスを西日本リージョンで提供

 株式会社IDCフロンティア(以下、IDCF)は、北九州データセンターに西日本リージョンを新設し、10日からサービスの提供を開始した。さらに同日、プレス向けにクラウドサービス新戦略発表会を開催した。

IDCFクラウドの特徴は「パワフル、シンプル、リーズナブル」

 IDCFは、データセンター事業を基盤に2009年からパブリッククラウドサービスの提供を開始するなど、国内におけるクラウドサービスの草分け的な企業である。IDCF 代表取締役社長の中山一郎氏は、同社のサービスの特徴を「パワフル、シンプル、リーズナブル」であると述べた。

IDCF 代表取締役社長の中山一郎氏

 2014年10月から提供を開始した「IDCFクラウド」は、「パワフルなクラウド」をコンセプトとしたパブリッククラウドのサービスであり、今回新たにサービス提供を開始した西日本リージョンは、東日本リージョンの機器構成でオールフラッシュストレージを採用し、I/Oの性能を従来の2倍から、最大で40倍に向上しているという。ますますパワフルさに磨きがかかったと言えるだろう。

 IDCFクラウドは、使いやすいシンプルなUIであることに非常にこだわりを持っていることでも知られており、このUIを評価してIDCFクラウドの利用を決めた顧客も少なくない。

 リーズナブルの観点からIDCFクラウドを見た場合、ワンコイン(500円)から始められるクラウドサーバーを国内で最初に提供したのもIDCFクラウドであり、2015年10月にはエントリープランをサーバー性能が向上したにも関わらず半額に値下げしている。しかも、今回の西日本リージョンにおいてオールフラッシュストレージとなっても料金は東日本と同じである。

クラウドサービスはすでに淘汰が始まっている

 IDCF 取締役 技術開発本部 担当役員の西牧哲也氏は、「IaaSの市場は安定して拡大しているが、すでに淘汰(とうた)が始まっている」とし、「勝ち残るためにはサービス提供の高い継続性、スケールメリットの追及、ユーザーファーストのサービスであることが重要」であると述べた。事実同社のSLAは99.999%と非常に高く、Yahoo! JAPANグループの一員であることからスケールメリットにおいても優位性があると言えるだろう。

 西牧氏はIDCFクラウドの3つのサービス戦略として、顧客の成長過程をシームレスにサポートするスケーラビリティ、シンプルな仕様のUI/UXの提供、さらにクラウドでデータを処理するだけでなく「データ集積地」(データも集積するセンター)となるべくビジネスモデルの変革を進めていくことを挙げている。

 さらに同氏は「ネットワークのバックボーンの容量を現状の510Gbpsから1000Gbpsに拡大する予定である」と述べた。

IDCF 取締役 技術開発本部 担当役員 西牧哲也氏

 IDCFクラウドが東西のリージョンに分かれていることによって、顧客には「地理的リスク分散が可能になる」と、IDCF 技術開発本部 UX開発部 グループリーダーの梶本聡氏は述べる。

 梶本氏は「日本のITは東京に一極集中しており、国内のIPアドレスの約54%が東京にある」とした上で、「しかし、関東および東海地方は今後30年間の間に震度6弱以上の地震が起こる確率の高い地域である」と指摘する一方、「西日本リージョンのデータセンターがある北九州は災害リスクが低い地域である。東日本リージョンのデータセンターについても、場所は福島県の白河にあり、東京電力ではなく東北電力のエリアであることから災害リスクは低い」とした。

IDCF 技術開発本部 UX開発部 グループリーダー 梶本聡氏

 さらに梶本氏は「オールフラッシュストレージによってクラウドのサーバー性能が向上したことにより、物理サーバー並みの安定したI/Oを提供することができるようになった」と述べる。ハードウェアを占有する既存の物理サーバーをクラウドのサーバーに移行することでし、大幅なコスト削減が可能になるという。

物理サーバーをクラウドに移行することでコストを削減できる

使いやすさにこだわったシンプルなUI/UX

 IDCF 技術開発本部 UX開発部 部長 寺門 典昭氏は、「IDCFクラウドのUIは、“感動するUI/UX”で競争優位性を築く」と述べ、シンプルで使いやすいUI/UXに徹底的にこだわっていることをアピールした。また、なるべくシンプルにしたUIや、共通の名前を入力することで複数のマシン名を自動でつけられる機能などのデモを行った。

IDCF 技術開発本部 UX開発部 部長 寺門 典昭氏
シンプルなUI
共通の名前を入力すると自動的に複数のマシン名を付けられる

 IDCFクラウドのUI/UXは週1回のペースで機能をリリースしており、日々新しいサービスをリリースしているという。お客さまからの評価も高く、毎月アカウント数が増加しており前年度比でアカウント数は19倍になったという。

国内No1のクラウドサービスを目指す

 IDCFでは、国内No.1のクラウドサービスとなることを目指しているとのことで、西牧氏は「何をもって国内No.1と呼ぶのかをきちんと定義しているわけではないが、クラウドサービスといえばIDCFクラウドと多くの人に認知してもらいたいと考えている」と述べた。

 なお、西日本リージョンで採用されたオールフラッシュストレージは、「EMC XtremIO」であり、国内のIaaS事業者としては初となる。また、東日本リージョンと同じ機器構成でありながら、磁気ディスクのストレージを排したことで、サービスのアーキテクチャも改善しているという。

北原 静香