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NEC、自社生産拠点でIoT活用の実証実験を開始

工場の“見える化”や収集データの分析・活用を図る

 日本電気株式会社(以下、NEC)は4日、NECネットワークプロダクツ株式会社の本社工場において、IoTを活用した実証実験を10月より開始したと発表した。またNECプラットフォームズ株式会社の、ホームルータや組み込み機器などを生産する掛川事業所でも、今年度中にIoTを活用した実証実験を開始するとのこと。

 NECネットワークプロダクツ株式会社は、無線通信機器や放送機器などを生産するNECのグループ企業。今回の実証実験では、経営者・工場管理者・現場の各階層でのタイムリーかつ適切な意思決定を支援するため、複数工場の各生産ラインにおける品質(不良率)、稼働状況(生産時間・点検時間など)、作業員の作業内容、使用電力量、設備(修理内容・プロセス状態・加工状態など)、治具(使用回数・修理内容など)、材料(消費期限)といった、人・設備・モノに関する情報を電子化・収集し、リアルタイムかつ一元的に見える化するという。

 また経営者向けには生産マップ見直しや工場進出などの経営判断に必要なサマリ情報、工場管理者向けにはライン別稼働率・負荷見込みなど工場運営に必要な生産概況、現場層向けには現場改善に必要な詳細情報といったように、階層に応じた見える化画面を用意する。

 あわせて、NEC独自の「物体指紋認証技術」を用いたプリント基板の個体管理を実施する。個々のプリント基板の側面をカメラで撮影し、物体指紋を取得・認証することで、バーコードやRFIDタグを張り付けることなく容易にトレーサビリティを実現できるとのこと。

 さらには、人工知能ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - RAPID機械学習」を活用し、装置組立ラインのカメラ映像から作業員の異常作業をリアルタイムに自動検出する。これにより、不良発生リスクをその場で検出・手直しするとともに、作業改善・作業者教育を行い、品質向上を実現するとしている。

 このほか、ビッグデータ分析技術を活用し、プレス機に取り付けたセンサーの情報からプレス品質や金型の摩耗状態を予測。適切なタイミングでの保守によって品質安定化を図るとした。

 NECでは、こうした実証実験の結果を踏まえて、2016年度以降にIoT活用標準システムの構築および各生産拠点への展開を推進。生産効率を従来比で30%向上させ、グローバルでのQCD競争力強化を図る考えだ。さらに、実証実験で得た知見を、次世代ものづくりを支えるソリューション「NEC Industrial IoT」の各ソリューションに反映させるとしている。

石井 一志