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ルックアウト、企業向けモバイルセキュリティサービスを提供開始 iOSのマルウェア「XcodeGhost」も検知可能

 ルックアウト・ジャパン株式会社(以下、ルックアウト)は6日、企業向けモバイルセキュリティクラウドソリューション「Lookout Mobile Threat Protection」を、同日より日本市場にて販売開始すると発表した。日本における最初の販売代理店は、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)となる。

 米Lookout CEOのジム・ドルチェ(Jim Dolce)氏は、「モバイルデバイスを企業で利用するメリットは大きいが、モバイルをターゲットとした情報漏えいも日々発生しており、リスクが高まっている。日本で提供されている大手の公共Wi-Fiに接続したモバイル端末を調査したところ、アプリベースの脅威を2109個発見した。一方、モバイルデバイスのマルウェア対策を施している企業は17%というのが現状だ」と、現在の市場環境について説明。「Lookoutはこのギャップを埋めていきたい」と述べた。

 Lookoutでは過去8年にわたり、7500万ユーザーを抱えるコンシューマ向けモバイルセキュリティソリューションからさまざまなデータを収集し、分析してきた。ドルチェCEOは、「こうしたビッグデータとマシンラーニングを活用することで、ゼロデイ攻撃を防御できるのがわれわれのソリューションの特徴だ」と話す。「これまでのセキュリティソリューションでは、犯罪者がアプリケーションのコードを数行変更するだけでシグネチャをすり抜けることができた。しかしLookoutのようなビッグデータを使ったソリューションを使えば、犯罪者をさまざまな側面から追跡し確保できるようになる」(ドルチェCEO)。

米Lookout CEOのジム・ドルチェ氏
国内公共Wi-Fiに接続したモバイル端末の中からアプリベースの脅威が2109個見つかった

 Lookout Mobile Threat Protectionは、モバイルデバイス上の未知のマルウェアを検知するクラウドソリューションで、AndroidとiOSに対応する。同サービスでは、ユーザーが使用しているアプリの情報を元に、全アプリをコードレベルまで分解。過去に発生した脅威との類似点をLookoutの人工知能エンジンにて解析することで、これまでは見過ごされていた未知の脅威につながる可能性を予測する。

 「例えば新たなアプリを分析するときは、そのアプリが過去にマルウェアを作った作者と同じであったり、過去のマルウェアのコードとよく似ているといった特徴からマルウェア判定をする。人工知能技術とこれまでの分析データがあるからこそ実現できるソリューションだ」と、ルックアウト CISSP エンジニアの石谷匡弘氏は説明する。

 こうした仕組みにより、同ソリューションは数週間前にiOSのApp Store上で発覚したマルウェア「XcodeGhost」も検知可能だという。また、メールやUSBなどアプリストア以外でダウンロードされたアプリから感染するサイドローディングにも対応するほか、Jailbreakされたデバイスも検知するという。

 また、同ソリューションは、「AirWatch」や「MobileIron」といったモバイルデバイスマネジメント(MDM)とも連携できるようになっており、「Lookoutでマルウェアを発見した場合、MDMと連携して端末を隔離するといったことも可能だ」(石谷氏)という。

ルックアウト CISSP エンジニア 石谷匡弘氏
Lookoutのソリューションは、App Storeで見つかったXcodeGhostにも対応する
Lookout Mobile Threat Protectionの管理画面。管理端末の数や、リスクの数と深刻度などが表示されている

 ルックアウト 執行役社長 大須賀雅憲氏は、「モバイルを活用した業務変革を進める中で、MDMで最低限のセキュリティを担保するといった流れはできつつあるが、MDMは社内で起こる脅威には対応できても外的脅威に対しては脆弱だ。われわれのソリューションは、利便性を損なうことなく外的脅威にも対応できるものだ」としている。

ルックアウト 執行役社長 大須賀雅憲氏

 日本初の販売代理店となったCTCは、すでにMDM、MAM(モバイルアプリ管理)、MCM(モバイルコンテンツ管理)などの機能を持つ「deviceSAFE」や、ID管理ソリューションの「Centrify」といった製品を提供している。今回新たにLookout Mobile Threat Protectionを提供することで、「ようやくモバイルデバイスに対応したトータルクラウドセキュリティソリューションがそろった」と、CTC 取締役 兼 専務執行役員の松澤政章氏は述べている。

 CTCでは、同ソリューションを3年間で200社に導入したいとしているが、ルックアウトの大須賀氏は「われわれとしてはより高い目標を想定している」と話す。今後の新たなパートナーについては「具体的には考えていないが、(エンタープライズソリューションに強い)通信キャリアからの提供の可能性も模索していきたい」としている。

CTC 取締役 兼 専務執行役員 松澤政章氏

 ドルチェCEOは、「企業向けモバイルセキュリティ市場にはまだ確固たるリーダーが存在しないが、Lookoutのこれまでの経験と知見により、この市場でわれわれがリーダーとなる可能性は高い」と述べた。

藤本 京子