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デバイスの垣根を越えるOffice 2016、日本マイクロソフト・平野社長がiPhone片手にアピール

 日本マイクロソフト株式会社は29日、「Microsoft Office 2016」の提供を開始したと発表した。すでにOffice 365契約者向けには9月23日から提供を開始しているが、9月30日から一般向けライセンス「Office Home & Business 2016」を提供。ボリュームライセンス「Office Professional Plus」は10月1日から提供する。5年ぶりのバージョンアップとなる「Office for Mac 2016」についても、Windows製品同様にOffice 365契約者には9月23日から、一般向けライセンスは9月30日から提供を開始する。

 なお、クライアントにインストールして利用し、永続的に利用し続けることができる「Office 2016」も発売するが、従来のパッケージとは形状が異なり、「POSA(ポサ)カード」と呼ばれる、ライセンスキーを明記したカードを収めたパッケージを提供。パッケージサイズが大幅に小さくなっている。

 また、現在提供開始時期等は明らかになっていないが、10.1インチ以下のモバイルデバイスに搭載されるOfficeファミリー「Office Mobile」を提供する予定で、最新のOffice Mobileアプリケーションを利用することができる。

Office 2016の代表的なラインアップ

クラウドを通じて継続進化するOfficeへ

 日本マイクロソフトの代表執行役社長、平野拓也氏は、「Windows同様、Officeについても3年に一度のバージョンアップではなく、クラウドを通し、継続して進化していく製品となった」と説明。Officeについてもサービス化されたものとなっていることをアピールした。

 今回、Windows版だけでなく、Mac版も同時にリリースし、さらにMobileと対応デバイス拡大を進めていくことに対し平野社長は、「現在、マイクロソフトでは新しいワークスタイル、ライフスタイル支援を行い、地球上のすべての個人と組織がより多くを達成できるようにするという目標を掲げている。急速に変化する世の中に対応するため、変化への対応力を支える新しいICTとして、あらゆるデバイスを、クラウドでつなぎ、新しいを続々と実現する」とデバイスを越え、利用者を支援するのがマイクロソフトの目指す方向性だと訴えた。

 自ら最新のiPhone 6sを手に持ち、「Windowsだけでなく、こうしてiOS、AndroidでもOfficeを利用することができる。3年に一度のバージョンアップではなく、クラウドを通して継続的に変化への対応を支援する」という姿勢をアピールした。

日本マイクロソフトの代表執行役社長、平野拓也氏
日本市場でも、Office 365は急速に広まっているという

 日本マイクロソフトは、日本ではパソコンへのプレインストールが進んでいるといった独自事情があることから、世界各国よりも遅いタイミングで個人向けのOffice 365を投入した。しかし平野社長は「日本市場でOffice 365は急速に広まっている」と順調にOffice 365がシェアを獲得していると説明した。

 実数は明らかにしなかったものの、「パブリッククラウドの成長率は27%だが、Office 365はその3倍以上、市場で成長している。Officeを導入するユーザーの過半数がクラウド版であるOffice 365を選択している」とし、Office 365が主流となりつつあると話した。

最新のiPhoneを手にした、日本マイクロソフトの平野社長

 今回発表したOffice 2016についても、Office 365ユーザーに対しては一般向けの「Office 365 Solo」(1万1800円)、法人向けでライセンス数300以上向けの「Office 365 Enterprise」、300ライセンス未満向けの「Office 365 Business」のすべてにおいて、すでに9月23日から提供している。

 またOfficeプレインストールPCについても、9月23日から提供を行っている。

 ただし、従来同様に買い取り型製品を望むユーザーも多く存在することから、前述のようにパッケージ製品「Office 2016」の販売も行う。Windows PC向けのOffice 2016は、「Personal」(2万9800円)、「Home&Business」(3万4800円)、「Professional」(5万9800円)、「Professional Academic」(2万7800円)について、各アプリケーションの単体製品が販売される。

 Office 2016 for Macは「Office Home&Student」(2万3800円)、「Office Home&Business 2016 for Mac」(3万4800円)、「Office Academic 2016 for Mac」(1万6800円)が販売される。

小型になり統一された新しいOffice 2016のパッケージ

機能面の4つの特徴

 Office 2016の機能的な特徴としては、(1)チームワークに最適、(2)Windows 10と完全に連携、(3)あなたのやりたいことを先回りしてサポート、(4)最高の安全性を誇るOffice、といった4点。記者会見では、それぞれの特徴についてデモが行われた。

新Officeの特徴

 (1)では、共同編集機能、Skype会議のデモが行われ、文書の校正を行う際、共同編集にあたるメンバー間であれば、同じ文書を同時に修正できることを示した。確認する事項があった際など、コミュニケーションをとりながら作業を進めることが必要な場合は、アプリケーション上からSkypeでの会議が可能。コミュニケーションと編集作業を同時に進めることができる。

共同編集機能で、文書の2カ所を同時に修正中
不明な個所は、Skype会議でリアルタイムに確認、相談が可能

 (3)のデモでは、「文書内に売り上げデータを挿入したいが、売り上げデータがどこにあるのかわからない」という設定でデモが行われた。必要な情報がどこにあり、誰が持っているのかを探すために、クラウドに質問をあげると、クラウドが日常的に行っている関係性、情報を確認しているデータから、該当すると思われる内容をアドバイスする。アプリケーション自身も利用者をサポートする機能を持ち、Excelに該当するデータに適切なグラフを尋ねると、グラフ案を回答する。

わからない個所を確認すると、クラウドが日常の関係性から適当と思われる人、内容を紹介

 Outlookをメーラーとして利用する場合、添付ファイルについては直近まで利用していたファイルを表示。その中から添付するファイルを選択することも可能となった。

Outlookには、最新の作業ファイルを添付ファイル候補として表示する機能が登場

 また、Office 2016 for Macのデモも行われ、ほぼWindowsと同じ操作性でMac版Officeが操作できることが紹介された。

三浦 優子