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ヤフー、ビッグデータ処理基盤の強化を目的に白河データセンターに新棟を建設

 ヤフー株式会社は17日、グループ会社の株式会社IDCフロンティアとともに、福島県白河市の「白河データセンター」に新しく3号棟を建設すると発表した。3号棟は、Yahoo! JAPANが専用で使用する予定。建設規模は1棟50ラック・全6棟で構成される計300ラック規模で、10月1日に着工、2016年2月末の竣工を予定している。

白河データセンター3号棟完成予想図

 新設する白河データセンター3号棟は、増加するデータの格納や、Yahoo! JAPANが保有するマルチビッグデータを活用するための処理基盤強化を目的として新設。ヤフーの1社専用とすることで、設置する機器の画一化と動作環境の絞り込みにより、建物の工期短縮と効率の高いサーバーの収容を実現する。

 3号棟では、今後見込まれる需要の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、需要に応じて建設を行うモジュール方式を採用。複数階の建屋型から平屋型へダウンサイジングすることで、工期を従来の1年から5カ月へと短縮を見込んでいる。複数に分割した構造物を現地で組み立てる建設方式の採用と、小規模モジュール単位での段階的な施工により、建設コストの最適化も実現する。

 また、サーバーから出る排熱を冷やすための空調ユニットに、外気を導入して空調効率を高める間接外気空調方式を採用。空調ユニットはサーバールームのモジュールに直接接続され、白河の冷涼な気候も最大限活用して年間のPUEは設計値で約1.2を見込む。

 白河データセンターは、広大な敷地により随時の拡張が容易な地方型データセンターの特徴と、郊外型データセンターと同等のネットワークレスポンスを併せ持つデータセンター。ネットワークの伝送路を直線距離に極力近づける最短経路で設計し、中継ノードも可能な限り少なくすることにより、東京-白河間のレイテンシは3.5ミリ秒前後と、東京近郊に位置するデータセンターと同等の応答速度を実現。物理的な距離に比例しない高速なネットワーク環境を提供する。ヤフーでは将来の増棟にも備え、優先買取権を有する約2万平方メートルの隣接地取得に向け、所有する福島県と調整を進めている。

 ヤフーでは、今後もIDCフロンティアなどの協力を得て、データインフラの整備、強化を進めていくと説明。同時に、各サービスの運用で蓄積される膨大な「マルチビッグデータ」の活用のため、今後1年間で新卒、中途合わせ200人以上のエンジニア職(インフラエンジニアなど)を採用していくとしている。

三柳 英樹