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NTTドコモがSQL Server 2014を採用、全契約回線の課金・決済システムに

定期開発コストの抑制、ソフト保守費用の75%削減などを実現

 日本マイクロソフト株式会社は27日、株式会社NTTドコモが、全契約回線の課金・決済システムにおいて、SQL Serverの最新版である「同 2014」を採用したと発表した。

 NTTドコモでは、6600万件を超える契約回線すべての課金および決済基盤「MoBills」を運用しており、その中で、課金および決済システムのトラフィック(トラヒック)情報を扱うデータ分析基盤「トラヒック データ ウェアハウス(DWH)」を利用している。

 従来のトラヒックDWHは、異なる会社のデータベースとビジネスインテリジェンス(BI)製品を組み合わせ、その上に業務アプリケーションを構築・運用していた。しかしユーザー部門からは、検索やダウンロードが遅いといった利便性の面での指摘が挙がっていたほか、開発を定期的に行っていく上での効率やコストに問題が生じていた。例えば、1つの帳票データの出力フォームに変更が生じた場合、見た目の変更個所自体は小さくても、アプリケーション全体にわたる改修が必要で、開発と改修コストの高止まりが続いていたという。

 そこで2014年1月から、トラヒックDWHの更改プロジェクトをスタートさせ、新たな情報分析および活用基盤となる製品の比較検討を進めた結果、同年4月に、SQL Server 2014の採用を決定した。

 その決め手となったのは、カラムベースのインデックス処理技術である「カラム(列)ストアインデックス」と、データベースエンジン本体のライセンスに、ETLツール「Integration Services」や分析ツール「Analysis Services」「Reporting Services」などが含まれるコストパフォーマンスの高さ。また、保守料金メニューが金額固定でなく従量制も選択できるという、日本マイクロソフトならではのサポート契約の柔軟さも評価された。

 採用決定後は設計、開発、試験などを急ピッチで進め、2014年12月には旧システムと新システムとの突合テストを実施。品質が担保されていることを確認して、2015年2月に運用を開始した。

 こうして稼働開始した新システムでは、SQL Server 2014のカラムストアインデックスによる検索により、大量のデータを高い性能で検索できるため、これまでのような多段処理が不要になり、そのための中間テーブル作成に必要だったアプリケーションの大部分を省くことができたという。中間テーブルとアプリケーション資材の数が、従来と比べて3~4割まで削減できた結果、それらのメンテナンスコストも従来比で約20%の削減効果が生まれている。

 さらには、旧システムのデータベースと分析ツールの組み合わせをSQL Server 2014に一本化した結果、分析ツールなどの別途費用が不要になったことや、従量課金制のプレミアサポート契約を利用し、本当に必要な部分に絞ったサポート利用が可能になったことなどから、固定費の大部分が不要になり、ソフトウェア保守費用を従来比で約75%削減できた。

石井 一志