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ボトルネック部分だけAWS化、資生堂が示したクラウド活用の知恵

ワタシプラス

 株式会社資生堂が、総合美容Webサービス「watashi+(以下、ワタシプラス)」において、ソーシャルマーケティングを担うシステム基盤を強化した。株式会社野村総合研究所(NRI)が企画段階から支援し、2015年3月から本番稼働を始めたと発表した

 ワタシプラスは、2012年4月から開始した総合美容Webサービス。商品カタログやオンラインショップのほか、店頭カウンセリング・体験予約、美容相談コミュニティ、美容セルフチェックなどのコンテンツを提供。2014年11月時点で200万人の会員数を獲得している。

 同サービスの情報システムはこれまで自社設備で構築・運用されていたが、新たにLINEなどのソーシャルメディアを活用したマーケティング施策を強化するにあたって、プロモーション施策を打った際に短時間で大量のアクセスが発生し、自社のシステム資源を弾力的に運用できず、販促業務の一部が制約を受けるという課題に直面していたという。

 この解決のために資生堂とNRIは、AWS(Amazon Web Services)を有効活用したハイブリッドクラウド化によるシステム基盤の強化に取り組んだ。特筆点は「ボトルネック部分だけのクラウド化を短期間で実現」したこと。ハイブリッド化においては、一般的にシステム構成変更に伴う移行・検証作業、システム運用管理の大幅変更が必要となり、コストやスピード面でビジネスの阻害要因となる懸念がある。

 そこでNRIは、性能低下の原因となるボトルネック部分だけをクラウド化するシステム基盤を企画・提案し、資生堂とともに検証を行った。この結果、「現状の運用は極力変えずに、必要な時に必要な分だけシステム資源を増やしたい」というビジネス課題を短期間で解決するとともに、ワタシプラスのユーザーもサイト管理者も自社設備とAWSを意識せずに利用・運用できることが確認されたという。

 このほかセキュリティ対策として、NRIセキュアが提供するクラウド型セキュリティ運用監視サービス「WAF管理サービス for AWS」をはじめ、オープンソース(Kibana、Elastic Search、Fluentd)も採用。AWSのセキュア・拡張性といった特長も生かし、ハイブリッド環境上でもセキュリティ水準の高いシステム基盤を実現したとしている。

川島 弘之