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荒川区内の全小中学校に、計9500台のWindowsタブレット導入

 荒川区教育委員会が、区内すべての小中学校で児童生徒1人1台のWindowsタブレットを活用した学習環境を整備した。日本マイクロソフトが26日、発表した。

 荒川区は2014年9月に区内の34校(中学校10校、小学校24校)すべてに9500台のWindows 8.1搭載タブレットを導入し、児童生徒の学びの環境を整えた。区内の中学生は1人1台のタブレットを常に利用でき、小学3~6年生は2時間に1時間、小学1~2年生は4時間に1時間の割合でタブレットを使った学習が可能となる。

 小学生も1日に1回はタブレットに触れるようにし、小学3年生からは総合的な学習とローマ字学習が始まるので、2時間に1時間使えるように頻度を上げる。中学生からは、自分のツールとして活用できるように1人1台のタブレットを使えるようにしたという。

 導入に際して操作に関する研修などは行わず、授業での活用についても学校や教員・生徒児童の自主性に任せている。「教員は誰でも自分の授業を良いものにしたいと考えているため、それぞれが授業でどのように活用するかを考えるのが重要です」(荒川区)。

 操作に関しては、ICT支援員を各学校に1年間常駐させ、「習うより慣れろ」で、わからないところは支援員に聞いてもらうようにしている。企業や導入事業者に任せずに、教育委員会が自ら教員の視点で研修を行うことで、操作よりもどのような教育を行うかをしっかり伝えることを重視したという。

 学習効果としては、小学校ではドリル学習の反復学習やインターネットを使った調べ学習に使ったり、体育・理科・生活などの授業でカメラを使ったり。ユニークな授業としては、学校図書館でタブレットを使い、書籍とインターネットのどちらが調べ物に適しているかを考え、それぞれの良いところを理解するような学習も行ったという。

電子黒板との連動など、さまざまな授業でタブレットを活用
小学校ではドリル学習でタッチペンを使って何度でも問題を繰り返し解いて定着を図ったり、インターネットを使った調べ学習に活用

 中学校では、1人1台で常に使える環境を生かし、発表内容を電子黒板に大きく映したり、美術で他の人の作品を共有したり、体育の跳び箱でうまく跳べた生徒のフォームを参考にするなど、さまざまな用途に活用。スマートフォンの是非についてディベートし、どちらにも属さない生徒が否定派と肯定派の意見を聞いて、どちらの意見に賛成するかを投票し、電子黒板にリアルタイムに映す試みも行ったという。

水泳の授業では、完全防水のタブレットを採用。動画撮影機能で水中の手足の動きを確認するなどユニークな活用も
理科の授業では実験の様子を動画で確認

 その意義について、荒川区 教育委員会事務局指導室 統括指導主事の駒﨑彰一氏は、「タブレットはわかったつもりにさせるツールであると考えています。ツールとしての活用で児童生徒をわかったつもりにさせ、従来のアナログの読み書き計算でしっかりと理解・定着させることが重要。その上で児童生徒が自分のツールとしてタブレットをしっかり使いこなし、リテラシーを高め、インターネットを主体的かつ適切に活用して情報を得られるように指導し、“21 世紀型スキル”を育成したい」と述べている。

 今後は、ポータルサイトや掲示板を整備し、教師が主体的に教材を見せ合い、情報を共有しながら授業作りに取り組むような環境をめざす。また、文部科学省が推進する「先導的教育システム実証事業」と「先導的な教育体制構築事業」の実証地域として、テレビ会議で区内の学校同士を連携させたり、大学・高校との共同授業や海外の学校との連携なども、実際に行われている。さらにビッグデータを蓄積し、専門家に解析してもらって学習に役立てるほか、教員の指導履歴も活用して指導方法の改善に役立てたり、保護者への学習状況の通知も細部まで行えるようにしたい考え。

お詫びと訂正

  • 初出時、Windows 8.2と記載しておりましたが、Windows 8.1の間違いです。お詫びして訂正いたします。

川島 弘之