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農作物の集出荷計画コストを24%減、兵庫でのITを使った実証結果
「おおやアグリ支援クラウドプロジェクト」
(2015/2/26 13:00)
NECソリューションイノベータ株式会社は26日、安定的な供給を求められる農作物の出荷計画立案を支援するシステムを開発、兵庫県養父市のおおや高原で実証実験を実施し、その結果を発表した。
同社が代表機関を務める「おおやアグリ支援クラウドプロジェクト」での取り組み。同社のほか、おおや高原有機野菜部会、たじま農業協同組合、養父市役所、兵庫県但馬県民局朝来農林振興事務所朝来農業改良普及センターが参画している。
同プロジェクトでは、タブレット端末などを活用した農作物の安定供給と業務効率化を実現する「集出荷コントロールシステム」を共同開発し、2014年10月におおや高原にて実証実験を行った。対象品目はホウレンソウ、キクナ、ミズナ。
その結果、(1)集出荷計画の調整に要する期間を24%短縮、(2)集荷量の計画変更回数を12%減少、(3)計画調整コストを24%削減――といった効果が得られたという。
実証実験の背景
農作物は自然環境の影響を受けやすく、安定した供給のためには集出荷場と生産者の密な調整が必要となる。このため、農作物の国内出荷量の約70%を扱い、全国約9500カ所にある集出荷場では、農作物の成育状況や出荷予定量を電話やメールで各生産者に日々確認して集出荷計画を立てているという。この作業負荷が大きくなっているほか、突発的な対応作業にも対応しなければならず、生産者からは集出荷場が管理している全体集荷量の把握や報告作業を簡略してほしいという声が挙がっていた。
システムの特徴
開発したシステムでは、日々の集出荷計画を主出荷場と生産者がクラウド上で共有し、相互に調整することで計画調整作業を省力化。生産者はタブレット端末などで圃場から計画を入力・確認することも可能となる。
また、出荷当日の集荷量からの推定出来高をリアルタイムに可視化できる。出荷計画に対する過不足を把握し、収穫の追加・抑制の必要性を知らせることで、計画出荷量を確保するための対応作業を効率化するという。
実証された効果
効果として、出荷日までに集出荷計画の調整に要する時間が、品目平均で4.6日から3.5日(24%減)に、出荷計画数が最も多いホウレンソウでは最大5.5日から2.8日(50%減)となった。
集荷量の計画変更回数も減少し、生産者一人につき6.0回から5.3回(12%減)に。その分、計画調整コストも削減され、時間換算で24%減となった。
今後の展開
今後はさらに実証実験を重ねてシステムを改良し、機械学習に基づいて出来高の推定を高精度化するアルゴリズムなどを導入。軟弱野菜(収穫後に急速に傷みやすい葉物野菜など)全般への展開や、多くの集出荷場への適用拡大をめざす。
併せて、NECソリューションイノベータが2015年度の商用サービス化を目標に、技術開発・商品開発を進める予定。