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京セラDS、世界140カ国にまたがる分析時間をSAP製品で大幅短縮

「SAP HANA」と「SAP IQ」でグローバル統合DB実現

 SAPジャパン株式会社は9日、京セラドキュメントソリューションズ株式会社(以下、京セラDS)が「SAP HANA」と「SAP IQ」を用いたグローバル統合データベースを構築したと発表した。世界140カ国以上にまたがる分析業務の時間を大幅に短縮したという。

 京セラDSは、京セラのプリンタ事業部門が複写機メーカーの三田工業を子会社化し、2000年に設立した。同社は、この統合から始まった業務改革プロジェクトの第1フェーズとして、2004年に「SAP ERP」を日本・アジア・欧州の生産・販売拠点に導入して業務プロセスを統合したあと、第2フェーズとして、2007年に「SAP Business Warehouse」を導入し、各拠点の実績情報を可視化してきた。

 同社は世界140カ国以上で販売活動を展開し、海外での売上比率が90%を超えている。グローバルでの競争環境の変化に対応するためには、業務の可視化、意志決定の迅速化が不可欠で、それを可能とするITプラットフォームを求めていたという。

 そこで今回、第3フェーズとして、拠点ごとに異なっていたデータ形式を統一し、グローバルで迅速な経営を行うための分析基盤と、顧客接点の強化および意志決定の迅速化をめざしたグローバル統合データベースを構築。

 SAP HANAとSAP IQによる統合データベースが、現状分析(BI)だけでなく、将来予測(BA)までを実現すると判断し、2013年5月から稼働を開始した。構築にあたっては、利用頻度の高いデータをSAP HANAに、過去にさかのぼった大量データをSAP IQに蓄積する階層構造を構築し、コストの最適化を図った。

 新たな統合データベースでは、各国のSAP ERPの実績情報、CRMシステムの案件情報、プリンタや複合機から送られてくる機械情報などの「構造化データ」と、コールセンターに寄せら得る顧客の声、フィールドサービス担当の保守レポートなどの「非構造化データ」を一元管理。「SAP Business Objects」やデータマイニングツールを用いたBI/BA、顧客セグメント分析を実施し、ビジネスの意志決定に役立てられているという。

 また新システムにより、分析データソースの準備時間が従来の8週間から2週間に、分析用データの前処理に要する期間が4カ月から2カ月に、Rawデータから分析テーブルを作成するまでの時間は24時間から7時間に短縮されたという。これにより、シミュレーションを繰り返せる環境を実現。SAP Business Objectsによるレポートも、従来は1日かかっていた海外拠点の実績がほぼリアルタイムで見られるようになったという。

川島 弘之