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第1回「日本ベンチャー大賞」、IT分野では「モバイル決済」と「クラウドソーシング」が受賞

 経済産業省(以下、経産省)は22日、ベンチャー向けの表彰制度として初めて内閣総理大臣賞を設けた第1回「日本ベンチャー大賞」の受賞者を決定した。

 日本ベンチャー大賞は、若者などのロールモデルとなるようなインパクトのある新事業を創出したベンチャー企業経営者を表彰し、企業を志す人々や社会に対して、積極的に挑戦することの重要性を浸透させ、社会全体に企業に対する意識の高揚を図ることを目的とする。第1回の受賞企業は以下の通り。

日本ベンチャー大賞(内閣総理大臣賞)ユーグレナ
ベンチャー企業・大企業等連携賞(経済産業大臣賞)CYBERDYNE
大和ハウス工業
女性起業家賞(経済産業大臣賞)コイニー
地域経済活性化賞(審査委員会特別賞)スパイバー
ワークスタイル革新賞(審査委員会特別賞)クラウドワークス
安倍首相が登壇
受賞者

 第1回日本ベンチャー大賞はユーグレナ。2005年12月に世界で初めて微細藻類ユーグレナ(ミドリムシ)の屋外大量培養に成功した東京大学発のベンチャー企業。ミドリムシを活用した栄養価の高い機能性食品、および水質浄化プロジェクトやバイオ燃料の開発を通じて、世界の食糧問題や環境問題の解決に取り組む。

 代表取締役社長の出雲充氏は、健康維持に必要な栄養素が不足しているバングラデシュの食環境を知り、この問題を解決するため、大学3年時に農学部に転部。現在の協働創業者である鈴木健吾氏と出会い、ともにミドリムシの研究・起業を決意する。起業の準備・経験として銀行に3年努めたあと、2005年、25歳でユーグレナを設立した。

 IT関連では、コイニーとクラウドワークスがそれぞれ女性起業家賞とワークスタイル革新賞を受賞。

 コイニーは、スマートデバイスのオーディオジャックにカードリーダーを取り付けることで手軽に導入できるクレジットカード決済サービスを提供する企業。2009年に米PayPalの日本法人立ち上げに参画した佐俣奈緒子氏が、事業者がかんたんにクレジットカード決済を取り扱える状況ではないことを知り、かつ日本が米国に取り残される危機感を感じたことから、より簡単で自由な決済手段を提供すべく、2012年に設立。カード決済がなじまなかった業界(ケータリング、出張修理など)にモバイル決済を広め、日本経済の活性化に寄与した。

 クラウドワークスは、「21世紀の新しいワークスタイルを提供する」をミッションに、日本全国の「個人の力」を活性化するクラウドソーシング事業を展開。クラウドソーシングはWebを通じて世界中の企業と個人のワーカーを直接つなぎ、仕事の受発注が可能なサービスで、デザインやプログラム開発などの業務から、子どもを寝かしつけた後、10分程度のすき間時間でこなせる簡単な入力ジムまで、さまざまな仕事が発注されている。子育て中の女性や定年退職を迎えた高齢者などが、自身のスキルをいかした仕事に取り組んでいる。

 代表取締役社長の吉田浩一郎氏は、東日本大震災をきかっけに家族と過ごす時間の貴さを見つめ直す動きや、若年層の地元での進学・就職志向の高まりに加え、2015年に正社員比率が50%を切ると予測されるなど「働くインフラ」が急変していることに着目。クラウドソーシング基盤を構築し、2011年にクラウドワークスを設立した。

川島 弘之