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「1枚」で訪日客に「多数の便利さ」を――多機能ICカードの実証実験
(2014/11/7 15:25)
株式会社電通国際情報サービス(以下、ISID)のオープンイノベーション研究所(以下、イノラボ)は6日、今後増加が見込まれる訪日客の観光を快適にする街のプラットフォーム開発を目的として、旅行者専用の統合ICカードシステムを用いた実証実験を行うと発表した。欧州最大級の統合型リゾート(展示施設、ホテル、商業・レジャー施設、カジノなどが一体となった複合観光施設)のある仏アンギャンレバン市において、11月6日から11まで実施する。
日本を訪れる外国人観光客は2013年に初めて1000万人を突破し、今後も増加が見込まれる。統合型リゾートの国内導入も検討が進んでおり、今後、多様な文化的背景を持つ訪日客一人一人に、より快適な観光をサポートするICTサービスが求められる。
実験では、旅行者専用の各種機能を備えた実験用ICカードを用いて、各種施設への入場手続きや精算を一元化するとともに、母国語でレストランの注文ができたり、訪問予定先の観光案内が見られるといったサービスを提供し、観光客の利便性向上やストレス低減に役立つかを検証する。
具体的に利用可能となる機能は、各被験者の滞在先での行動履歴とサービス利用実績をICカードに蓄積することで、「対象施設入場時の個人認証手続きを簡素化」「施設入館料・サービス利用料や飲食代などをホテルチェックアウト時に一括精算」「対象レストラン・スパで多言語でのメニュー表示・注文」「スマホに訪問予定の施設案内を母国語で表示」するといったこと。
大阪国際空港または羽田空港から出国する約20名の被験者に、出国当日の写真画像、指名や年齢などのパスポート情報、母国語情報などがひも付けられた実験用ICカードを空港で即日発行。仏アンギャンレバン市のカジノ施設「カジノ・バリエール」をはじめ、市内のレストラン、スパ、ホテル、美術館といった約10カ所の施設を巡るツアー形式で実験が行われる。
ICカードには「FeliCa Lite-Sカード」を採用。多言語での各種サービスを提供するにあたり、国際標準であるETA規格に準拠したフォーマットを搭載し、その有用性についても検証する。実施期間は11月6日~11日。