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単なるクラウドストレージでなくソリューション提供へ、米Boxが戦略を説明
(2014/10/31 15:18)
株式会社ボックスジャパンは31日、米BoxのCOO(最高運用責任者)を務めるダン・レヴィン氏の来日に合わせ、Boxの現状に関する説明会を開催した。
レヴィン氏は、Boxは企業向けのオンラインストレージサービスを中心に事業を展開し、世界で24万社以上、2700万人以上のユーザーが利用しており、フォーチュン500企業の99%が採用していると説明。Boxを使ったサービスの開発も活発で、4万7000以上のデベロッパーが1200のアプリを開発しており、APIのコール数は月間17億5000万回に達しているとした。
こうしたBox対応のモバイルアプリの多さも、企業がBoxを採用する理由と説明。それぞれのアプリがBoxという共通のプラットフォームを利用することで、企業側も様々なポリシーを1カ所に集約でき、高度なセキュリティを適用できるとした。
Boxでは、単に企業向けのオンラインストレージサービスを提供するだけでなく、次のステップとして、各業界向けのソリューションを提供していく「Box for Industries」を9月に発表。第一弾のソリューションとして、流通業界向けの「Box for Retail」、医療業界向けの「Box for Healthcare」、メディアおよびエンターテイメント業界向けの「Box for Media & Entertainment」の3つを提供する。
流通業界では製品情報などの共有と店頭でのタブレット端末での利用、医療業界ではセンシティブな個人情報の共有、メディアおよびエンターテイメント業界では制作現場での巨大なファイルの共有など、それぞれの業界ごとに固有のワークフローや課題があり、それぞれに最適化したソリューションを提供する。Boxというプラットフォームは共通だが、その上に業界固有のアプリケーションや機能を乗せていく形で、今後さまざまな業界に向けて同様のソリューションを提供していくという。
ボックスジャパン代表取締役社長の古市克典氏は、日本でもシヤチハタが電子印鑑システムをBox上で利用できるようにすることを10月28日に発表したように、サードパーティによるBoxへのソリューション提供が進んでいると説明。販売代理店や採用企業も増加しており、流通業界ではファミマ・ドットコム、医療業界では九州大学病院、メディアおよびエンターテイメントではDeNA、サンリオ、フジテレビといった企業がBoxを採用していることを紹介した。
古市氏は、「Boxは企業向けクラウドストレージの会社と言われることが多いが、そこだけではない」として、企業向けコンテンツコラボレーション(ECC)の分野や、さらにECCをベースにした各業界向けソリューションといった分野に広がっていると説明。クラウド上のドキュメントの情報をもとに、業務プロセスが自動的に実行されるようなワークフローを提供でき、大企業が必要とするガバナンスやセキュリティ、スケーラビリティを提供できる点が、他のサービスと比較した場合のBoxの優位性だとした。