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「Netezza In-Database」技術でビッグデータも高度に分析、「IBM PureData」新製品

導入しやすいエントリーモデルも追加

森英人氏

 日本IBMは23日、ビッグデータの高度分析を支援する新製品を発売した。Netezzaテクノロジを実装したハイ・パフォーマンス・アナリティクス基盤の新ラインアップ「IBM PureData System for Analytics N3001(以下、N3001)」を提供する。

 同社は、ハードウェアやソフトウェアのコンポーネントが設計段階から統合され、システムの構築や運用に必要な知見を「パターン」として定義し、自動的に最適な資源を構築する垂直統合型システム「IBM PureSystems」を提供している。N3001は、その中でもビッグデータの処理に特化・最適化された「IBM PureData System」の最新版となる。

 N3001では、非対称型超並列アーキテクチャを基盤に採用したNetezzaテクノロジにより、容易な導入・運用、データベース(DB)の高速処理、TCO削減を支援するという。ソフトウェア事業部 インフォメーション・マネジメント事業部 BigData&DM製品営業部 統括部長の森英人氏は「単なる『高速なDB』ではなく『分析用のスパコン』」と紹介する。

「In-Database Analytics」技術を訴求

Netezza In-Database Analytics概要。これらの機能が集約されている

 その意味するところは、高速なデータウェアハウスに高度なマイニングツールを内包している点だ。「従来のデータ分析アーキテクチャでは、DWHからBIツールにデータ転送する必要があり、その処理にリソースを消費してしまうこと、ビッグデータとなると転送すること自体が現実的に不可能といった課題が生じていた。一方、マイニングツールを内包するN3001は、DWH上で高度なデータ分析が行える。データ転送が不要となり、帯域幅などの制約を受けずに済むわけだ」(森氏)。

 これは「In-Database Analytics」と呼ばれる技術で、例えば、TeradataとSASなども協業によりIn-Database Analyticsを実現しているが、単独の製品でまかなえてしまうのが日本IBMの強みといえる。マイニングツールとしては「SPSS」が搭載される。

CPU増強などの機能強化

N3001の特長

 サーバーの強力なマシン性能をデータ分析に使えるのもIn-Database Analyticsのメリットだ。データ分析においては「特にCPUがボトルネックになる」(同氏)とのことで、クライアント側で処理するとCPUが足かせになりかねない。

 N3001では一層のIn-Database Analytics性能を引き出し、予測分析やモバイル・ソーシャルデータ分析などの高度な分析に対応するため、搭載CPU能力を2倍に引き上げている。また、データセキュリティの向上として、アプライアンスに搭載されるすべてのHDDに自動暗号化機能を追加した。「暗号化はCPUリソースを消費するため、『究極の速さ』を追求してきたNetezzaではあえて実装してこなかった。しかし、それでは昨今のニーズに応えられなくなってきたので、今回、HDDそのものに暗号化機能を実装した」(同氏)という。

広範なラインアップを展開

 ラインアップは全7種類。より柔軟な導入・展開を促進するため、「小規模エントリーモデル(N3001-001)」と「大規模マルチラックモデル(N3001-080)」を追加したのが特筆点。N3001-001は、汎用サーバー上でNettezaテクノロジを動作させるもので、28並列プロセス、データ容量16TBという最小アプライアンスモデルとなる。参考価格は2400万円(税別)から。以下は各ラインアップの主なスペック。

機種ラック数並列プロセスユーザーデータ容量(圧縮後)
N3001-0014U284TB(16TB)
N3001-0021408TB(32TB)
N3001-005112024TB(96TB)
N3001-010124048TB(192TB)
N3001-020248096TB(384TB)
N3001-0404960192TB(768TB)
N3001-08081920384TB(1536TB)

川島 弘之