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米Tradeshift、日本法人トレードシフトジャパンを設立

ビジネスソーシャルプラットフォームの日本語版を10月1日に提供

 ビジネスソーシャルプラットフォームプロバイダの米Tradeshiftは17日、日本法人としてトレードシフトジャパン株式会社を設立し、日本市場における本格的なサービスの提供を開始すると発表した。同社のクラウドベースソリューションの日本語版は、10月1日より提供開始する予定。

 米Tradeshiftは、あらゆる規模の企業をクラウドプラットフォーム上でつなぎ、企業間取引のスピードアップや業務効率化による生産性の向上にとどまらず、企業間信用の流動化による経済活動の活性化にも貢献するソリューションを提供している。

 また、すべてのビジネス文書を電子化することで、紙や印鑑にとらわれた今までのビジネス慣習を変革し、企業間および企業内のコミュニケーション効率と透明性を高め、よりソーシャルでコラボレーションが可能な環境を提供する。2010年の会社設立以降、欧米を中心に四半期ごとに急速な成長を達成しており、今回の日本法人設立は、ヨーロッパ、中国に続く、国際市場への本格進出となる。

米Tradeshiftのクリスチャン・ラングCEO

 日本法人設立にあたり、米Tradeshiftのクリスチャン・ラングCEOは、「近年、スマートフォンの普及にともない、コンシューマITのトレンドはモバイルへと急速にシフトしている。2017年には、主要デバイスとしてスマートフォンを利用するユーザーはさらに増えることが見込まれる。一方で、ビジネスの世界では、いまだにローカルの業務ソフトウェアが主流になっている」と、ビジネス環境でモバイル対応が進んでいない現状を指摘する。

 「また、コンシューマITでは、TwitterやFacebook、LinkedIn、WeChat、LINEなどソーシャルサービスの利用者が増大し続けており、今やほとんどの人がソーシャルネットワークでつながれた状態になっている。これに対して、業務用のソフトウェアは、ソーシャルネットワークから完全に孤立してしまっている。今でも多くの企業が、最終的に紙で発注書や請求書を発行しているのが実情だ」(ラングCEO)と、コンシューマとビジネスではソーシャルの進展に大きなギャップが生じているという。

 「そこで当社では、こうした状況を打破するために、次世代に向けたソーシャルビジネスプラットフォームを提供している。当社の提供するプラットフォームは、業界最高のユーザーエクスペリエンスを実現しており、e-ドキュメントやビジネスネットワーク、財務ソリューション、サプライヤー管理、コラボレーションワークフロー、セキュリティといったサービス機能がクラウド上に統合されている。これにより、企業のさらなるイノベーションとビジネス成長に貢献する」(ラングCEO)と、同社のソーシャルビジネスプラットフォームの特徴を紹介した。

Tradeshiftのソーシャルビジネスプラットフォーム

 グローバルでのビジネス概況について、ラングCEOは、「190か国50万社の企業がすでにTradeshiftネットワークに登録しており、週に2000社以上が新規登録している。月間230万のドキュメントが処理され、その数は四半期ごとに50%増加し続けている」と説明。「米国では、米国企業の80%がQuickBooksを導入している中、Tradeshiftが次期バージョンでQuickBooksソフトウェアと完全連携される唯一のパートナーとなっている。また、ヨーロッパでは、欧州委員会が電子請求を義務づけ、電子請求機能を1000万のEU企業に提供しているが、当社の創業メンバーがこのシステム基盤の開発を手がけ、現在もTradeshiftネットワークはEUの最新基準に準拠している。このほか、ラテンアメリカでは、地域最大のコンプライアンスプロバイダとパートナーシップを締結し、7万のサプライヤーをつないでいる」と、主要各国でTradeshiftネットワークが拡大していることを強調した。

Tradeshiftのネットワーク
トレードシフトジャパン マネージングディレクターのフレッド・マカレイグ氏

 そして、日本市場に向けた戦略について、トレードシフトジャパン マネージングディレクターのフレッド・マカレイグ氏が説明した。「日本市場では、まずTradeshiftプラットフォームにおけるe-ドキュメント機能、ビジネスネットワーク機能、プラットフォーム機能を、無償サービスとして提供開始する。これら以外のビジネスファイアウォール、財務ソリューション、カスタムアプリ、コラボレーションワークフロー、サプライヤー管理などの機能は、年額の有償サービスで提供する」という。

 マーケティング展開としては、「10月に日本語Webサイトを公開し、ここから日本語版の無償サービスを利用できるようにする。また、有償サービスを利用するエンタープライズユーザー向けには自社セミナーを実施するとともに、パートナー向けのセミナーも行っていく予定」(マカレイグ氏)としている。

 「販売体制は、直接販売とパートナー経由の販売を行う。パートナー販売では、パートナー制度を立ち上げ、VARパートナー、コンサルティングパートナー、BPOパートナー、開発パートナーを開拓していく。さらに、導入支援として、顧客向けに導入前のワークショップを無償で提供する。この導入支援は、直接販売の場合は当社がプライムとなる。パートナー経由の場合はパートナーがプライムとなり、当社がエキスパートサービスを提供する」と、マカレイグ氏は、日本市場での販売体制および導入支援の取り組みについても言及していた。

唐沢 正和