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富士通、ソフト開発工程のトレーサビリティツールを強化

 富士通株式会社は25日、組み込みシステム・ソフトウェア開発における設計工程のトレーサビリティを実現する「FUJITSU Manufactureing Industry Solution PLEMIA SQ-Tracer V3(以下、PLEMIA SQ-Tracer V3)」を発売した。

 制御システムやソフトウェアに欠陥があった場合に人命にかかわる被害が予想される自動車・医療分野では、開発プロセスの設計内容を文書として残し、トレーサビリティを確保することが国際標準規格で義務付けられている。特に医療分野では、2014年末に施行される薬事法改正において、生体情報の保管や画像表示の表示を担うソフトウェア単体も医療機器と見なされ、トレーサビリティの確保が求められると想定される。

 PLEMIA SQ-Tracerは、このトレーサビリティを確保するためのソフトウェアパッケージ製品。開発に携わる各担当者が残した設計内容を共有し、開発途中で設計要求に変更があった場合に、どの設計までさかのぼって修正すればいいのかなどが判断できるようになるという。

 新版では、操作性の向上やトレーサビリティの見やすさを追求した。

設計文書の取り込みとトレーサビリティ帳票の出力イメージ

 従来のExcel/Wordで作成された設計書だけでなく、モデリング言語で設計したモデルファイルとも連携。モデルファイルと他設計文書との関連づけを可能にすることで、トレーサビリティを容易にした。

 設計文書間や設計要求単位のリレーション状態を、マトリクス帳票に出力する機能も搭載。関係性が俯瞰(ふかん)できるため、設計途中のレビューや監査の際に、トレーサビリティの抜け漏れが確認できるという。

 加えて、取引先とのデータ交換も実現。PLEMIA SQ-Tracer V3上で設計書を一元的に管理し、開発に携わる複数の企業間で、開発プロセスと設計文書のデータを一括して送受信できる機能を搭載した。取引先から受領した詳細設計書やテスト結果などの成果物一式をまとめて自社の環境に取り込めるようにした。

 価格は280万円(税別)/10固定ライセンスから。2014年末の薬事法改正を見据え、医療分野向けに販売を強化する考え。

川島 弘之