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サイオス、OSSベースのWebサーバーソフト「NGINX Plus」を販売

 サイオステクノロジー株式会社(以下、サイオス)は17日、米Nginx(エンジンエックス)と販売パートナー契約を締結したと発表した。これに伴い、オープンソースソフト(OSS)のWebサーバーソフト「Nginx」をベースに機能を拡張した商用製品「NGINX Plus(エンジンエックス プラス)」を、7月1日より販売開始する。ライセンスは年間サブスクリプション形式で、価格はオープン。

 NGINX Plusの基になっているNginxは、高負荷下において高いパフォーマンスを発揮できるWebサーバーソフト。Nginx社のガス・ロバートソンCEOは、「単に高性能なWebサーバーとしての機能にとどまらず、ロードバランサー、リバースプロキシ、SSLターミネーション、メディアストリーミングなど、アプリケーション配信にかかわる機能を提供できる」と、その特徴を説明する。

 具体的な性能としては、コンカレンシーとパフォーマンスは10倍から1000倍に向上するほか、「高価なハードウェアのアクセラレータを不要にし、ソフトだけのシステムにすることで、さらに90%のコスト低減を実現する」(ロバートソンCEO)点もメリット。またソフトベースであるため、アプリケーション開発者がインフラに縛られず、新しい機能や容量をすぐに追加し、市場に投入できるとした。

 こうした特徴などが評価されて、全世界のアクティブサーバーの14.22%で採用されているなど、ユーザー数も急上昇。「利用サイトはすでに1億4000万で、昨年と比較して52%の伸びを見せた。コミュニティでも活発な議論がなされている」としたロバートソンCEOによれば、ユーザーの中にはfacebook、Box、CNN、Hulu、Yahoo! Japanなど多くの著名サイトが含まれており、アクセス数上位の1000サイトのうち、39.1%で採用されているという。

Nginx社のガス・ロバートソンCEO
Nginxのアーキテクチャ

 今回、サイオスが販売を開始するNGINX Plusは、OSS版のNginxを基に、アプリケーションロードバランシング、高度なキャッシュコントロール、アクティビティモニタリング、アプリケーションヘルスチェックなどの機能を追加した商用版で、開発チームからのサポートも提供される。

NGINX PlusとOSS版のNginxの違い

 一方、サイオスではこれまでもOSS関連製品の販売とサポートに注力しており、さまざまなOSSの導入支援やサポートサービスを提供してきた実績を持つ。今回、NGINX Plusを取り扱いのラインアップに加えることで、自社のOSSに関するワンストップソリューションをさらに強化したい考え。また、OSS版のNginxに関しても、OSSサポートサービス「OSS よろず相談室」の中でサポートを提供し、企業での活用を推進していくとした。

 サイオス OSSテクノロジーセンター長の黒坂肇氏は「企業での導入障壁として、日本語での技術情報が足りない、日本独自のリクエストが米国に伝わらない、企業向けのサポートや導入支援を行ってくれる企業があるのか、といったことが挙げられるが、当社ではこうした点をきちんと支援していく」と述べ、Nginx/NGINX Plusについて、企業利用を支援できる体勢を整える考えを示した。また、サイオスの支援によってユーザーコミュニティを国内で立ち上げ、裏方として支援するといった取り組みもスタートさせる。

 こうした取り組みによってサイオスでは、販売開始より1年間で、1000本のNGINX Plusの導入を目指すとしている。

製品販売に加えてサポートサービスなどを提供することにより、採用企業を支援する
ユーザーコミュニティも立ち上げるという
記者発表会では、関係者による記念撮影も行われた

石井 一志