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国内クライアント仮想化市場は今後も拡大、DaaS提供形態の広がりも要因~IDC Japan予測

 IDC Japan株式会社は12日、2013年下半期(7月~12月)の実績調査をもとに、国内クライアント仮想化市場についての分析を行い、その結果を発表した。それによると、2013年の国内法人向けクライアント端末における仮想化導入率は23.7%。2014年以降、技術の進化と用途拡大によって、さらに導入率は増加すると予測しており、2014年に27.9%、2018年には48.8%まで到達すると見ている。

 2013年に前年比7.6%増の3826億円だった国内クライアント仮想化ソリューション市場は、2013年~2018年に年間平均成長率(CAGR)14.3%で推移し、2018年には7473億円まで拡大すると予測。国内クライアント仮想化サービス市場も、プライベートDaaS案件の増加とパブリックDaaSの出現に伴い、同期間のCAGRが56.5%で推移して、2018年には1102億円まで拡大するとの見込みを示した。

 さらに、モバイル仮想化ソリューション市場も、同期間に49.9%のCAGRで推移し、2018年には189億円まで拡大すると予測している。

 一方、2013年下半期の国内クライアント仮想化ソフトウェア市場の出荷ライセンス数は、前年同期比15.1%増の72万3274ライセンス、2013年通期では前年比14.5%増の141万618ライセンスになった。IDC Japanでは、2013年~2018年のCAGRが6.8%で推移し、2018年には195万9649ライセンスに達すると予測しているが、クライアント仮想化が進展する大きな要因として、2015年のWindows Server 2003のサポート終了を挙げている

 また、DaaSの提供形態が広がりを見せていることも、市場拡大の要因の1つ。DaaSには、顧客ごとにITリソースを専有するプライベートクラウドDaaS、IaaSなどのクラウド上でDaaSを提供するバーチャルプライベートクラウドDaaS、ITリソースを共有するパブリッククラウドDaaSといった3通りの方式があるが、AWSやさくらインターネット、ビットアイルなどがパブリッククラウドDaaS市場に参入し、提供する事業者が拡大している。

 このパブリッククラウドDaaSの優位な点は、低価格、短時間で稼働可能な手軽さで、新しい市場機会創出が考えられるとのこと。

 IDC JapanのPC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、プレスリリースの中で「パブリッククラウドDaaS、モバイル仮想化などクライアント仮想化導入を底上げする要因はそろった。クラウド/モビリティを重視する第3のプラットフォームにおいて、仮想化技術は多くの場面で重要な役割を担う。ITベンダー、ユーザー企業はともに、ここに市場価値を見いだすことが求められるであろう」と指摘している。

国内法人向けクライアント仮想化市場 稼働台数/導入率予測、2013年~2018年(出典:IDC Japan)

石井 一志