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SaaSに注力する日本IBM、運用・資産管理を効率化する5種の新サービス

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏

 日本IBMは15日、運用管理と企業資産管理を効率化する5種のSaaSサービスを発表した。

 新たに提供するのは、運用管理を効率化する「IBM SmarterCloud Control Desk」「IBM Performance Management」「IBM Workload Automation」、企業資産管理を効率化する「IBM Maximo Asset Management」「IBM Maximo Inventory Insights」の5種類。

 IBM SmarterCloud Control Deskは、ナレッジマネジメント、サービス資産・構成管理、サービスカタログ管理、変更・インシデント管理などを支援する。IBM Performance Managementは、アプリケーションのパフォーマンス・可用性・ユーザーエクスペリエンスを管理し、IBM Workload Automationは、複雑な依存関係にあるワークロードの管理を支援する。

 クラウドや仮想化で企業システムが複雑化する中、手軽なSaaS型でITサービスマネジメント機能を提供することで、サービス提供までの時間短縮やビジネス要件への柔軟な対応を実現するためのものだ。

 価格は、IBM SmarterCloud Control Deskが月額42万5000円/同時接続10ユーザーから、IBM Performance Managementが月額1万7200円/平均監視対象サーバー1台から、IBM Workload Automationが月額8820円/月間実行1000ジョブから。

 IBM Maximo Asset Managementは、生産・インフラ・設備・輸送・通信などあらゆる種類の資産を共通基盤で管理することで資産パフォーマンスを最適化し、投資収益率を最大化する。資産管理、作業管理、サービス管理、契約管理、在庫管理、調達管理の6種類の管理モジュールが提供される。このIBM Maximo Asset Managementから在庫データを自動取得し、高度な予測分析モデルを適用、在庫トランザクションのパターンを明らかにするのがIBM Maximo Inventory Insights。複数の地理的場所の在庫を最適化された推奨を自動生成し、再発注を調整する。

 管理システムの購入・維持に初期コストがかさみがちな資産管理・保全管理を、最小規模から始めて段階拡張できるSaaS型で提供する。

 価格は、IBM Maximo Asset Managementが月額68万2000円/同時接続10ユーザーから、IBM Maximo Inventory Insightsが月額49万9800円と1万4300円/ユーザーから。

 いずれのサービスも米国、オランダ、シンガポールなどに設置されたSoftLayerデータセンターから提供する。SoftLayerは、ロンドン、ドイツ、日本、香港などの10の都市に待ち時間の短いネットワーク接続を提供するPOP(Points of Presence)が用意されている。

 また、今回の新サービスについては「サンプルデータで即お試し」「顧客提供データで30日間お試し」といった2つの方法で評価ができる「IBM Service Engageポータル」も提供される。

IBMのSaaS戦略

 発表会ではIBMのSaaS戦略も解説された。IBMの見解では、クラウドを利用する目的は、2013年前半まではコスト削減がメインだったが、2013年後半からはビジネスを加速することに主眼が置かれるようになった。このイノベーションの入り口となるのがSaaSであるという認識の下、同社のソフトウェア事業において積極的にSaaSへの投資が続けられている。

 それは、モバイルアプリ・プラットフォーム「Worklight」、アプリ・リリース・オートメーション「Urban Code DevOps Platform」、Webサイトの問題を可視化する「Tealeaf Customer Experience」、サイバーセキュリティ対策「Trusteer」、ネット通販向けモバイルアラート「Xtify」などの買収に端的に表れているが、それ以外に昨今急速に進められているIBMソフト製品のSaaS化からもうかがい知ることができる。

 「IBMはすでに100を超えるSaaSを提供、大規模に業務を支援しており、日本でもすでに50万ユーザー以上が利用している」と、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長 ヴィヴェック・マハジャン氏。

 IBMにとってもクラウドはビジネス成長の原動力とのことで、2014年のソフト戦略としては、「ハイブリッドクラウドの推進」「IBMソフトのSaaS化」「イノベーティブなPaaSの提供」を掲げ、「IBMソフト自身のクラウドシフトを進めていく」という。

 特にSaaSについては「自社開発に加え、SaaSソリューションを積極的に買収・提携し、100を超えるソリューションを今後も拡充していく。そのラインアップはフロントオフィスからバックオフィスまでを包括するもので、エンタープライズに相応しいセキュリティ、可用性、拡張性を備えたものにしていく」(同氏)と強調した。

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川島 弘之