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MOTEX、Microsoft Azure上から提供する「LanScope Cat 8.0」

IT資産管理・セキュリティツールの最新版

会見で握手するエムオーテックスの河之口達也社長(左)、日本マイクロソフトの平野和順業務執行役員(中央)、エムオーテックスの宮崎吉朗副社長

 エムオーテックス株式会社(以下、MOTEX)は14日、今後高まるセキュリティシステムのクラウド運用ニーズに対応したIT資産管理・セキュリティ対策システムの最新版「LanScope Cat Ver.8.0」を5月28日に発売すると発表した。同社として初めてのクラウド基盤対応版で、クラウドプラットフォームには日本マイクロソフト株式会社の「Microsoft Azure」を採用する。また、これにあわせて、2015年7月にサポート終了するWindows Server 2003上で「LanScope Cat」を利用している顧客の最新環境への移行支援に関して、日本マイクロソフトと連携して取り組んでいくことも発表した。

エムオーテックス 代表取締役社長の河之口達也氏

 「LanScope Cat Ver.8.0」のリリースにあたり、MOTEX 代表取締役社長の河之口達也氏は、「エンタープライズ分野でのクラウド活用がいよいよ本格化しつつある。このクラウド活用をさらに加速させるキードライバーとなるべく、最新版の『LanScope Cat Ver.8.0』では、クラウド対応機能を大幅に拡充するとともに、いち早くMicrosoft Azureを採用した」と話す。

 また、「“IT資産管理・セキュリティ対策をかつてないほど、ストレスなく簡単に”をコンセプトに、中堅・中小企業向けにユーザーインターフェイスを刷新し、すべて3ステップで簡単に利用できるようにした。これを機に国内での販売活動を積極展開し、現在7200社の導入顧客数を、今後3年で1万社まで拡大していく」と、過去最大のバージョンアップを行った新製品によって、さらなる市場拡大を目指すと意気を見せた。

 最新版の大きな機能強化ポイントは、「ユーザーエクスペリエンスの向上」、「クラウド基盤への対応」、「セキュリティ機能の拡充」の3点に集約される。

 まず、「エクスペリエンスの向上」では、戦略(顧客の目的を軸に)・要件(必要な機能をすべて)・構造(使い続けられる構造)・骨格(すべての操作を統一)・表層(洗練されたデザイン)という5つの概念のもと、ユーザーインターフェイスを再構築した。

 MOTEX 代表取締役副社長の宮崎吉朗氏は、「新しいユーザーインターフェイスでは、毎日行うIT資産管理を、最小限の工数で迷わずできるよう、ユーザビリティを追求して画面設計を行った。ユーザーごとに専用コンソール画面を用意し、『目的を選択』、『対象を選択』、『アクションを選択』という3ステップに統一した。これにより、あらゆる機能をストレスなく実現することができる」と説明している。

エムオーテックス 代表取締役副社長の宮崎吉朗氏
生まれ変わったユーザーエクスペリエンス

 「クラウド基盤への対応」では、クラウド基盤や企業内ネットワークのDMZでのマネージャーサーバー構築を強固なセキュリティシステムのもとで行えるようにし、公衆ネットワーク環境などのインターネットに接続されているPCに対して、リアルタイムの監視・管理を実現する。

 具体的には、クライアント・マネージャー間、マネージャー・管理コンソール間の通信パケットをAES256bit方式で暗号化するとともに、Webコンソール・マネージャー間の通信にSSL通信を採用した。これにより、VPNを利用しないインターネット環境においても強固なセキュリティ通信で、クライアントPCの資産情報や操作ログ情報の収集を実現する。

 また、クラウド基盤上のマネージャーから、NAT変換されたクライアントPCへのセキュリティパッチなどのファイルの配信を実現するため、クライアントからマネージャーへのセッション接続を利用したPull型ファイル配信の仕組みを実装した。このほか、インターネットに公開しているサーバーと通信するために、ホスト名を指定しての通信が可能になった。

 「これらの機能強化によって、インターネットを経由したクラウド環境でも、安全な通信でデータの収集・閲覧を行うことができる。さらに、『LanScope Cat』では、専用システムを構築する必要がないことや、Macや多言語OSに対応し海外拠点の端末も管理できること、サーバー台数や通信量、データベース容量などクラウド利用の課金を最小限に抑えられることも、クラウド基盤対応における優位点となっている」(宮崎氏)としている。

 「セキュリティ機能の拡充」としては、Microsoft Azureを基盤としたクラウド型スマートデバイス管理システム「LanScope An」と連携。「LanScope Cat」の管理画面からスマートデバイスのリモートロック・ワイプを連動して行うことができ、PC管理だけでなく、iOSやAndroidのモバイル端末の盗難・紛失時の位置情報確認からデータ消去までを実現する。

 また、クライアントPCの社外持ち出し時に、公衆インターネットに接続した際も、安全なインターネット環境を提供するため、クラウド型のクライアントWebフィルタリングを実現した。Webフィルタリングデータベースには、日本で最も信頼性の高いネットスターのデータベースを採用している。

 MOTEXでは、今回の最新版のリリースにともない、日本マイクロソフトと連携し、クラウドプラットフォームに採用したMicrosoft Azure上での「LanScope Cat」の利用を促進していく考え。具体的には、Windows Server 2003上で「LanScope Cat」を利用しているユーザーの移行先として、Azure日本データセンターへの「LanScope Cat」の導入運用が容易に行えるように、IaaS方式による提供、技術検証、導入テンプレートを含む各種ドキュメントの整備を日本マイクロソフトと連携して実施する。

 さらに、MOTEXの販売パートナーに対しても同様に、Windows Server 2003で使用している「LanScope Cat」をAzure日本データセンターに容易に移行できるよう、トレーニングおよびマーケティングを、日本マイクロソフトと連携して実施していく。

日本マイクロソフト パートナービジネス推進部業務執行役員の平野和順氏

 日本マイクロソフト パートナービジネス推進部業務執行役員の平野和順氏は、「Microsoft Azureは、2010年の提供開始から継続的に機能拡張を行っており、現在では、クラウド上にシステム構築するために必要な基盤をすべてそろえることができた。また、今年2月26日には、ユーザーから要望の高かった日本国内でのデータセンターを提供開始した。さらに、東京と大阪のデータセンター間で、データをコピーするジオレプリケーションサービスもスタートし、クラウド上でのディザスタリカバリ対策を実現している。今回、『LanScope Cat』にMicrosoft Azureが採用されたことを機に、MOTEXとの連携をさらに強化し、中堅・中小企業だけでなくエンタープライズ領域でのクラウドサービスの活用促進にも取り組んでいく」とコメントしている。

唐沢 正和