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リコー、2013年度決算は増収増益~新中計では売上2兆5000億円以上を目指す

リコー 代表取締役 社長執行役員 三浦善司氏

 株式会社リコーは、2014年3月期決算と2014年から2017年までの中期経営計画を発表した。

 2014年度連結決算は、売上高は前年比16.2%増の2兆2369億円、営業利益は同89.8%増の1203億円、当期純利益は同124.3%増の728億円。「直近発表の見通しはすべて達成できたが、これは1年前の見通しを下方修正したものなので手放しでは喜べない。本日発表する2015年3月期の見通し、中期経営計画は見通し必達を実現したい」(リコー 代表取締役 社長執行役員の三浦善司氏)。

2014年3月期 通期 損益計算書
2014年3月期 営業利益 前年比増減

 2015年3月期の見通しは、売上高は前年比2.8%増の2兆3000億円、営業利益は同16.4%増の1400億円、当期純利益は同9.8%増の800億円とする。

 今年度から始まる第18次中期経営計画は、(1)基盤事業の収益力強化と成長、(2)新たな事業の柱構築による成長という2つの基本戦略と、経営×経営システム×体質改善の一体改革での成長を目指す。財務目標として2017年3月期に売上高2兆5000億円以上、営業利益2000億円以上、営業利益率8.0以上、ROE10.0以上、総還元性向30%程度を目標とする。

第17次中期経営計画の振り返り

 リコーの2014年3月期決算は、全事業、全地域で赤字がなくなった。

 事業別では、売り上げの88%を占める基盤事業である画像&ソリューション分野は、売上高は前年比16.9%増の1兆9704億円、営業利益は1846億円、営業利益率は前年比9.4%。内訳としては、Windows XP特需による効果が大きかったネットワークシステムソリューションが同42.7%増の3080億円、プロダクションプリンティングが25.9%増の1850億円、新しいマルチファンクションプリンタ(MFP)、プロダクションプリンタ(PP)新製品売り上げが好調だったオフィスイメージングが同11.1%増の1兆4774億円。

 産業分野の売上高は前年比12.8%増の1050億円、営業利益は53億円、営業利益率は同4.9%。その他の分野の売上高は前年比10.5%増の1614億円、営業利益は2億円、営業利益率は0.2%。

 2014年3月末で終了した第17次中期経営計画は、「成長と体質改善の同時実現」が基本戦略となった。それを実現するために、次の2つを目標に掲げた。

(1)事業の創造と集中として、基盤事業はシェアナンバー1の獲得・堅持と効率化の同時実現、先進国市場ではサービス事業への事業構造転換、新興国市場では事業成長の実現、PP事業の収益貢献化の早期実現、新規事業拡大の実現。
(2)高効率経営実現に向け、成長戦略を展開するための筋肉質な経営体質の実現

 結果としては、売上高は目標値の2兆1000億円を超える2兆2369億円と目標を上回ったが、営業利益、営業利益率、ROE、FCF、総還元性性向は目標達成できなかった。

 「第17次中期経営計画は、東日本大震災直後にスタートし、その後も想定外のことがいろいろと起こった。それに対してさまざまな手を打ち、売り上げは目標を達成することができた。とはいえ、サービス事業への転換など課題も多い」(三浦社長)。

事業の創造と集中、その1
事業の創造と集中、その2
事業の創造と集中 その3
高効率経営の実現 その1
主要財務目標達成状況

 これをふまえ、今年度からスタートした第18次中期経営計画では、その先にある東京オリンピックが開催される2020年を見据え、「リコーの未来を切り開く転機となる。どうありたいのか、想像力を働かせ、目指す姿を考えていく」と説明する。

 リコーの目指す2020年の姿として、「ワングローバルリコーとして、お客さまの期待を超えた安心、快適、便利を提供し、ライフスタイルの変革を支援する環境にやさしい会社となるべく、2020年、その先の未来でリコーが継続敵に成長している姿を目指して今からまい進する」という目標を掲げる。

 リコーの長期発展を実現するために、グローバル人材活用の高度化をベースとしながら、(1)事業戦略、(2)経営システム、(3)体質改善の三位一体体制で取り組む。

2020年とその先の未来への方向性
「紙と電子の融合」の実例
第18次中期経営計画からの事業領域

 事業戦略としては次の目標を掲げる。

(1)基盤事業収益力の強化と成長として、先進国のオフィス事業領域でMFPの市場における稼働台数の成長率2%以上、新興国のオフィス事業領域として事業規模2倍、ITサービス新規商材等でサービスに関する事業規模を1.3倍にする。

(2)新たな事業の柱の構築による成長として、成長事業領域では新たな柱を構築し、インダストリ事業領域の事業規模を1.5倍に、新規事業を創造し、100億円規模の事業を3つ以上立ち上げる。

 経営システムとしては、One Global Ricohとして戦略実行力を強化するために、事業組織体制の変更、本社機能の組織再編、技術経営体制の再構築を掲げ、すでに4月から実行している。

 体質改善としては、これまで経営部門主導で進めてきたビジネスプロセス革新、経費の削減を、「一応これまでの目標は達成しているが十分ではない。現場で自律的に実施する体質への進化を進めたい」と変革の第2ステージにあると説明する。

事業戦略
経営システム
体質改善

 新しい事業領域向け製品の例として現在コンシューマ用に販売し、好評の全方位カメラ「THETA」で撮影した画像を紹介し、「コンシューマ用として好評だが、これを自治体や店舗などに活用したいという声もある」と新しい製品が成長につながる可能性をもつと紹介した。

 こうした改革により、2017年3月の財務目標として売上高は2兆5000億円以上、営業利益は2000億円以上、営業利益率8.0%以上、ROE10.0%以上、総還元性性向30%程度を目指す。

THETAで撮影した画像
主要財務目標
分野別成長イメージ
主要事業戦略

三浦 優子